532番: アルルの女(6)
- カテゴリ:日記
- 2020/08/28 05:14:33
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【12】
Donc, un dimanche soir, dans la cour du mas, la familleachevait de dîner. C'était presque un repas de noces. La
fiancée n'y assistait pas, mais on avait bu en son honneur
tout le temps... Un homme se présente à la porte, et
d' une voix qui tremble, demande à parler à maître Estève,
à lui seul.
訳
さて、ある日曜日の夕方、農家の中庭では、一家が夕食を
終えようとしていました。それはもうほとんど披露宴のような
夕食でした。許嫁は不在でしたが、みんな彼女への祝福のため
始終飲み交わしていました。一人の男が門扉の間に現れました。
そして震える声で、エステーヴの旦那に、旦那だけに合わせて
ほしいと言います。
《語句》
donc さて、ところで
【13】
Estève se lève et sort sur la route.
——Maître, lui dit l'homme, vous allez marier votre enfant
à une coquine, qui a été ma maîtresse pendant deux ans.
訳
エステーヴは立ち上がり、往来に出た。
——旦那、と男は言った。あなたは、息子さんにあの
浮気女をもらってやろうとなさるが、あの女は2年間、
私の情婦だったんです。
【14】
Ce que j'avance, je le prouve : voici des lettres ! ...Les
parents savent tout et me l'avaient promise ; mais depuis
que votre fils la rechercher, ni eux ni la belle ne veulent
plus de moi ... J'aurais cru* pourtant qu' après ça elle ne
pouvait pas être la femme d'un autre.
訳
私がこう言っているのには、証拠があります: ここに手紙が
あります!・・・ 先方の両親はすべて承知で彼女を(私の嫁に)
約束してくれていたのです。 でもあなたの御子息があの女を
求めてからは、両親も女も、もはや私のことは眼中にありません
・・・あんな後のこと(婚約をしたあと)だから、他の男のもの
になるなんて。思ってもみませんでした。
《語句》
rechercher (他) 探す、求める
*j'aurais cru 信じていたものを。条件法過去です。条件節は基本的には「si +
直説法大過去」が来るのですが、この場合は、après ça 「こんなことが
あって」が条件節の代わりをしています。条件節代理店みたいなもの。
qu' après ça についているque はcroir の目的語 elle 以下のことを
信じていたのに、となります。
こんなこと(両親の結婚承諾があったあとなので、(まさか)
彼女が他の男のものにならないだろうと、信じていたのに。
となります。qu' après ça も条件節代理がcroir の目的節にちょっと
食べられかけていますが無事です。生きています。
【15】
——C'est bien ! dit maître Estève quand il eut regardé * les
lettres ; entrez boire un verre de muscat.
訳
——承知した! エステーヴの旦那は手紙を読み終わる
や否や、そう言いました。 中へ入ってミュスカを一杯飲んで下さい。
《語句》
bien(間投詞) よろしい、結構
Garçon ! un café, s'il vous plaît.
ボーイさん、コーヒーをひとつ頼みます。
——Bien, Monsieur.
承知しました。
* il eut regardé 前過去 「彼が読み終わるや否や」
助動詞(avoir もしくはêtre )+ 過去分詞 = 前過去で
単純過去で表された行為の直前に完了した事柄を述べる時制です。
「承知しました」と言う行為がありました。
その直前に手紙を読み終わっていました。この部分が「前過去」
という時制で表現されています。
絵画に譬えると、二段階過去の「遠近法」みたいなもの。
尚、これは文章語独特の表現様式なので、会話では使いません。
というか、そもそも単純過去は会話では、基本的に使いません。
おおざっぱに言うと
単純過去=文章語
複合過去=日常語
おおざっぱと言うことは、複合過去は、文章語としても使います。
半過去はどちらででも使います。
muscat (m) ミュスカ、麝香葡萄酒、マスカットワイン