Nicotto Town


五飯田八宝菜の語学学習日記


521番: さすらいの青春

 
                    【33】
Mais, apercevant cette femme assise dans le grand fauteuil,
au fond de la salle,  elle s'arrêta, déconcertée.  Bien vite,
elle enleva sa coiffure, et, durant toute la scène qui suivi,
elle la tint contre sa poitrine, renversée comme un nid dans
son bras droit replié.


                       訳
しかし、広間の奥でこの婦人が安楽椅子に腰かけている姿
に気づくと、母の動きは止まって、戸惑った。すぐに
頭の被り物を取り払い、その場が続く間、母は帽子を
鳥の巣のように、さかさまにして、胸に当て、右腕に抱え
込んでいた。

                     《語彙》
déconcertée(過去分詞、女性形)狼狽した
     <  déconcerter とまどわせる、狼狽させる
vite 早く、すぐに
enleva<enlever (他)取り除く、取り除ける
durant (前)~の間中、~を通じて
tint (単純過去、3単) < tenir 保つ
poitrine (f) 胸、胸部、バスト
nid (m) 巣
replié (発音:ルプリエ)< replier  再び折る、
           折りたたむ、折り返す、



  ≪きょうの学習感想文≫ 
 
tint の元の動詞が  tinter  (鐘が)鳴る、(かちんと)鳴る
かなと勘違いして、また、泥沼にはまりかけた。
帽子の真鍮がチリンと鳴ったのかなと思いこんだのでした。
ひとつの間違いが、次の間違いを生み、雪だるま式に
間違いが大きくなる。
【教訓】火事は小さいうちに消火しましょう。



                     【34】
La femme à la capote, qui gardait, entre ses genoux, un
parapluie et un sac de cuir, avait commencé de s'expliquer,
en balançant légèrement la tête et en faisant claquer sa
langue comme une femme en visite.     

                    訳
カポート帽をかぶった婦人は、膝の間に、傘と革製の鞄を
挟んでそのまま持っていたが、訪問女性然として
頭を軽く揺り動かしながら、舌打ちをし、説明を始めた。

                    《語彙》
capote  (f) カポート帽(婦人、子供用のあご紐付き縁なし帽)
gardait <garder (他) 保つ、そのまま持っている
cuir (m)皮、革
s'expliquer  (自分の意見などを)説明する、述べる、釈明する
balançant (現在分詞) < balancer  揺り動かす
claquer sa langue  舌打ちをする
en visite  訪問中である
comme une femme en visite  訪問中の女性らしく

※ なぜ、訪問中の女性が、舌打ちをするのか、
意味につろくが取れませんでした。(降参!)
とりあえず、文法的解釈としては、この「舌打ち」
行為は直前のふたつのジェロンディフにかかるため
訪問女性らしく、頭を軽く揺り動かし、舌打ちなどを
していた・・・みたいな感じになるはずです。

100歩譲って、comme une femme en visite が
avait commencé de s'expliquer の直前、直後、もしくは、
挿入になっていれば、訪問客らしく遠慮がちに説明し始めた
となるところですが・・

その後、『グランモーヌ』  (みすず書房)を見ると、
長谷川先生の翻訳では、当時の当地の村の習慣だったと
付け加えがありました。
え?なんでそんなことまで、わかるの?
どうして調べたの?
プロの翻訳家のすごさを、あらためて知りました。
本日より、この本を大切に、私の先生になってもらいます。




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