500番: アルルの女(5)
- カテゴリ:日記
- 2020/08/20 05:38:09
【10】
Il s'appelait* Jan. C'était un admirable paysan de vingt
ans, sage comme une fille, solide et le visage ouvert.
Comme il était très beau, les femmes le regardaient ; mais
lui n'en avait qu'une en tête,——une petite Arlésienne, toute*
en velours et en dentelles, qu'il avait rencontrée sur la
Lice d'Arles, une fois, ——Au mas, on ne vit pas d'abord
cette liason avec plaisir*.
訳
彼はジャンという名前だった。 20歳になる立派な農家の
青年で小娘のように地味でおとなしく、がっしりした骨格と
明るい顔立ちだった。しかし、彼にはただひとりの女しか
頭になかった——ビロードとレースで全身を覆ったアルルの
若い女だった。ジャンは、嘗てこの女にアルルのリース通りで
出会った——農家では、この交際を最初は、よく思わなかった。
《語彙》
toute すっかり 直前の女性名詞に呼応してtout ➡toute
une petite Arlésienne toute en velours et en dentelles
ビロードとレースですっかり身を包んだアルルの娘
liason (f) 関係、交際
【11】
La fille passait pour* coquette, et ses parents n'étaient pas
du pays. Mais Jan voulait son Arlésienne à toute force.
il disait:
——Je mourrai* si on ne me la donner pas.
Il fallut* en passer par là*. On décida de les marier après la
moisson.
訳
その女は男たらしとの評判でした。そして彼女の両親は
土地の者ではなく、よそ者でした。それでもジャンはその
アルルの女を是非とも(嫁に)のぞみました。
ジャンがいうには:
——あの女をもらえなければ、死んでやる。
そうする以外にありませんでした。取り入れ時期がすんだら
ふたりを結婚させることに決めたのです。
《語句》
coquette 辞書によって日本語に幅があります。現代フランス語は「おしゃれな」
という意味ですが、この作品の時代背景では、「浮気娘」「男を渡り歩く女」
などのようです。
mourrai 1人称単数の単純未来は、しばしば、「意志、意向」を表わします。
il fallut falloirの単純過去、非人称構文 < il faut + 不定詞 ~しなければならない
en passer par ~ ~に甘んじる (en は虚辞)(céder)
moisson (f)(穀物、特に小麦の)取り入れ、収穫期