459番: アルルの女(2)
- カテゴリ:日記
- 2020/08/06 04:27:26
1回目は7月29日(日記430番)をご覧ください。
【2】
C'est la vraie maison du ménager de Provence, avecses tuiles rouges, sa large façde brune irrégulièrement
percée, puis tout en haut la girouette du grenier, la poulie
pour hisser les meules, et quelques touffes de foin brun
qui dépassent...
訳
それはプロヴァンス地方の典型的な地主の家で、
赤い煉瓦の屋根、正面は、ところどころ窓がある作りで
それから、ずっと上には屋根裏倉庫の風見鶏があり、
ほし草の堆積を引き上げる滑車があり、その滑車からは
茶色いほし草の束がはみ出していた・・・
《語彙》
vrai(e) (形)本当の
Provence (f) プロヴァンス地方の定義
=地中海沿いの南フランス
irrégulièrement 不規則に→ところどころ
percée < percé (過去分詞)穴があけられた → 窓のある
puis 次に、それから
tout en haut ずっと上の方には
tout* ずっと
girouette (f) 風見鶏、風見
grenier (m) 屋根裏の穀物倉、物置、屋根裏部屋
meules<meule(発音:ムール)(f) (乾草などの)堆積
touffes<touffe (f) 房、束
foin (m) 干し草、秣
dépassent<dépasser を超える、はみ出す
≪解説≫
tout すべて、と習ったでしょうが、副詞、形容詞を
強調するのにも使います。
[その他]
なるべく注釈書にない注意点を上げようと思いましたが
やはり、先人の書は素晴らしくて、私のごとき、注釈
する余地はほとんどありません。
アルルは地方の小さな町です。観光客が多いです。
海からはだいぶ離れていますが、典型的プロヴァンス
地方です。
【3】
Pourquoi cette maison m'avait-elle frappé ? Pourquoi
ce portail fermé me serrait-il* le cœur ? Je n'aurais pas
pu le dire, et pourtant ce logis me faisait froid. Il y
avait trop de silence autour... Quand on passait, les chiens
n'aboyaient pas, les pintades s'enfuyaient sans crier... A
l'intérieur, pas une voix *!
訳
なぜこの家が私の心を打ったのか?なぜこの家の閉ざ
された門が私の心を締め付けたのか?それは
(たとえ聞かれても)言うことはできなかったであろう。
しかしこの建物は私をぞっとさせたのだった。
周囲はあまりにも静かだった・・・ここを通ると、犬も
吠えないし、ほろほろ鳥も鳴かずに逃げて行った。
(屋敷の)中は、まるで声がなかった。
《語彙》
frappé <frapper(他) 打つ、たたく、
(心を)打つ、強烈な印象を与える
portail (m)正面入口、正門
aboyaient 半過去 <aboyer (自)(犬が)吠える
pintades (複数形)<pintade (f) ほろほろ鳥
(食用として家禽化もされている)
s'enfuyaient< enfuyuir (s') 逃げる、逃げ去る
* serrait-il pourquoi のあとでは、複合倒置。
一般に、疑問副詞では動詞が直接補語を伴う場合には
複合倒置が行われる。
* pas une voix Il n'y a を補って
Il n'y a pas une voix. として解釈する。
普通は不定冠詞が直接補語で否定形になると de に変わるが
ここではun, une は冠詞ではなく、数詞として扱われる。
そしてこの数詞が否定形の中では強い否定の形容詞の機能が
生じ、aucan, aucune より強い働きを持つようになる。