Nicotto Town


もふもふ0304


3~王と王妃の葛藤~

気弱な王様は困っていました。

世継ぎの王子をどうしたのか、王妃に問い質さなければなりません。
どうしてそんなことをしたのかは、聞かなくてもわかっています。
腹違いの王子よりも、自分の産んだ娘のほうに王位を継がせたいのです。
この国では女性の即位は認められていませんが、王家の血を引く男性は、王様の他には王子しかいません。
王子がいなくなれば、無理やりにでも、王女に継がせるしかなくなります。
正確には、王女を結婚させ、王女の産んだ男子に継がせることになるでしょう。
しかしそううまく、男子が生まれるとも限りませんし、王女自身がそれを望んでいるとは思えません。
腹違いとはいえ、大変仲の良い兄妹でありました。
王子のほうは、王になるために生まれてきたような、自分には過ぎた、出来の良い息子でした。
王女のほうも、多少甘やかされたところはあるとはいえ、物をよく考え、現実を見る目のある娘で、王も王妃も心から愛しく思っていました。
王様は、王妃様のことも愛しておりましたが、それが王妃様にうまく伝わっているかはわかりません。
自分より尊い血筋であるということと、一度は結婚話があったのに別の女性を選んだということで、どうしても遠慮がちな態度になってしまいます。
大事にはしたいと思うし、実際大事にしているつもりではあるのですが、王妃のほうでも王様を大事に思ってくれているかどうかは、正直自信が持てないのでした。
王女にとっては良き母であり、社交の場では良き王妃ぶりを発揮します。
しかし、前妻の子である王子にはそっけない態度を貫いています。
決して邪悪な人ではないので、命にかかわる様なことはするまいと思っていたのですが…。

王妃のほうはというと…子供の頃からの鬱屈を抱えたまま、心を開かないままに王との結婚に臨みました。
王は何でも言うことを聞いてくれますが、自分に対して敬語を使い、王妃、と呼びかけ、名前を呼び捨てにするようなこともありません。
前の王妃との、短くも睦まじい結婚生活の様子を漏れ聞いていた王妃は、やはり自分は愛されていないのだなと思いました。
当然と言えば当然かもしれません。
自分は子供の頃から、王に特に優しく接するわけでもなかったし、あの賢く優しかった少女に優っていたところなど、血筋の良さと気位の高さくらいしかなかったのだから…。
気位の高さで優っていても、それを優っているとは言えないわね、と自嘲しつつも、それを捨て去ることなど出来そうもない王妃なのでした。

心がつながっているのかいないのか確かめることもできず、もどかしいままに、やがて王女が生まれ、傍目には幸せそうな結婚生活が続きました。
他の女性に手を出すこともない、礼儀正しく優しい夫に、先妻の息子の、非の打ちどころのない世継ぎの王子…。
王妃の心にどんな魔がさしたのでしょうか、実家の城に里帰りしたある日、そこに訪れていた魔女と出会い、そして…。

一国の王子の身に危害を加えるのは、大罪です。
王妃といえど、罪は免れません。
王様はできるだけ穏便に済ます方法を考えましたが、いい方法が思いつかず、結局正面から聞くことにしました。
人払いをして二人だけになった部屋で、王様は王妃様に王子の行方を知っているかと尋ねました。
一瞬の後、王妃は青い顔をして頷き、堰を切ったように話し始めました。
「申し訳ありません。王子は蛙になりました。」

アバター
2020/08/10 19:55
蛙なのーー?
ううっ
今日はここまでと思って読みましたが
続きが気になるw
アバター
2020/08/08 05:52
でた! 蛙 ぶははー\(^_^)/
アバター
2020/08/05 19:51
蛙の王子様!
魔女っていったいだれ~~??
アバター
2020/08/05 08:32
蛙!Σ(・ω・ノ)ノ!
どどど~なっちゃうの~~~~~




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