Nicotto Town



『線路は続くよ』

#蜉蝣たちの黄昏


美しいほどのはかなさを湛えた午後の日差しの中

二匹の蜉蝣が駅舎の屋根にとまり、街を見つめていた

空が赤く染まって行く


「見て、ぼくたちの世界が終わって行くよ」

「ええ、でも不思議ね。どうして、こんなに綺麗なのかしら」

街の喧騒も、此所には届かない

二匹の蜉蝣が見つめる中、彼らの世界は、ゆっくりと、静かに終わりへと向かっていく


RRRRRR

やがて、静寂を破るように、発車のベルが鳴る

「さあ、行こう」

「何処へ?」

「終わる世界の、その先へさ」

「そんなのあるのかしら」

「あるさ。ほら、線路はまだ、続いているじゃないか」


汽車は走り続ける

線路が続く限り

何処までも

次は、何処にたどり着くのだろう


つづく

(#^.^#)





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