星空のディスタンス
- カテゴリ：日記
- 2020/07/18 01:02:23
アーカム市のパブで彼と久し振りに逢った。
彼はタコ星人なので、アクリル板一枚を挟んだ環境からその会話は始まった。
煎兵衛は気体酸素依存の生物形態であり、
彼は液体酸素依存の生態だったので
トランスレイトアプリの欠片達が両者の周りで光り輝いていた。
「元気そうだね、タコス、いい話はあるかい？」
と煎兵衛はお腹に手を当てて切り出した。
タコスは本来同種間で行う腹部のネオンライン発光を隠しもせず快活に答えた。
「煎兵衛 困っている タコス わかる 助けたい」
『このタコ野郎！』と、一瞬煎兵衛は眼前の水槽を破壊したい衝動にかられた。
機嫌は最悪だった。実はその30分前に彼はお腹を下したばかりだったのだ。
『このタコ野郎！何がお前にわかるんだ！』
トランスレイトアプリの輝きが、次の煎兵衛の言葉が放たれるまでしばたいた。
「いや、、、、、、、実はそうなんだよ」
煎兵衛は悔いた。暴言はスキーだけでいい。
タコスのネオンラインは冷静なブルーの点灯を続けている。
「タコス わかる 煎兵衛 助けたい」
アーカム市のありきたりなパブで、
水槽にいるタコと空気タンクにいるサピエンスが
傍目から逃れ、アクリル板一枚を挟んで話し込んでいる。
ふいに煎兵衛は自分が腹が減っているのに気付いた。
「タコス、すまん、お前の七番目の足を俺にくれないか」
「わかった その代わりにお前が何をくれるか
そんな 野暮な事 置くとします(ｵｸﾄﾊﾟｽ)」
そして、アーカム市のありきたりなパブで、我らが煎兵衛は
上品な酢蛸と、ｸﾙｯｸﾙｯな蛸焼きと、ｷﾚｯｷﾚｯな
たこわさを食して腹に納め満足した。
消化の良い食材は煎兵衛の消化器官を正常化してくれましたとさ。
その代わりにお前が何をくれるか
この後、クトゥルフの神々が地球に襲い掛かる時代となり、
煎兵衛が再び悔いるはめになるのは世紀を跨いでからの話だ
いや、蛸 普通に美味しいんだけど
私をあげるから、貴方を頂戴、、、w