Nicotto Town


五飯田八宝菜の語学学習日記


310番:6月25日、日記、異邦人を追加する?

J'étais un peu étourdi parce qu'l a fallu que je monte chez Emmanuel pour lui emprunter une cravate noire et un brassard.

この文の対訳部は、

ぼくは、うっかり忘れるところだった。エマニュエルのところに寄って、
黒のネクタイと喪章を借りて来なければいけなかったのだ。

となっていますが、
monter は、「上がる」 と言う意味で、「寄る」 という意味はないのです。

困ったな。
と思って、愛用の「クラ仏」以外にも、辞書を当たってみた。

「ロワイヤル中辞典」にも、「寄る」 という意味は書かれていません。

困った。

と思った。

そして、なぜ、「上がる」 が、「寄る」 になっているのかを考えた。

そして、結論は、

エマニュエルが住んでいるのは、アパートの階上なのかもしれない。
だから、「上がる」 になっているんじゃないかな?

ただし、アルジェって町はアパートが多いのだろうか?
いやいや、物語では、すでに、バスに乗った後なのだから、
アルジェから、80キロ先のマランゴの町のことだ。

マランゴって、どんな町だ?
アパートは多いのか?

この日記を一般公開にして、広くみなさまの意見をお聞きしよう。


ははは、さっき、新潮文庫の「異邦人」(カミュ、窪田啓作訳)を
買ってきた。これによると、この対訳部分は、

エマニュエルの部屋へ、黒いネクタイと腕章を借りに
登ってゆかねばならなかったから、
私は気が気じゃなかった。


翻訳者は、J'étais un peu étourdi を「気が気じゃなかった。」としている。

一方、テキストのほうは、「うっかり忘れるところだった。」

と訳している。

問題は、 étourdi をどう訳すかである。形容詞とみれば、

 「そそっかしい」、「軽率な」 という意味なので、

 
「軽率にも、忘れるところだった。」 でいいと思う。

しかし、   étourdir の過去分詞だとしたら、(受動態だとしたら)

「悩まされる」、「うるさくされる」 ということだから、

新潮文庫の通り、「気が気じゃなかった」

になる。

こんなもの、ネイティブでないと、判断がつかないと思うが、
ゴタの見解としては、

  こういう場合、 s'étourdir を使うといいと思うのだが、あいにく、
 この場合のこの言葉の意味は、

   「(酒に)酔う」

 なので、使えない。

結論をいうと、このくだりは、

ずっと気になっていたので、エマニュエルのアパートに
喪章と黒ネクタイを借りに(部屋に)上がって行ったんだね。
   
chez という言葉が、「部屋」であることをにおわせている。

chez というのは、フランス語独特の前置詞で、「~のところ」、「~の家で」
と言う風に、家ごとひっくるめた場所を示す。

chez moi とか、よく使います。
私のところで、私の家に(住み込んでいる)とか。
幅広い使い方をします。

 

その後、やっぱり、気になったので、
「小学館ロベール仏和大辞典」を引いてみた。

J'étais un peu étourdi

に関しては、目新しい情報はなかったが、
étourdi  が形容詞で、「そそっかしい」
「ルーズな」という意味でいい気がしてきた。そうすると、

J'étais un peu étourdi parce qu'l a fallu que je monte chez Emmanuel
pour lui emprunter une cravate noire et un brassard.

(喪章と黒ネクタイを忘れてくるなんて)私は少しそそっかしかった。
それをエマニュエルのアパートまで狩りに行くはめになるとは!

こいいう意味合いになる。そして、これが正しいのだろう。

アバター
2020/06/25 22:00
たぶん、そうだと思います。「寝る」というときも、「上がる」という動詞を使ったりするので
あれは、二階の自分の部屋に帰って、「寝る」ということだと思いますし。
向こうの国は、階段のある生活文化圏なのでそういう表現に抵抗はないのでしょうね。
コメントありがとうございました。
アバター
2020/06/25 19:05
実はこのあいだ読んだ文章で、私も同じようにdescendreを訳し悩んだところです。
学校の場面でしたが、Nous sommes tous descendus, [...] のdescendreは何だろう?と。
直訳すると「ぼくたちはみんな降りた」になるけど、何から降りたの?と不思議でした。
その少し後でdans la cour,...と中庭での出来事が書かれていて、要するに、
その文脈では「2階以上の場所から中庭へ降りた」という意味だったようです。

動詞1つで人物の動きや場所の様子までいろんなニュアンスを含むんだなあ、と感心しました。



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