151番:サウンドオブミュージック(日本語訳)
- カテゴリ:日記
- 2020/05/01 09:04:08
これまでの日本語訳(全文)
【サウンドオブミュージック】 日本語
誰かが私の肩をポンとたたきました。
見上げてみると、そこには修道女の、皺があるけど優しい顔がありました。
私は小さな生徒たちのドリルの添削作業をしていたのでした。
「修道長が執務室でお呼びですよ。」
彼女はささやき声で言いました。
あっけにとられた私は、この修道女の姿がドアを閉めて出て消え去るまで、
ポカンと口を開けたままでした。修道女は、見習生とは会話をしないものと
されていたのです。
私は耳を疑いました。私たち見習生は修道長に会えるのは、聖歌隊で歌っている
とき、遠くで見るだけですから.
見習生の序列は修道女候補生の中でも一番下だったのです。
黒のマンティーラをかぶってはいるが、
候補生に迎え入れられるのを、今か今かと待つ身分でした。
私は、ウィーン進歩主義教育の教職課程を終えたばかりで、
修道女受け入れ期間中・・・過ぎれば、おしまい・・・に、
卒業証書を得なければ、
なりませんでした。
修道院長が、候補生を呼び出すなんてことは、前代未聞です。
これって、どういう意味なのでしょう?
院長の応接用私室は、この古い修道院の、向こう側にありりました。
私は、その一番遠回りになる行き方をしました。
自分の良心を確かめる時間を稼ぎながら。
私は、この共同体の、やっかい者でした; それは、間違いのないところ。
わるぎは、ないのですが、育ちは、淑女というより、
やんちゃ少年のおいたちです。
再三再四、私は、教育長から、注意を受けていました。階段をそんなスピードで、走っては、いけません、とか、二段、三段と、一度に、跳ねて、登り降りしないこと、とか、手すりを滑り降りるのは、絶対に、だめ、だとか、この厳かな修道院では、(どこの部屋であっても)口笛を吹くなんて、前代未聞、(だめです。)それが、聖歌であっても。校舎の平屋根の煙突から、飛び降りるだなんて、聖ベネディクト修道会の準尼僧候補生のすることではない、などなど。
私は、注意されるたび、つくづく、そうだと思った。でも、難儀なことに、来る日も来る日も、規則違反を犯してばかりでした。
今回は何事だろうか。
私はゆっくりと古くすり減った螺旋階段の一段一段を降りていきました。
ここには、壁に、大きな十字架があって、
通る人を出迎えます。
それから、聖エレントルーディスの像、これは、
この友愛なる修道院の創設者なのですよ。
その、像が、噴水の上に、立っています。
ゆっくりと、私は、炊事場の反対側の回廊に進みました。
困ったことに、私は、またもや、地上で、
最も美しい場所の不思議なマジックに取り憑かれていました。
1200年の時を経て、アルプスの
北の地にある、ここ、ベネディクティン第一修道院、
ノンベルクは、この世離れした美しい場所になっていました。
女子修道院長のいる部屋の一角に、たどり着く階段を登ったのですが、
その前に、どうしても、私は、しばしの間、立ち止まり、
この8世紀のグレー色した回廊の壁を
再び、見つめずには、おられませんでした。
おどおどしながら、私は、重たい樫の扉をノックしました。
それは、とても、ぶ厚い扉なので、
「アーヴェ」という、この教会の「お入りなさい。」
に相当する声も、かすかに、聞き取れた程度でした。
修道院で、こういう場所に、来たのは、初めてでした。
分厚い扉を開けると、中は、
アーチ型の天井の、大きな部屋でした。;中程にある
一本の柱には、素朴だが、線が入っていて、見事なものでした。
修道院の、こんな場所に来たのは、これが、初めてでした。
重々しい扉を開けると、中は、
丸天井の大きな部屋でした ; 真ん中の一本の柱には、
単純な線のデザインで、美しかった。
この修道院では、ほとんどの部屋は、
アーチ状で、天井は、柱で、支えられていました ;
学舎部分でさえ、窓は、ステンドグラスに、なっていました。
この窓の近くに大きな机があって、そこから、きゃしゃで小さな
人の姿がにょき出ていた。その姿の首周りに金色のネックレスが
金色の十字架を吊るして飾られていた。
「マリアさん、お久しぶりね。ごきげんいかが?」
おお、この優しい声は!この優しい声を聴いて、何を心配することが
あろう。この声でたちまち私の心の中の心配の塊のような岩が転げ落ちた。
何の心配もいらない。修道院長に、そんな心配するなんて。
口笛を吹いたとか、そんな些細な心配なんて。 私の心に微かな希望が
沸き起こった。きっと修道院長は、やっと私に、正式に修道女登録の
日時を決定してくださるのだと、そういう希望が湧きおこったのでした。
「さあ、お掛けなさい。もっと私の近くに。」
しばらくして、院長は私の両手を掴んで、何かを伺うように
目を覗き込みました。そして言いました:
「ねえ、マリアさん、あなたがこのノンベルクで学んだことで
どの教えが、最も大切な教えだったか、言ってみてくれる?」
ためらいもせず、しっかり院長の美しい黒い瞳を見据えて、私は答えました。
「世界でただ一つ、私たちにとって大切な教えは、神の御意思を知ること、
そして、それを実行することですわ。」
「じゃ、それが気に入らないことでも?もしかしたら、とても
つらいことでも?」
院長の手の握りはぎゅっと強くなりました。
(そうだわ、院長は、この世のお別れのことを言っているんだわ。
何もかも、あきらめる日のことを)私は心でそう自問自答しました。
「はい、そのときでも神に従います、院長様。」
誰かが私の肩をポンとたたきました。
見上げてみると、そこには修道女の、皺があるけど優しい顔がありました。
私は小さな生徒たちのドリルの添削作業をしていたのでした。
「修道長が執務室でお呼びですよ。」
彼女はささやき声で言いました。
あっけにとられた私は、この修道女の姿がドアを閉めて出て消え去るまで、
ポカンと口を開けたままでした。修道女は、見習生とは会話をしないものと
されていたのです。
私は耳を疑いました。私たち見習生は修道長に会えるのは、聖歌隊で歌っている
とき、遠くで見るだけですから.
見習生の序列は修道女候補生の中でも一番下だったのです。
黒のマンティーラをかぶってはいるが、
候補生に迎え入れられるのを、今か今かと待つ身分でした。
私は、ウィーン進歩主義教育の教職課程を終えたばかりで、
修道女受け入れ期間中・・・過ぎれば、おしまい・・・に、
卒業証書を得なければ、
なりませんでした。
修道院長が、候補生を呼び出すなんてことは、前代未聞です。
これって、どういう意味なのでしょう?
院長の応接用私室は、この古い修道院の、向こう側にありりました。
私は、その一番遠回りになる行き方をしました。
自分の良心を確かめる時間を稼ぎながら。
私は、この共同体の、やっかい者でした; それは、間違いのないところ。
わるぎは、ないのですが、育ちは、淑女というより、
やんちゃ少年のおいたちです。
再三再四、私は、教育長から、注意を受けていました。階段をそんなスピードで、走っては、いけません、とか、二段、三段と、一度に、跳ねて、登り降りしないこと、とか、手すりを滑り降りるのは、絶対に、だめ、だとか、この厳かな修道院では、(どこの部屋であっても)口笛を吹くなんて、前代未聞、(だめです。)それが、聖歌であっても。校舎の平屋根の煙突から、飛び降りるだなんて、聖ベネディクト修道会の準尼僧候補生のすることではない、などなど。
私は、注意されるたび、つくづく、そうだと思った。でも、難儀なことに、来る日も来る日も、規則違反を犯してばかりでした。
今回は何事だろうか。
私はゆっくりと古くすり減った螺旋階段の一段一段を降りていきました。
ここには、壁に、大きな十字架があって、
通る人を出迎えます。
それから、聖エレントルーディスの像、これは、
この友愛なる修道院の創設者なのですよ。
その、像が、噴水の上に、立っています。
ゆっくりと、私は、炊事場の反対側の回廊に進みました。
困ったことに、私は、またもや、地上で、
最も美しい場所の不思議なマジックに取り憑かれていました。
1200年の時を経て、アルプスの
北の地にある、ここ、ベネディクティン第一修道院、
ノンベルクは、この世離れした美しい場所になっていました。
女子修道院長のいる部屋の一角に、たどり着く階段を登ったのですが、
その前に、どうしても、私は、しばしの間、立ち止まり、
この8世紀のグレー色した回廊の壁を
再び、見つめずには、おられませんでした。
おどおどしながら、私は、重たい樫の扉をノックしました。
それは、とても、ぶ厚い扉なので、
「アーヴェ」という、この教会の「お入りなさい。」
に相当する声も、かすかに、聞き取れた程度でした。
修道院で、こういう場所に、来たのは、初めてでした。
分厚い扉を開けると、中は、
アーチ型の天井の、大きな部屋でした。;中程にある
一本の柱には、素朴だが、線が入っていて、見事なものでした。
修道院の、こんな場所に来たのは、これが、初めてでした。
重々しい扉を開けると、中は、
丸天井の大きな部屋でした ; 真ん中の一本の柱には、
単純な線のデザインで、美しかった。
この修道院では、ほとんどの部屋は、
アーチ状で、天井は、柱で、支えられていました ;
学舎部分でさえ、窓は、ステンドグラスに、なっていました。
この窓の近くに大きな机があって、そこから、きゃしゃで小さな
人の姿がにょき出ていた。その姿の首周りに金色のネックレスが
金色の十字架を吊るして飾られていた。
「マリアさん、お久しぶりね。ごきげんいかが?」
おお、この優しい声は!この優しい声を聴いて、何を心配することが
あろう。この声でたちまち私の心の中の心配の塊のような岩が転げ落ちた。
何の心配もいらない。修道院長に、そんな心配するなんて。
口笛を吹いたとか、そんな些細な心配なんて。 私の心に微かな希望が
沸き起こった。きっと修道院長は、やっと私に、正式に修道女登録の
日時を決定してくださるのだと、そういう希望が湧きおこったのでした。
「さあ、お掛けなさい。もっと私の近くに。」
しばらくして、院長は私の両手を掴んで、何かを伺うように
目を覗き込みました。そして言いました:
「ねえ、マリアさん、あなたがこのノンベルクで学んだことで
どの教えが、最も大切な教えだったか、言ってみてくれる?」
ためらいもせず、しっかり院長の美しい黒い瞳を見据えて、私は答えました。
「世界でただ一つ、私たちにとって大切な教えは、神の御意思を知ること、
そして、それを実行することですわ。」
「じゃ、それが気に入らないことでも?もしかしたら、とても
つらいことでも?」
院長の手の握りはぎゅっと強くなりました。
(そうだわ、院長は、この世のお別れのことを言っているんだわ。
何もかも、あきらめる日のことを)私は心でそう自問自答しました。
「はい、そのときでも神に従います、院長様。」