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獣の砦

獣の砦

 加藤清正はその子を不憫に想った。
時代とはいえわずか12歳の子に死ぬことを要求するのだ。
阿蘇惟光(あそ これみつ)は熊本の大名阿蘇惟種の嫡男で宿老・甲斐宗運が死去したことで薩摩の島津氏の侵攻を受け降伏。豊臣秀吉による九州平定が始まると保護を求め佐々成政、ついで加藤清正に身柄を預けられた。
つまり、加藤清正にとって惟光はよく知る仲であった。
城攻めにおいて責任を取らせるため切腹させることはよくあるが相手が子供というのは重く感じる。
わずかな領地を与えられても一揆が起こり島津側との結託を疑われ今に至る。
牢のなかで自分の運命を悟っているような惟光に加藤清正は、
「惟光、わしは多くの城攻めをしてきたが、お主のなかで一番手強かった城攻めというのはあるのか?」と言った。
「清正さま。それは、相手の侵略への対策のための出城も含まれるのですか?」
少し驚いたが、「ああ、含むで考えてくれ」
12歳の子供の城攻め経験をまともに答えられるとは想わなかったため、
命を助けるつもりで聞いたのだ。
 島津の侵攻の対策のため出城を築こうとある小山に目を付け300人の兵で砦を築くため向かった時です。
しかし、そこは無人の小山ではありませんでした。
与太郎という木こりが住む山でした。
相手は1人のためなんなくこなすと考え急いで砦を築くことばかりを考えていました。
与太郎は獣を捕らえ自給自足をしているようで、最初に罠がありました。
鳥を捕まえるような軽い罠です。
鳥が捕まっていたので飯を取らせることにしました。
そのとき与太郎が現れたのです。小柄の老人でした。
与太郎「お前ら、何用じゃ?」
惟光「この小山を砦にするためにまいった。さあ、この地を明け渡せ」
与太郎「お前ら阿蘇の者か?」
惟光「そうじゃ」
与太郎「島津が攻めて来るのか?」
惟光「その為の出城だ」
与太郎「そうか、ならばいよいよお前らに明け渡すわけにはいかんな」
惟光「お主は一人だろ?何ができる?」
与太郎「ならば力ずくで取ってみよ」
 森の茂る小山を上に上に登っていきました。
木は生えてましたが斜面は急です。だから砦にする為ここに来たのですが、
罠が至る所にありじわじわ兵は怪我をしていきます。
罠は獲物を捕るためだったのでしょうがそれが、そのまま兵を苦しめるのです。
そんなあるとき上からは山猿から襲われ下からは犬から襲われます。
相手は一人のつもりでしたが与太郎は獣を手なずけているようでした。
獣の数は多くこれはたまらんと兵は逃げ出しました。
将兵はなんとか兵をたとめ戦わせようとしましたが森の中では上手く動けず猿や犬に地の利があるようでした。
こちらの動きが相手にばれているうようでその謎を考えていましたら複数のキジがこちらを監視するように見ているのです。
じりじりになり古参の兵と私だけになったとき、ひょっこり与太郎が現れました。
与太郎「まだ続ける気か?わしは木こりをしたいだけだ。立ち去れ」 
惟光「・・・お主、私に仕えぬか?この『城』の城主に任命する。木こりより楽な暮らしができるぞ」
与太郎「断る。情勢は阿蘇側に勝ち目はないであろ?」
与太郎はそのまま立ち去り私達は城を築けませんでした。
加藤清正「ふはは、お主は桃太郎相手にでも戦ったのか?猿、犬、キジまるで桃太郎ではないか!」
清正は考える。こやつ12歳にして城を築こうとしていたのか。
勝ち目がないとわかれば逆に配下に加えようとするところ、生かしておくわけにはいかんな。
惟光は父や配下を殺され自ら大名になるために努力したんだろう。
武士の誇りも幼いながら身につけてのかこれから殺されるとしても悟っている目つきをしている。
文禄2年、阿蘇惟光は花岡山にて斬首された。
                                       了 

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2020/03/14 19:48
ありがとう
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2020/03/14 19:34
がんばってくださいね
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2020/03/14 19:32
すごいですね!恥ずかしながら私物語を考えることにおいて不得手なんです(笑)
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2020/03/14 18:50
うん!
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2020/03/14 18:00
お疲れさま、君が考えたの?



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