ペパー・ランド第16話
- カテゴリ:自作小説
- 2019/02/23 21:20:24
窓から朝の陽射しが射してくる。
俺は、んっと軽く伸びをして、ベッドから降りた。
今日はバイトも大学も休み。 ちょっとしたリフレッシュの日だ。
「あ、おはよう。パナ君目玉焼きは1つでいい?」
声がしたので振り向くと、狭いキッチンの前で何やら料理をしている斉木さんが居て。 ベーコンを焼く香ばしい匂いがしてきた。
「あ、ありがとうございます。1つでいいですよ」
俺は小さな冷蔵庫を開け、中からレタスと使いかけの玉ねぎを取り出し。
「パンありますよ… 焼きましょうか?」
斉木さんは此方を振り向いて くすっと笑ったようで。
「パナ君ってけっこー気が利くのね。お願いします」
俺は冷蔵庫の上にいつも置いている食パンを取り、トースターに入れてスイッチ点ける。
「なんかね。あたしさ、こういう感じに憧れてたの」
焼いてバター塗ったパンを頬張りながら、照れたように斉木さんが言う。
「こういうのって…? ああ朝飯のことですか?」
俺はわざと的を外したように答える。
「違うよっ!… まあ でも、いいかっ」
言葉を濁して、斉木さんはサラダに進む。
「あ、でも気にしてないからね。昨夜のこと…」
食べ終わって食器を洗っていたら、背後から斉木さんが俺にそっと寄り添って来た。
「俺は気にしますよ?ちゃんと責任とらないといけないし」
俺の胸の中に、ソニーさんの笑顔が浮かんでは消える。
複雑な気分だ。
背後から抱きつかれ、俺は食器を洗う手を止めてしまった。
斉木さんが、何だかいつもよりも小さく感じられるんだ。
「ごめん。パナ君とソニーちゃんとのことを知ってて、あたし…」
「いいんですよ。そんなこと考えないで下さいよ。俺だって…」
頭の中はぐちゃぐちゃだ。
昨夜のことは鮮明に覚えている。
「あ、二番目でもいいからね?」
暫く時間が過ぎたあと、斉木さんはそう言って来た。
「二番目ですか…?」
「うん。そう。二番目には慣れてるからさ…」
俺は手を止めて振り向く。斉木さんが俯いていて。小さく震えてたり。
「二股かけてもいいってことですか?」
まさかそんな事を言う女子がいるとは想像もしていないんで、確認してみた。
「うん…そうだよ」
「駄目ですよ。俺はそんな二股なんて、できないですっ」
その刹那、斉木さんはびくっと身体震わせ、俺の方を見上げたんだ。
「そっか…そうだよね。パナ君はソニーちゃんのことが大切だもんね」
「違いますよっ」
「違うの…?」
少女のような、不安げに眼差しを揺らせる彼女に、俺は思い切って言ってみる。
「はい。俺はこれから斉木さんと… です」
その時だった。
俺は全身に激痛が走ったのさ。
『えっ? なんなんだ?なんなんだ?』
目が覚めた。
俺は簡易ベッドから床に転がり落ちていた。
目を擦って周囲見渡したけど、さっきまでいた筈の斉木さんの姿はない。
えええええっ
夢だったと気づくのに、少し時間がかかったんだ。
「えーっとどこからどこまで夢だったんだろ…」
俺は頭掻いて起き直る。
流しには昨夜の鍋がきれいに洗って裏返しにしてあった。
食べ残しもポリ袋に入れてゴミ箱に。
「そうか…俺酔っ払って寝ちゃったんだっけ」
テーブルの上に、メモがあった。
”パナ君、風邪引かないようにねー後片付けはしといたからねっ さいき”
続く
夢にしたいだけだ。
月島探偵 談w
お忙しいのですね。
4月に入って落ち着かれたら第17話UPしてくださいね。
夢だったのね。
読みながらマジかー?アカンやろー!って思っちゃいました。。
でも、ソニーさんとキッチリ別れて次ぎいってみよー!って思ってますww