Nicotto Town


ヤツフサの妄想


魔法使いの俺が異世界で本当の魔法使いになる 3

~尋問の開始~



尋問管がやって来た。

早速尋問開始と逝こうじゃないか。

俺は別に悪い事したわけじゃない。

正直に話して信用してもらえるかどうかは別として、ここに来て何か悪い事をしたわけでもないし。

だが尋問管が来たと言うのに顔も見せない。

1週間もパンツすら無しで、プライベートもへったくれもない、布団すらない場所で過ごしたんだ。

俺は我慢の限界に来ていた。

『こんなノロノロやってるから時間かかるんだよ! もっと効率よくやれよ!』

俺は心の中で悪態をつく。

早く尋問とかをやってくれないかと待ち続けたが、気が付くともう暗くなっていた。

この世界は明かりとなる不思議な石があるのだが、どうやら高価らしく尋問は明日と言う事になった。

「なんでこんなに時間がかかるんだよ!」

「お前が嘘をついてもわかる魔道具があるんだよ、それを設置するのに時間もかかるし、魔力も込めなきゃいかん。 そんな事も知らないのか? よほど遠くの異国から来たんだろうな。 だがここじゃこれが普通なんだ」

俺は黙るしかなかった。

何せこの世界の常識なんて、何1つ知らないんだから。


翌朝まだ眠いのに俺は叩き起こされ尋問される事になった。

尋問はここでするのかと思ったが、なんと予想外にも詰所の裏に小部屋が有り、その中で行われるらしい。

中に入って驚いたね。

真ん中にテーブルが有り、そこに水晶球が置いてある。

その横にはピカピカに磨かれた金属の板。

どうやら水晶球に繋がって居るらしい。

その後ろには機械とも実験道具とも何とも言いようがない、不思議な樽とかガラスの小瓶が並んでいる。

試験管の様なガラスの小瓶の中には液体が入っていて、どれも色違いだ。

それらが全て金属の板と水晶球に繋がっている。

『こんなもん用意してたのかよ、そりゃ時間が掛かるわ。 正直この機械を設置した場所に護送した方が早くないか?』

疑問に思ったからストレートに聴いてみた。

「兵士さんよ、この機械が置いてある方に俺を護送した方が早かったんじゃねぇの?」

「無茶を言うな、お前が捕まった時丁度犯罪者を護送しかかってた途中だったんだ。 慌てて護送中の隊長を呼びに行ったくらいなんだ」

どうやら俺に最初に話しかけて来た兵士、スタウトはただの隊長ではなさそうだ。

ある意味運がよかったのかもしれない。

そうじゃなかったらもっと時間が掛かって居たかもしれないと思う、何せ今までみた街中には電信柱とかも無かったし、詰所には電話1つない。

電気すらなく、謎の魔法石ってのが明かりの代わりだった。


「それでは君にこれから質問を開始する、まずはその金属の板の上に手を置いてくれないかな? こっちの言葉はわかるかな?」

「ああ、普通に俺の居たところと同じ言葉だからね」

「君は口が悪いね、田舎育ちなのかな?」

『かな? かな? って言葉が少しイライラさせたが、口が悪いのは間違いない。 何せ2年間も引き篭もってネット弁慶してたんだから』

言われるがままに金属板の上に右手を置いた。

するとビックリしたね、後ろのビーカーの中の液体が沸騰して、それそれ゛の色に輝きだす。

それと同時に水晶球も100w位の光を放ち始めた。

「すっ、凄い人じゃないかな? これは魔法使いかな?」

「悪かったな! ああ、魔法使いだよ! 年齢イコール彼女居ない歴だよ! 何かも文句あるわけ?」

「き、君は歳はいくつなのかな?」

「今年で38だよ、何かも課題でも? あぁ?」

「彼女居ないのは関係ないと思うけど、全属性の魔力がこれほどまであるのは僕は初めて見たかな? よほど凄い苦行をしたのかな」

「ブラック企業で休みなく働いてただけだよ! 好きでやってたわけじゃねぇ! 喧嘩売ってんのか!」

「ぶ、ブラック企業・・・ それは悪の組織か何かな?」

「違うよ、社員を奴隷みたいに使うクズ会社のことだっつーの」

「つまり貴方は、奴隷だった事が荒行だったのかな?」

「荒行なんてモノじゃねぇよ。 朝から夜中まで仕事して、せっかく眠りに付けると思って帰宅すると、また会社に呼び出される。 上司がミスしても俺のせい、部下が失敗しても俺のせい。 残業代はサービス。 飯だって食べる暇がないし。 使えなくて溜まったお金もいつの間にか姉貴がちょろまかしてる。 荒行って言うより地獄だね」

「地獄なんて凄い所か・・・な」

「ああ、凄いとこだぜ」

「それにしてもこれだけ凄い魔法使いを見たのは初めてかな」

「その意味が解らねぇ、とにかく俺は元の世界じゃ『魔法使い』って言われてた事はマジだ。 魔法は使えないけどな、嫌みかよ」

「すっ、凄い! 本物の魔法使いだな!」

俺は物凄く屈辱を感じ、

「ふざけるな! バカにしてるのか!」

俺は怒鳴った。




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