Nicotto Town


ヤツフサの妄想


魔法使いの俺が異世界で本当の魔法使いになる 1

~異世界への扉~


俺、篭屋 真守(かごや まもる)38歳は、今ありえない所に来ていた。

昼寝て夜起きるライフスタイルで、いつもの様に部屋に引き籠って夜中にネットサーフィン。

巡回するサイトを色々見ていて辿り着いたのが、何故か中世の様な街のど真ん中。

周りの人々も驚いている。

と言うか、俺の方が驚いてるっちゅーの!

何でこうなったか、順を追って思い返してみる。



俺は学生の頃から廃墟マニアたった。

今なら受け入れてくれただろうが、当時は変な目で見られる存在で友達もいない。

父子家庭で姉と3人暮らしだったが、親父が仕事で忙しい事をいいことに姉がギャル化。

まともに家に帰って来ない日が続く、バカ女になっていた。

俺は親父の負担を減らすため、高校卒業後直ぐに就職。

ところが入社した会社がトンでもないブラックで、毎日サビ残は当たり前。

でも高卒の俺は当時就職難と言う事もあって、転職もままならないし、唯一の楽しみは休日の廃墟巡り。

勿論彼女も出来ずにずっと過ごし、社会人になってネットを始めるも、廃墟マニアのサイトは当時無く、自分で立ち上げたらオカルト好きが集まってしまった。

勿論話が合わず、自分で作ったサイトを他の人に引き継いで退会。

その後知り合った本当の廃墟好きの集まるサイトで、ようやく友達が出来るも仕事が忙しすぎてオフ会にも出たことが無い。

だから普通に童貞のまま30を過ぎて魔法使いになって居た。

実際に魔法が使える掘訳じゃないけどな・・・ ははっ


そんなブラックな会社に10年も居たせいだろうか、俺は完全に統合失調症になって居た。

転職を何度しても、躁鬱が激しく数か月で退職。

2年前くらいから家に引きこもっていたのだ。

そんな俺を親父は支えてくれることもなく、毎日食事と一緒に履歴書を置いて先に家を出る。

姉は時々金の無心に来るが、いつも違う男の所に転がり込んに転がり込んでいて、時々顔を合わせれれば罵倒しかしてこない。

「お前にだけは言われたくねぇ!」と何時も言うが、親父は姉に対してだけは物凄く甘い。

理由は小さい頃から薄々知っていたが、俺は離婚した母親が浮気して作った子だからだ。

顔はそんなに悪くないと言われるが、俺の家庭事情を知ってる近所のBBAが言いふらしたことで学校でもいじめられ続け、いつの間にか誰もいない場所にあこがれるようになって居た。

だからだろう、家に居場所が無く部屋にこもって廃墟サイトとかを探し回って居た。

引き篭もる何年か前にならそう言うサイトがごまんとあったんだろうが、廃墟ブームも去り殆どない。

有っても冷やかしか、オカルトか、精神科のサイトへの誘導だ。


そんな中、気になるネット広告を見つけた。

「無料オンラインゲーム魔王バスター」だ。

普通ならそんな広告とばして見るのだが、書いてある内容が気になった。

"魔王を倒すべく実際の命を懸けて戦う! ゲームの中での死亡はリアルなあなたの死を招きます"

どうせまたブラフだろう。

けど気になったので暇つぶしにやってみるかとDL。

exeファイルを解凍すると「本当にこのゲームをするのですか?」の文字。

もちろん「Yes」。

すると次は「あなたは異世界で本当に戦って死ねる勇気が有りますか?」とか聞いてくる。

うざい、これキャラクターの設定か何かなの? とにかく「Yes」。

そうして簡単なYes/Noの質問が続き、そんな質問にいくつ答えたかわから無くなるようなとき、急に画面から貞〇みたいなの出てきて俺を捕まえた。


その後はよく覚えていないが、どういう理屈かわからないがここに連れて来られたらしい。

『どこよ・・・ ここ』

普通召喚ものとかのゲームやラノベなら、召喚用の魔法陣の上とか街の近くの草原とか小高い丘だろ?

某マッチョな殺人サイボーグじゃあるまいし、いきなり街中に出てくるのかよ!

まぁ、服は着てるけどもな。

結構大きな街に来たらしく道路は石畳だし、沢山のやじ馬がぞろぞろ集まってくる。

皆異国風の顔立ちで、建物も異国情緒満載だ。

そして周りから10メートルくらい離れた物陰や通りの向こうでひそひそ話ている。

こ・・・ これはヤバイ。

そう、ここまでの道のりはネットで変なプログラムを起動しても気が付いたらここに居たってことだと回想を終わらせる。



このままじゃどうにもならない。

何か話をしなくちゃ。

焦るわ、2年も引き篭もっていたせいかこう言う時どう話したらいいのか思いつかないって。

挨拶? あっ、自己紹介とか?

「はっ、ハロー. アイム マモルカゴヤ・・・ えーっと」

高卒でまともに外国語なんてしゃべれないのを無理して知ってる言葉とか言ってみる、すると遠くから物陰で見ていた育ちの悪そうな男の子が大きな声で叫ぶ。

「あいつなんか変な言葉喋った!」

「しっ! 見るんじゃありません!」

物陰から見ていたガキンチョの親と思われる親が、ガキの手を引いて路地に引っ張っていく。

と言うか。

日本語!?


唖然とした。

ここは日本語で話が通じる世界。

もしかしたら志摩スペイン村とか、リトルワールドとか、ブラジリアンパーク鷲羽山ハイランドみたいなものなのか!?

ちっ、騙された。

でも俺、いつの間にここに来たんだろう・・・





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