Nicotto Town


ヤツフサの妄想


悪魔なので邪神を育てる事にした 42話

~ 神々の解放 ~




ここは異世界、ディーアズワールドの天界。

そこには数百柱の神が力を根こそぎ奪われ、封印と言うより昏睡状態にあった。

彼らには『信仰』と言うエネルギーも無ければ、人の魂の輪廻による循環と言う自身の活性化の力もない。

このまま誰にも忘れ去られ、消えていく運命だったはず・・・

しかし神々の姿が消えかかっているのに、その形をうっすらと残している理由。

それは1冊の本のおかげであった。

それはプジョサンの地下に隠されたローンヒストリーブックと言う、神々の事を記された最後の本。

数千年前は観光ガイドブックとして売られていた本で、実際神々の神殿巡りは当時の観光の1つだった。

大地の神、水の女神、戦の神、歌や踊りの女神、それこそ数えたらきりがない八百万の神々の神殿巡り。

信者のを獲得する事もそうだが、観光で得られる財源は大きい。

何処の神殿も工夫をこらせ、観光客の目を楽しませる。

そんな時代のガイドブックだった物が、既にこの1冊しか残っていない。

紙の劣化を防ぐための魔法陣が刻まれていたのは、当時観光旅行が好きでガイドブックを何度も見ていたおっさんが、何冊も買い漁るのが面倒になったから施した下級の劣化防止魔法。

既に数千年の時を経た現在では、効果が薄れ既にボロボロだ。



しかしこの本の事を知った王都の研究生、見た目受験勉強中の女子高生さんが、本を保護し過去の歴史を紐解こうとしていた。

熱心な歴史研究の末に掴んだ、ほら話と言って酒場で飲んだくれていたおっさんから聞いた情報を元に探し出した1冊の本。

その写本をぴっちり書き写し、女神の目が届かない王都の学院専用研究室で何度も読み返し、当時の景色を思いめぐらせる。

その行動がほぼ消えかかっていた神を、姿形だけは何とか取り戻していく切っ掛けとなって居るとは知らずに。

勿論昏睡状態は続くわけだが。

そんな神々の復活。

どうしたら良いものか、バアルは邪神様と相談をしていた。

「邪神様の言う事が本当なら、元々私も過去の遺物、本来なら消えてしまうはずだった者ですが、伝承者が少しづづ伝え、16世紀ごろに悪魔大全として纏められたから生きていると言う状況なのですね」

「うむ、伝承なくその形を残して居られるものは、宇宙の誕生と共に出来た力だけじゃからのぅ」

「ではこの世界の神々を復活させるのには、人々の認知度に掛かって居ると言っていいのでしょうか?」

「じゃが、この世界の人々は、駄女神によって情報をコントロールされておる。 しかしじゃ、人間の欲望と言うものはそう簡単になくなるものではない。 現に遺跡の奥で会った歴史オタクの女の子、つまり神を恐れぬヲタク。 歴女も存在すると言う訳じゃ」

「歴女を利用すればよいと言う事ですか?」

「それが一番無難じゃのぅ。 我らが広告塔になって認知させても、一時の話題で終わってしまう。 が、歴女は違う。 仲間を増やし、最適のイメージキャラを想像し、例えそれが刀であろうともアッチの世界に取り込むのじゃ。しかもそれに金を惜しむことなどない。 それは男でも同じじゃろう。 むしろ男のヲタクの萌化は、爆発的に広める効果を生む。 我等がどうにかするより、彼女を後ろから押してやる事が重要じゃ」

「後ろから後押しですか・・・ 金銭面で支えるとかでしょうか?」

「いいや、ここは一発コミケを開く事じゃな」

「邪神様が時々行っていると言う噂を聞く、薄い本を売る市ですか?」

「その通りじゃ!」



こうして邪神様とバアルは、王国で不用品バザーを開催すると称して、コミケの準備を始めた。

勿論、見た目受験勉強中の女子高生さん(仮名)さんに、邪神様がBLネタを吹き込んで妄想を暴走させ、同志を募り薄い本を大量生産させる。

またこれと同時に、見た目受験勉強中の女子高生さんの本の目隠とてして、現存する女神を題材にした触手本を作成し、試作品として多くの男子生徒にこっそり見せまくった。

そして男子たちも、見た目受験勉強中の女子高生さんの薄い本の作成に気が付くと、歴史の彼方に消えた太古の女神達を次々に薄い本にしていき、とうとうコミケで販売できる程の信者を作り出していたのだ。

コミケ当日は不用品のバザーと言う事で、学生が使い終わった教科書を後輩に売ると言う名目で、教科書に紛れて薄い本を売りまくっていたのだが、親と言うものはごまかせない。

ベットの下や机の引き出しの一番下にある薄い本が次々と発見され、女神教へと報告されコミケが弾圧される事になった。

しかしそれが更なる欲望と妄想を生む。

禁止されればされる程、エロ耐性の無かった学生たちは夢中になった。

そしてそこから若い社会人にも浸透していく。

今まで女神が魂を喰らうばかりで放出しない事が原因となり、S〇Xは女神神殿でしか行われない、つまり外部の異世界から召喚した魂を宿すだけのものだったので、オスの存在など殆ど必要が無かったと言うのもある。

それに堕落といてもそっちばかりでなくても幾らでも堕落も暴欲もある。

それ以前に魂が有ればそれ以上に力が蓄えられるのだ。

だから女神に選ばれた者たちは、女神の力によってみこすり半で儀式は終了し、気持ち良いとかそう言う物もない。

また情報規制がバッチりしていたこともあり、エロ本もなく自慰をするものも居なかった。

おかずが無いのである。

そんな世界に突如現れた薄い本は、瞬く間に裏社会で取引され、禁止しようとする女神教を敵とみなし「反現女神団体」の設立が各地で同時発生し、その勢力を拡大していく。

女神教が気が付いた時には多くの古の神が、いつの間にかメチャ姿を変えてイメケン&美女、美少女として復活していったのだ。


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2018/12/23 21:55
>まりあ様
薄い本は、特定の人達のバイブルだと思います。 ヽ(゚ω゚=)
ヤツフサの友人が軽のバンで夏コミに買い付けに行き、数十万円分の薄い本を購入。
自宅近くの高速で事故って、薄い本をぶちまけたと言う話を聞いたことがあります。

その話をする友人の顔は、何か悟りを開いた様な感じでしたよ。
多分「聖典」ってそう言うものなんでしょうねw
アバター
2018/12/23 14:54
まさかの薄い本登場



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