悪魔なので邪神を育てる事にした 41話
- カテゴリ:自作小説
- 2018/12/05 20:36:05
~ ピエールスィク姫救出 ~
「やはり誘拐されたか」
「予想通りじゃのぅ」
3つの神器を手に入れ王都に戻ると、ピエールスィク姫が誘拐されたと大騒ぎになって居た。
目撃情報によるとドラゴンに連れ去られたらしい。
ドラゴンの飛び去った方角は南東。
途中に毒の沼があり、迂回してその先に行くと、港町リリムダールの町があるらしい。
「邪神様、ピエールスィク姫は何処に連れ去られたのでしょう?」
「うむ、まずマオラの村に行き、虹の竪琴を手に入れ、リリムダールに行き、魔法の鍵を手に入れて、毒の沼の中にある祠の手前で虹の竪琴を引くと橋が架かり、その先に扉があるので魔法の鍵で・・・」
「飛んでいけば問題ないですね。 魔法で開く鍵なら、私の魔力で何とかなるでしょう」
「そんなのダメなのじゃ! ピエールスィク姫を助ける正規のルートじゃないのじゃ! 宿に泊まって『昨晩はお楽しみでしたね』って言われないのじゃ」
「それをするとどうなるのですか?」
「ピエールスィク姫の愛と言うアイテムが手に入る。 捨てようとしても捨てられない呪いのアイテムで、GPSでも付いているかの様に姫に位置を探られてしまうのじゃ。 そして毎度ピエールスィク姫に話しかけると『勇者様はピエールスィクの事を思って下さいますか?』と聞かれて『いいえ』と言うと『そんな、ひどい…』と言われた後また『勇者様はピエールスィクの事を思って下さいますか?』と聞いてきて、何万回だろうが何億回だろうが『ハイ』と言うまで無限ループする凄いアイテムなのじゃ!」
「要りません、姫は見捨てましょう」
「なぜじゃ!」
「姫が居なくても女神が倒せるからです」
「どうしてわかったのじゃ!」
「姫の存在自体が神器の封印ですから、封印させないでい居てくれる封印姫なぞ助けても意味がないと言うか、助ける方が害悪です」
「うわああぁぁぁん! 『昨晩はお楽しみでしたね』が聞けないのじゃ! うわあああぁぁぁん」
余りにも邪神様が騒ぐので、その話が国王の耳に入ってしまい『どうか姫を助けてください』と懇願されてしまった。
バアルは気が乗らないが、ピエールスィク姫を助ける事になってしまった。
邪神様が言うのには、勇者の正規の道のりと言う者があるらしい。
しかしその道を辿れば"ピエールスィクの愛"と言う呪いのアイテムが付与されてしまい、どうしても結婚しなくてはならないと言う恐ろしいアイテムらしいのだ。
妻の居るバアルには危険すぎるアイテム。
邪神様が欲しいと言ってるのだから、邪神様にアイテムが付いたとしても、どの道異世界から去る身。
そうなればダレイク王国の王家が大変な事になる。
世継ぎ問題だ。
その為ディーアズワールドでピエールスィク姫に相応な婿探しをし、それをドラゴンの所に連れて行くことにした。
ドラゴン自体はバアルが倒したとしても、ピエールスィク姫の呪いのアイテムを受けるのは、ダレイク王国を任せられる人物に任せればよい。
後は、邪神様が聞きたかったと言いう『昨晩はお楽しみでしたね』を宿屋の親父が言えばいいだけである。
別に相手は誰でもいいとの事だ。
『そんな事なら拘らなくてもいいのに・・・』
こうしてピエールスィクの婿候補探しから救助作戦は始まり、政略婚と言う事もあってナパーラ聖神国の聖者見習いの1人が選ばれた。
候補が2人いるから、1人くらい良いらしい。
ピエールスィク姫奪還作戦は、邪神様、バアル、聖者見習いのマリヲに決定し、正規のルートを通らず邪神様にマリヲを乗せ、全員で空からの急襲攻撃で決定した。
奪還作戦は早かった。
マリヲを乗せている為かなり飛ぶのを遅くしたが、それでも直線コース、4日ほどで到着した。
祠の鍵はバアルが魔力を込めると簡単に開く。
邪神様もやりたかったようだが、あのお方にやらせるとワザと時間をかけて楽しむ可能性が有ったので、素早く扉を開く。
するとそこで邪神様が提案する。
「この先は魔物の巣になっておるのじゃ、あのスーツを着て戦うとよいぞよ」
「あのスーツって、赤いのと緑色のスーツですか?」
「そうじゃ。 今回は赤いスーツをマリヲが着るとよいぞ、バアルは緑じゃ」
そこでマリヲが口を開く。
「あの~ これ、配管工の服じゃないですか?」
「見た目に騙されてはいかんのじゃ! それは勇者の服なのじゃ!」
「そ、そうだったんですね。 僕、とても失礼な事を言いました! 言われてみれば何となく神々しいです」
「うむ、ピエールスィク(ロシア語で桃の意)姫を助ける勇者はこの服でなくてはいかんと相場が決まっておる」
「僕、頑張ります!」
「その意気じゃ」
赤いスーツに着替えるマリヲ、緑のスーツに着替えるバアル。
そこで疑問に思ったバアルは邪神様に聞く。
「邪神様は何を着られるのですか?」
「我は変身するのじゃ」
ピカッ!
また無駄に輝く邪神様。
そして現れたのは、黄緑色の丸っこい恐竜。 邪神様曰く〇ッシーとの事。
とりあえずネッシーと言う事にして、レベル666もある足の速いバアルに付いていくため、マリヲをネッシーに乗せ進む。
正直マリヲは弱い。
多分ジャンプに失敗して何度も穴に落ちて死亡するだろう。
それらの罠や魔物を飛んだり跳ねたり蹴ったり食べたりしながらなんとか最後のドラゴンの所にたどり着く。
すると・・・
ズガーン!
「な、何事だ!」
「僕、なんだか怖くなってきました」
「ダメじゃな・・・ これは」
そこには自ら地面に首を突っ込んだドラゴンの姿。
そして突っ込んだ地面の下からドラゴンが『すみません、女神にやれって言われたんです』と泣き声の謝罪。
ドラゴンは土下座し過ぎて頭が地面にめり込んでいた。
バアルは文字数制限を知っている、「出来る悪魔」なのです ヽ(゚ω゚=)
時間も文字数も無駄にしませんw
残業しなくても仕事が残らない、部下とのお酒の付き合いも良好、家族サービスも完璧で、しかもイケメン!
邪神様も流石にこれにはタジタジなのですw
初代ドラクエでは、どんなにレベル差があってもドラゴンは土下座しません、逃げるだけです。