『線路は続くよ』
- カテゴリ:30代以上
- 2018/04/28 21:39:25
#はるのおとずれ
汽車が駅に着く
扉が開くと、暖かな空気が車内に流れ込む
この街にも、遅い春が訪れたのだろう
改札口の向こうには、たくさんの人
その上には「春の訪れ祭り開催中」の横断幕
人垣の中にいるのは、春の妖精だろうか
人は皆、春祭りに行ってしまったのか、ホームはしんと静まりかえっている
駅員さんも、売店の店員も、誰もいない
そんなホームの片隅のベンチに、少年がひとり、寂しげに座っている
汽車を待っているのだろうか
人垣から、ひとりの少女が少年を見つけ、近寄る
「何こんなところでしょぼくれてるの?」
少女が声をかける
「なんだ、お前か」
振り向いて、少年が言う
「なんだって何よ」
頬を膨らませる少女、続けて
「あなたはお別れの挨拶行かないの?」
「僕は北風、みんなの嫌われ者だぜ。行ったところで、イヤな思いをさせるだけさ」
少女から顔を背け、少年が言う
「そんなことはないと思うけど?」
「あるんだよ!」
「そうかな~。だってあなたは本当は優しくて素直な人じゃない」
「・・・・・・」
「北風に追われて凍えて家路を急ぐ人を見送る時の、ごめんなさいの目。北が銭魔負けないように、しっかりと手をつないで寄り添う恋人達を見守る優しい目」
「・・・・・・」
「ね。本当のあなたを知れば、きっとみんなあなたのことを好きになるわ」
「そんなことで北風を好きになるやつがいたら、笑っちゃうね!」
怒ったような顔で言う少年に、少女は微笑み、そっと寄り添う
「じゃあ、笑って」
やがて、発車のベルが鳴り、汽車がホームを出る
汽車は、移ろいゆく季節の中を走り続ける
つづく
(#^.^#)
いつもの大好きな~「線路がつづくよ」シリーズですね^^
いつも~ほっこりする…こころ温まるお話で~
本当にホッ~З…とします^^
「春の訪れ祭り」で、皆が、浮かれている所に
1人寂しげにしている…少年…それが「北風さん」って
ちょっとドキッとしました^^
そう~私も春の訪れで、浮かれてw、北風さんの事は、忘れてました~^^
(と言うか…気温の高低差の激しさで、喜ぶ暇も無いですが…w)
それを慰めているのは「春の妖精さん」か、「春風さん」かな?^^
優しいですね^^キット可愛い女性なんだろうな~^^
など勝手に想像して楽しみました^^いつもありがとう^^
私の思いこみかもですが…
私が、落ち込んだり、怒ったりした時にいつも
慰める様に書いてくださってありがとう^^
優しい~ゆ様に、いつも感謝しています^^
「ゆとり教育」の件は、ごめんなさい~
子供の事になると~我を忘れてしまうので…
キツイ言い方になってしまって、本当に申し訳ございません~
m(_ _)m