ドール
- カテゴリ:30代以上
- 2018/02/19 21:37:09
私の友人の趣味は多彩で、
いつの間にか私もその道に迷い込んでいるときが多い。
その中でも石膏人形作りに凝っている奴がいる。
奴の話によると澄明な感じのする額と頬をつくるのに、
絹雲母の粉末が欠かせないという。
それも、できるだけ硬質な水の土地で取れる雲母がいいという。
暇なので奴と一緒にドライブを兼ねてお出かけ、
行先は京都のとある山でいい雲母が取れるという。
私は隣で景色を眺めながら奴の話に相槌を打った、
冬の平日の高速は空いていた。
馬鹿話にのども乾き腹も空いてきたので、
パーキングでランチをとることにする。
ランチには少し早い時間の為かフードコートは空いていた、
私たちの斜め向かいにぽっんとひとり、
連れもなく座っている少年の姿が印象に残った。
いつものことながらお出かけは急にだ、
どうしても今作っているドールにはそれが必要だと。
雲母と言えば透き通ったガラスのようなものだと思っていた、
それをドールに使うんだから凝り性にもほどがある。
まー大体みんなそんな奴ばかりだからあまり気にもしないけど。
奴いわく、
「完璧な白なんてない、
でも私のドールには限りなく完璧に近い白さが必要だ。」
私は上の空で相槌を打った、
いつの間にか先ほどの少年の姿が消えていた。
「ほら、これ見て」
奴はバックの中から密封容器が入っている袱紗をだした。
容器の中の雲母よりもその袱紗に目を奪われた、
年代物らしい袱紗は見事な織物で、
年月を経ても糸の艶は失われておらず波打つように光に反射してる。
私もこれは欲しいと思ったが、
ここまでの年代物となるとかなり値が張るためあきらめた。
その容器の雲母の話は続いたが、
袱紗の方に気を取られてまた見せてもらうことに。
やわらかい雪白沙に浮かび上がる織り模様は、
しなやかに茎を流した水仙花である。
奴はその袱紗をひろげ、
中に包まれた薄い楕円形の密封容器のことも話した。
「この袱紗に入れるために特注で作らせたんだ」
まったくの凝り性に、お手上げである。
「これ、今でいえばコンパクトだょ」
祖母が使っていたものだそうだ。
つづく
創作の教室に通い出そうと、ちょうど10年前ね、教室の資料集め出してたその矢先、
仕事上の大きなトラブルが発生。提訴するも6年の闘いの後に不当判決、未だ解決ならず。
諦めてたけど、人形への興味を忘れることはやっぱりできないね。絹雲母の粉かぁ、
肌を仕上げるのに必要なのね、すごい! ご友人の気持ちわかります。
でもま、本格的なものでなくてもいいんだよね、なにも。最近サイトで新聞紙のペーパー
マッシュの人形を見て、心動かされた。創作の気持ちが大切なんだよね!!
季節や質感、奥が深いのですねー
これから勉強してみようと思います。
なぜなんでしょう~~
そんな高価な、袱紗なんてもってもないのに^^
郷愁を感じながら、読ませていただきました~~
ありがとう♪(#^ー゚)v