Nicotto Town


今年は感想を書く訓練なのだ


『聲の形』 (2016)

◆概要
ヒロインは転校してくると、自己紹介を書きつけたノートを掲げて見せた。
友達を作ろうとする純真無垢な少女へ、いじめと言う現実が突きつけられる。
主人公の少年はいじめを率先したことから、される側へ転落して行く。
自殺しようと決心した主人公は、ヒロインへケジメの謝罪をするところから物語が動き始める。
彼女との意思疎通を図ろうと、彼は手話を学んでいたのであった。

◆感想(ネタばれあり)
以前ムカチャッカ泣きしたアニメとしてお話しした映画が『聲の形』 だ。
まずはじめに、『君の名は。』(2016)について紹介しよう。
このアニメは、つい先だってTV放映されたのでその感想は沢山あります。
時間軸のずれたメールの交信と、元祖入れ替わりドラマ『転校生』に
一種のタイムトラベルが加わり、歴史の改変が行われる。
主人公の内面を追ってゆくというより、なぜ? どうして?
それらを追いかけて行くエンターテイメント性の強い恋物語だと思う。
素晴らしい写実性の強いアニメーションと、そのカメラアングルは見る者の目を引き付ける。

それに比べると『聲の形』は、映像における純文学とも言えるのではないだろうか。
何故そう感じたのかと言うと、一つ分かったのだが、確かに声には形があった。
どんな形? 描写と言った方が分かりやすいのかもしれない。
えがお、なみだ、うつむき、かなしみ……
ひかり、あんうん、かげ、しんえん……
沢山のこれらがもたらす形(画面)からは、言の葉が放たれているのが判る。
時に言の葉は、言霊と供にあり私たちの魂へ語りかけて来る。
大気を震わして伝わる聲でなく、形を伴って魂を揺るがして来るそれで……
アニメや映画ではそれを通して、如何に観客へ伝えられるかが要なのであろう。

聲の無いヒロインの描写で、その形は描かれている。
はじめに、これは私が感じたことで、制作者側の思惟でない可能性をお詫びしておきます。
涙を伴う感情表現において、その丸みを帯びたイメージが訴えかけてきます。
おおよそ幼子にとどまらず、動物の子供はふっくらと弧を描いて表現されます。
そこから流れ落ちる涙には、遠い心の故郷から届いたメッセージを伴っています。
それを読む者の胸に、あまりにも愛おしくて、わが子を包み込むがための、
熱き血潮が沸き立って伝わり来るのです。
これが命をつなげて行くために、神(自然)から与えられた心なのでしょう。
もし、貴方がこの映画を見て涙したなら、決してこれだけではない聲の形が見て取れるでしょう。

この映画を見た貴方の頬を伝い、掌にこぼれ落ちた聲の形を教えていただけたら幸いです。
ちと大げさだったかな…… (汗




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