『線路は続くよ』
- カテゴリ:30代以上
- 2018/01/11 19:32:00
# 雪だるま幻想
「今日は楽しかったね」
「うん。電車が来る度に、みんなわたし達を見てはしゃいでたわ」
「あしたもまた、楽しい日になると良いなあ」
「無理よ。あしたにはきっと・・・」
「そうだね。でも、一度で良いから、電車にも乗ってみたかったなあ」
「そうね・・・」
汽車が駅に着く
真夜中の無人駅
小さな駅舎と小さなホーム
雪かきをされたホームの端では、雪山と、溶けかけた雪だるまが二つ並んで
街灯だけが灯る街で、汽車を迎えていた
「この汽車にお乗りですか?」
ホームに降りた車内販売員が、雪だるまに話し掛ける
「いいえ、ちがいますよ」
「わたし達、あしたには消えてしまいますしね」
少し寂しそうに笑って、雪だるま達が言う
「あら、でも、切符をお持ちのようですけれど?」
販売員が言う
「え?」
「何処に?」
雪だるま達は、きょろきょろと目だけ動かす
「ほら、ここですよ」
販売員が、雪だるまの胸のあたりを指さして言う
「う~ん、見えない・・・」
「手が届きません・・・」
雪だるまなので、動くことが出来ないようです
「はい、これですよ」
販売員が、雪だるま達の胸から切符をとり、その手に渡す
「渡されても・・・」
「わたし達は雪だるまだから手も動かな・・・あら、動いたわ」
雪だるま達は、驚いたように自分の手を見、さらに首をきょろきょろと動かす
「動いた!」
今度は、ぴょんぴょんと跳ねてみた
「動くわ!」
頭の上に、びっくりマークとはてなマークが浮かぶ雪だるまに微笑みかけながら、車内販売員が言う
「この汽車にお乗りですか?」
「もちろん!」
「もちろんよ♪」
仲良く手をつないで、雪マークのついた車両に向かう雪だるま達
やがて、少しだけ明るくなりかけた空に、発車のベルが鳴り響く
汽車は走り続ける
次は、どんな景色に出会えるのだろう
つづく
(#^.^#)
いつもありがとう♪
冷凍車両・・・
鋭いですね
実は、最初
『その雪マークのついた、冷凍車にお乗り下さい』
と言う文があったのですよ
でも
冷凍車つて、クール宅急便みたい
と、セルフ突っ込みが入ったので
その部分を消して、ぼかしました
(#^.^#)
大好きな「線路が続くよ」シリーズですね^^
雪だるまさんが、
一生懸命動く姿が、想像出来て、可愛い~^^
冬だけの短い命の雪だるまさん、
子供の頃、溶けていく雪だるまさんを、観て悲しくなったのを思い出します。
滅多に雪が、積もらない所出身の私は、
「小さな~雪だるまさん助ける為に、冷蔵庫に入れよう」として…
母に激怒された思い出もある~w
皆考える事は、同じなのか、そう言う、お話も子供時代からよくありますよね^^
きっと愛のある素敵なこの列車は、冷凍室ならぬ…冷凍車両もあって、
彼らは、目的地まで無事に行ける様な気がします^^
え?そんなの無い?w