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旧友の過去話(伝言板)
カテゴリ:
伝言板
2017/10/16 00:27:29
ここは梅さんと私専用の伝言板です
他の人は見たり書き込みをしてはいけません
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/27 00:07
リシア(鳴神琥珀)
トパーズの力の主導権をエルに奪われたのを感じた
恐らく襲いかかってくるであろう雷を予測し
「頼んだよ、紅(くれない)」
雷が到達する瞬間、その場所を的確に捉えた炎が雷を炎もろとも消し去った
彼女が名を呼んだのは胸元で一際強く瞬きを繰り返すルビー
それだけで紅は的確な判断をし、主である琥珀を守る
「古より吹き荒ぶお前に命ずる。我が足にその加護を纏わせよ」
ドンッ!と音を立てて足が力強く床を蹴れば、そこの部分にクレーターが出来た
ついでと言わんばかりに纏う風を使って近くの物を巻き上げてエルの視界を妨害する
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梅
2017/10/26 23:53
Erbaccia
「 チッ………退け。 」
身体能力的には肉体面も考えて此方のが早く、彼女に追いつけるのだがやはり妨害はしてくる。
走る彼女から声が聞こえては一度足を止め、その瞬間に解き放たれた無数の雷光を身に受けて。
構えた【拒絶】は手慣れた様に雷を身体から遮断し、相変わらず騒がしい石ころのロジックを読み解けば自分への関心がまるでない彼女の背へ静かに指を向ける。
無音になった雷は光速で彼女の背へ向かい、同時に自分もまた追いつく様に走り出した。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 23:39
リシア(鳴神琥珀)
「古よりこの世へ吹き荒ぶお前に命ずる。我が耳となり彼の者を見つけよ」
廊下を駆け抜けながら、周囲を浮遊している宝石の一つである翡翠へと‘’願い”ではなく“命令”を下す
何の抵抗も無しに宝石はそれに応え、琥虎の現在地と移動中である事を琥珀へ対話によって伝達する
「・・・・そうか、アレの護衛なら私を止めなければならないものな。追ってくるのも当然か」
ついでに伝えられた自身を追いかけるエルの情報
琥珀は足を止める事無く、再び能力を発動した
「古より天空から来たりし災いであるお前に命ずる。我が目的を妨げようとする者を止めよ」
宙へ浮いていたトパーズがそれに応え、エルに向かって大蛇のような幾つもの雷が喰らいつくように襲いかかっていく
それを確かめる事すらせずにただ標的を殺すことだけが頭のなかにあった
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梅
2017/10/26 23:26
Erbaccia
「 …ッ、おいよせ! 」
想定内に無かったシチュエ-ションではないが、心底自分から伝えていて良かったと言えよう。
彼の口から伝えたのであれば間違いなくその場で八つ裂きもあり得たのだから。
「 その傷で何しようってんだッ 」
大概此方も態とらしい、がジッとしている訳にも行かずヒステリックに近しい彼女を追う様に此方も部屋を飛び出して行った。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 23:20
リシア(鳴神琥珀)
「・・・・何故、アレはいつもいつも私の大切なモノを奪っていくのか」
ポツリとそんな呟きが漏れた
自由も、学ぶ術も、行きたかった学校も、将来の選択肢も、母から貰える筈の愛も・・・・エルでさえも奪うのかと
彼がそうしてくれと、例え言ったのだとしても憎悪は全て琥虎へ注がれる
「そうであるなら」
手入れをしていた宝石達が、彼女を取り巻く様に浮かび上がり激しい瞬きを繰り返す
「奪われる前に、奪えば良い・・・・アレの命を」
刹那、彼女はフラりと立ち上がったと思えば、エルの横を凄まじい速さで駆け抜けていった
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梅
2017/10/26 23:06
Erbaccia
「 俺がそうしてくれとお嬢の親父さんに持ち掛けた。 」
やはり其れなりの感情は吐出してくれた。
彼女が何らかの理由で嫌う父親への嫌悪は恐らく反抗期だけのものではない。
その父親に自分が加担すると言うのだから当然の反応である。
だかその痛々しい状況でも微動だにせず、確りと上記を伝えて。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 22:41
リシア(鳴神琥珀)
彼の言葉を聞き、理解した瞬間に信じられない事が起きた
手にした宝石が、前触れもなく木っ端微塵に砕けて琥珀の手を血塗れにした
しかしそんな事はどうでもいいのか、震える声で
「どう・・・・し、て」
もっと言いたい事があるのに、声が出てこない
砕けた宝石は彼女の心を表すように、血濡れた手を更に傷つけるがごとく皮膚へと食い込んだ
実際の所、宝石は彼女の心の有り様を鮮明に感じ反映する
暴走しなかっただけ奇跡と言える
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梅
2017/10/26 22:35
Erbaccia
彼女の謝罪を鼻で笑って許し、続く皮肉にはその通りだと言わんばかりに肩を竦めて彼女の頭にそっと手を置いた。
「 いや、何…大した話じゃねェが、
お嬢には伝えておこうと思ってな。 」
ふっとにやけていた顔付きを真面目そうに澄ませると彼女の頭上から手を下ろし、少し間を置いて下記を述べる。
「………親父さんの用心棒として此処で正式に雇われる事になった。
改めて、宜しく頼む。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 22:02
リシア(鳴神琥珀)
「エルか・・・・先程はすまなかったな」
彼の気配を感じ、手元から顔を上げる事無く開口一番に謝罪の言葉を述べた
「無闇に修練をして傷口が開いては、私の隣にいる師がその悪人面を更に険しくして怒るだろうからな。それで、話とは?」
揶揄を言ってきた彼に相変わらず顔を向けぬまま、次の宝石を手に取りながら皮肉で返す
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梅
2017/10/26 21:56
Erbaccia
「 お嬢、帰る前に話があってな…入るぜ。 」
辿り着いた彼女の自室へ慣れた足付きで踏み入れば、ああ見えて特訓中の彼女へ声を掛けた。
きっと前回みたく宝石達は彼女に躾けられ、随分と大人しく会話をしていたに違いない。
「 療養中にゃまァ其れくらいしかできねェよなァ… 」
ぼそりと揶揄を入れると先程の礼儀正しさは何処へやら、彼女の隣にどかりと腰を下ろして。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 21:44
リシア(鳴神琥珀)
その頃リシアは、自室で宝石の手入れをしながら本を読んでいた。
読んでいるのは宝石に関する神話で、ブックスタンドに立て掛けて時折ページを捲っていた
宝石もただ磨いているわけではなく、個々と対話をしていた
「ふぅ・・・・やはり精神統一には、これが限るな」
宝石と対話をする事で己の心と向き合い、神経を研ぎ澄ませていくのだった
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梅
2017/10/26 21:36
Erbaccia
「 …畏まりました。 」
出て行く男を視界の端に、2つの意味での返事をするなり閑静になった部屋で漸く頭を上げる。
すぐに帰るはずだった予定が面白い様に狂ってしまった。
この後の予定を全てキャンセルする事を想定しながら自分もその部屋を後にし、もう一度彼女へ会う為に屋敷を練り歩き。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 21:24
リシア(父親の琥虎)
琥虎「分かったと言いたいのだが・・・・アレは俺の話を一向に聞こうとはせん。お前さえ良ければ、話しておいてはくれまいか」
そう言いながら席を立ち
琥虎「無欲な男よ、ならばせめて幹部と同等の扱いをしよう。勿論、給料もだ」
言い残すと、エルへまた人の良さそうな笑みを浮かべて去っていった
違反申告
梅
2017/10/26 21:06
Erbaccia
「 …いえ、権力欲しさに申し立てた訳ではないのでご遠慮させて頂きます。 」
こうべを垂れたまま、この事を知った彼女がどんな顔をするだろうかと頭に思い描いてみた。
何故だろうか、彼女が哀しんでいる姿が一番に浮かんだにも関わらず罪悪感は自分の背を登ってこなかった。
寧ろ、表情を変化させてくれる事自体に期待を寄せている自分が其処に存在するのだ。
「 彼女には………、
俺が自分の意思で貴方の用心棒になったと。
そうお伝え下さい。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 20:34
リシア(父親の琥虎)
琥虎「別に捨てるつもりはない。お前さんが此方につくというだけで、アレにとってはかなりの抑止力と衝撃になるだろうからな。・・・・いっそ、アレを組長として表向きは仕立て、お前に権力を渡しても良いかもしれん」
エルの事をすっかり気に入った琥虎は人の良さそうな笑みを浮かべながら上記を述べる
そして、ふと思ったように
琥虎「アレにはどう言えば良いか?」
と、エルに問う
違反申告
梅
2017/10/26 20:17
Erbaccia
「 …俺が成るのは貴方のご子息の代替品。
それに貴方同様、俺は彼女を"大切"に育てた故…善処は致しますが傷物に出来るかどうか。 」
このアブナイ橋を渡る様な感覚が何より堪らない。
彼の笑い声に鼓膜を震わせながら込み上げる螺子の外れた感情を抑えると表情を元に戻す。
恐らく気に入らないであろう上記にこうべを垂れながら下記を述べた。
「 ご満足出来かった場合は即座に棄てて頂いて構いません。
契約成立以降、俺は一切貴方に手出ししない事を約束致しましょう。 」
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 19:13
リシア(鳴神琥珀)
琥虎「ハッハッハ!聞こえたいたとは、随分と耳が良い。此処で正式にアレを制御してくれるのはとても有り難いことだが・・・・本当に俺の‘’傀儡”になるつもりか?」
目の前で初めて笑った彼を見て、琥虎は底知れぬ何かを感じたが笑って内心の冷や汗をごまかした
琥虎「俺の傀儡となるからには、最悪の場合・・・・アレ(琥珀)にも牙を向けてもらう事になるやもしれんぞ」
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梅
2017/10/26 18:36
Erbaccia
「 ………そう、その通りです。
よかった…貴方が"そういう人"で。 」
サングラス奥の瞳を少しだけ細めて、濁った灰の瞳をゆらり艶やかに揺らせば上記と共にふっと肩の力を抜く。
流石に彼も伊達に現組長をやっているわけではないか、そう愚かな相手でもないらしい。
態と自分に先程の言葉を洩らしたのやも、とも取れるが。
そして己の関心と興味は一時的に彼へと傾き、思考回路はひとつの策を講じる。
「 お陰で俺も腹が決まりました。
…どうでしょう、俺を正式に此処で雇ってくれませんか。
貴方の手足でもご子息の制御でも、彼女に代わるいい"傀儡"に…なって差し上げましょう。 」
首をこてりと傾け、此処で初めて口角を上げ卑しく笑って見せた。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/26 09:16
リシア(父親の琥虎)
琥虎「強いて言うならば、琥珀の命だ。老いぼれるしかない俺と違い、アレには瑠璃から継いだ武才と計り知れぬ力・・・・あの能力がある。鳴神組の存続を考えれば当然の答えと言えよう」
然程悩む様子もなく、彼はキッパリと言い切った
違反申告
梅
2017/10/26 00:00
Erbaccia
血の繋がった彼女を、次代を繋ぐ責務を負った彼女を『傀儡』と例えた気がした。
いや、間違いなく目の前の彼はその言葉を発したのだ。
その瞬間、思考が完全停止する。
…否、完全ではなく無意識の内に脳裏では対策を巡らせていたのかもしれない。
「 成る程、確かにその様な事をされては組の面汚しも良いところです。
……ところで、琥虎様。
貴方は、1人の父親として…琥珀さんの命とご自分の命、何方が大事だと考えておられますか? 」
部屋へ入室した時から一辺たりとも外れる事なく変わらぬ声色。
そして別段彼の最後の一言に反応した言葉ではなく、会話の流れで彼に怪しまれない程度のちょっとした問い。
然し此方にとっては彼の器を測る為の真剣な問いであった。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/25 23:06
リシア(父親の琥虎)
琥虎「使う能力は主にあの我が家を焼いた炎、当然相手には別の場所で待機させてから発動させておる。燃え盛る炎の中心で、アレ(琥珀)はこう言うのだ・・・・「我が婿になりたければ、この燃え盛る火炎に飛び込み私を救って見せろ」とな」
考えるだけで頭が痛いのだろう
顔に手を当てて重い溜め息をついた
琥虎「勿論、飛び込む男なんぞおらんかった。それでも言い寄る者には何やら別の能力を使って廃人に追い込む始末・・・・あんなに己を主張するとは、かつては完全な傀儡だったというのに」
最後の方はエルに聞こえぬよう、思わず口の中で発した一人言だった
それが彼に聞こえているとは知らずに
違反申告
梅
2017/10/25 22:41
Erbaccia
「 …試す、ですか。 」
可哀想に、と情を掛けざるおえない母方の暴走具合に心中で目の前の彼の無事を祈っておく。
母親には聞かせられない内容なのだろう、と彼との距離を若干縮める様に近付けば耳に入った情報に疑問が浮かんだ。
「 俺は一応、能力を使用する際は相手を選べと指導しておりますが…
何を目的に相手を試す様な事をなされているのでしょうか…? 」
思考を巡らせ、彼女の意図を探ろうとするがどれも確信がいかない。
そう、最近の彼女は少し妙なところが多い様な気がする。
能力に関連しているのであれば少なからず此方にも責任がある、と続きを促して
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/25 16:06
リシア(父親の琥虎、母親の瑠璃)
瑠璃「・・・・エル君に免じて、許して差し上げましょう。命拾いしたわね、琥虎さん」
チッ、と舌打ちをしてから薙刀を構える手を下ろした
明らかに安堵して、姿勢を整えると漸く本題へはいった
琥虎「一番の問題は相手を軒並み倒している事ではない・・・・瑠璃、頼むから席を外して欲しい」
瑠璃「嫌です。それなら後程、私が持つ全ての武術を琥虎さんに叩き込みます」
琥虎「・・・・分かった、後でいくらでも受ける。せめて仕事に支障がない程度にしてくれ」
瑠璃「その言葉、しかと受け取りましたからね?」
琥虎の覚悟が届いたのか、薙刀を持って瑠璃は退出していく
そして、憂鬱そうな溜め息をつきながら本題を切り出した
琥虎「一番の問題は、相手を軒並み倒している事ではない。
・・・・能力を使用して相手を試す時があるんだ」
違反申告
梅
2017/10/25 12:22
Erbaccia
「 …まァまァ、一度落ち着かれて下さい。
琥虎様も家を残す為という大切な考えあっての事なのでしょう。 」
『弱者』の捉え方は人によって違うらしい。
彼の言う全てを含んだ意味で問うたつもりだったが、上手く伝わらなかった様だ。
目の前で繰り広げられる痴話喧嘩に一体自分は何に付き合わされているのだろうかとげんなりしつつ、尻に敷かれる父親の方へ助け舟を出してやり、中々進まない話に折り合いをつけようと下記を述べて。
「 俺の意見は多少の融通は利けど客観的で一般的な社会のルールに則ったものですので、参考にはなりません。
何か俺なりの指導で助力出来るのでしたら、善処しますのでお教え下さい。 」
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/25 11:51
リシア(父親の琥虎、母親の瑠璃)
琥虎「いいや、そう言っておるのは琥珀だけなのだ。俺は家柄、器量申し分無い男に婿へ来てもらいたいのだが」
瑠璃「琥珀ってば、琥虎が選んだ男と対面すれば相手の机に頭を殴り付け、何食わぬ顔でナイフを高速で投擲し、最終的には首根っこを掴んで池に叩きつける始末なのよ~・・・・流石、私の血を引く娘だわ♪」
苦虫を噛み潰したような琥虎と対照的に笑顔を崩さない瑠璃。
そして、琥虎の意見を聞いた瑠璃は足元に隠し持っていたのか薙刀を手にして座ったまま鋭く切り込み、琥虎の首筋寸前でピタリと止めると
瑠璃「何度言ったら分かるの?お見合いなんて時代錯誤、あの子の意思を少しは汲んであげなさいと再三申し上げた筈ですよ!」
琥虎の顔はひきつり、心なしか青い
違反申告
梅
2017/10/25 11:23
Erbaccia
「 はァ…そうですか。 」
正直な意見は『自分には関係無い』で一蹴なのだが、彼の謎の痛ましい姿にほんの僅かな情が湧いた。
猫背をこの場だけはいつもスッと伸ばし、聞き取りやすい淡々とした声で返して。
「 ご子息へ言って聞かないのであれば仕方ないかと……元より貴方達が弱者には興味も、嫁がせる気も無いのは明白。
今迄の方針で何か問題でも御座いますでしょうか? 」
『問題』というのは彼の言うところの彼女の『問題のある行動』を暗に指している。
あくまで仮定だが、彼女が見合い先の男を片っ端から潰して周っている事が頭に浮かんだ。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/25 10:59
リシア(父親の琥虎と母親の瑠璃)
琥虎「今日はお前さんに話があってな・・・・本当は男二人で話したかったが、こいつが同席すると聞かんくてな」
瑠璃「わざわざ言わなくても宜しい。それとも、また滅多打ちにされたいのかしら?琥虎さん??」
ニッコリ微笑んだ瑠璃の背後には確かに般若が見えていた
よく見れば琥虎は全身包帯だらけで、気まずそうに顔を背ける
琥虎「コホン、本題に移ろう。実は先月より琥珀に漸く嫁ぎたいと申し出る数多の男達と面会をしているのだが・・・・あまりに琥珀が問題のある行動をしておってな。我らよりも共に過ごす君の意見を聞きたいのだ」
違反申告
梅
2017/10/25 09:30
Erbaccia
「 ………今日はお揃いでしたか。 」
さっさと済ませてさっさと帰ろう。
そんな甘い考えが通じそうにないこの状況、どうしてくれようか。
別段やましい事など何も無いが、母親の方がこの場にいるとやはりやり辛い。
通されたいつもの室内で2人の姿を確認しては真顔で上記。
取り込み中では無いことを察すると用件は自分にあるのだと察していて。
「 …それで、何か問題でもあったでしょうか。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/25 09:11
リシア(鳴神琥珀)
「あ、エル・・・・」
まただ、また彼を困らせてしまった
昔からいつもそう・・・・優しくて世話焼きな彼につい甘えてしまう
「・・・・何で本当の用件言えないかな」
それをもうすぐ、彼は知ることとなる
エルが向かったいつもの場所には琥珀の父、琥虎
そして何故か琥珀の母、瑠璃の姿もあった
二人は心底真面目そうな顔で、エルの前に座していた
琥虎はいつも通りだが、いつも笑顔の瑠璃が真顔なのだ
違反申告
梅
2017/10/24 18:13
Erbaccia
「 ……お嬢、偶には俺の気持ちも汲んでくれや。 」
小さく、下を向いてそう呟くなりパッと両腕を離し縁側へと上り込む。
上から見下ろす様に彼女を見て、困った様に苦笑しては下記だけ言うと目的の場所へと行ってしまい。
「 贈り物、ありがとな。
今日は親父さんトコに顔出して帰っから…それじゃ。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/24 18:03
リシア(鳴神琥珀)
「熟考した結果だ。私はもう、好奇心のままに動いていたあの頃とは違う」
一歩迫ってきたのは予想外で、思わず此方が退きかけた
両腕を掴みながら、諭すように言う彼へ上記を述べて首を横に振る
違反申告
梅
2017/10/24 16:54
Erbaccia
「 ………駄目だ。 」
彼女が掴む裾をいつもの様にすり替えるのではなく、やや強引に引き抜くと眉を顰めて一度首を横に振った。
「 今のお嬢には分からねェかもしれねェが、いいか…相手はよく考えて選べ。 」
今度は此方が一歩迫ると肩を掴もうとして…彼女の負傷を思い出すと両腕を掴んで上記を諭すかの様にゆっくりと述べて。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/24 14:33
リシア(鳴神琥珀)
「何だ、口が良かったのか?」
口にするのは流石に不味いだろうかと考え、これでも口は遠慮をしたというのに・・・・
不服な表情をしながら更に距離を詰めて
「ふぁーすときすはエルが良い」
彼の服を掴んで引っ張りながら、大真面目に言った
違反申告
梅
2017/10/24 12:15
Erbaccia
彼女が何を意図してこの行為に至ったのか、残念ながら自分には理解する事は出来なさそうだ。
「 く、口じゃねェからセーフだ…良かったな。 」
呻くように上記。
このような状況でなければ彼女の記憶違いを大いに揶揄してやった所だが、今は彼女が悔しがって続行しそうな動きに注意して。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/24 00:59
リシア
「挨拶は誰にでもするものだろう?今の行動はエルにしかしないし、したくない」
信じられない様な目で見て一歩下がるエル
此方もその分距離を詰めながら
「一応、ふぁーすときす。というモノなんだけが?」
母から聞いた、不慣れな横文字を頑張って言う
相手はどう反応するものなのだろうか
違反申告
梅
2017/10/23 22:48
Erbaccia
「 ………ッ、 」
たった数秒、彼女が近付いて…そして頰を通り過ぎる柔らかさに完全に思考が停止した。
何があったかなんて考えなくともわかるが、誰がこんな展開を予想しただろうか。
パッと頰を押さえて彼女から一歩後退れば信じられないものを見たかの様な目をしてしまう。
「 あー、何だ…外国の挨拶にハマってンのか、えェ? 」
態と戯けてみせるが妙に決まりが悪く、闇雲に頭を掻いて。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/23 17:51
リシア(鳴神琥珀)
「文句を言いつつ屈んでくれる辺り、優しいな」
エルの首元へ手を回し、ネックレスを着ける
そして、屈んでいるエルの顔へ手を添えると
徐に頬へキスをした
それは一分にも満たない短き時間で離れた
違反申告
梅
2017/10/23 15:59
Erbaccia
「 おいこら、誰が悪人面だ? 」
頑張ったんだぞ、とばかりに口を尖らせていると彼女から妙な言葉が出て首を傾げる。
此方は猫背で少しは縮んでいるつもりだが、そうでなくても良くて手を伸ばせば、最悪背伸びをすると届くであろうにと若干不審がる。
ただタイミングの掴めぬ彼女の我儘なのだろうと小さく下記を零しながらすぐに膝を曲げて屈んでやり。
「 別にそんな高かねェだろうに… 」
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/22 14:29
リシア(鳴神琥珀)
「喜んでもらえてよかった・・・・・仕方がないだろう、万が一組員に聞かれてみろ。私は良くて軟禁だし君は軽くても出入り禁止になってしまう」
話しながら思う
この男は気づいているのだろうか、自分がダイアモンドを贈ったという意味を
ダイヤモンドは結婚式にもよく使われ、色合い的にも透明だが白に近い
読んだ本に、新婦が白いウェディングドレスを着るのは貴男の色に染めてほしい意味合いがあると書いてあった
他の男の色ではなく、エルの色で染まりたいと思ったから、この宝石を贈ったのだ
「あ、珍しい・・・・笑顔が悪人面じゃない」
首にネックレスをかけてくれる彼へ少しジョークを飛ばして。
暗に付けてくれと言われたのでネックレスを手に取った
そこで、妙案を思いついた。表情にはそれを出さず
「付けたいのは山々なのだが、エルの身長が高すぎて届かない」
違反申告
梅
2017/10/22 14:10
Erbaccia
「 はははッそりゃそうだッ、
それでもまァ………嬉しいよ。 」
彼女の言う宝石の石言葉。
律儀に1つ1つ調べておいた事は秘密だとして、その鉱物の石言葉が頭に浮かぶと吹き出すように笑い出す。
然しまぁ彼女が懸命に選んでくれたのだから、と一度深呼吸をして表情を正すと真っ直ぐに彼女をサングラス越しに見つめて。
両の口角を少し上げ、目尻は細めてぎこちないながらに『微笑』を浮かべては、これで精一杯の普通の笑みを表現して心から彼女へ感謝の意を伝える。
「 それから…コレ、預かってたやつ。
返事くらい自分の口で言えよな。」
贈り物を持った手とは逆の手でポケットへ無造作に手を突っ込み、前回預かった装飾品を取り出して彼女の首に腕を回せばそれを下げてやりながら上記を。
そしてvネックの襟より少し上、鎖骨部位を軽く叩くと贈り物を彼女に差し出し『自分にも付けてくれ』と暗に指示して。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/22 12:39
リシア(鳴神琥珀)
「そう、ダイアモンド。呼びつけた馴染みの宝石商と宝石本人にきちんと本物か確認したから間違いなく本物」
珍しくエルから動揺が見てとれた
やはり驚いたようで、贈り物をした此方としては嬉しい
無表情ながら機嫌が良いのが見てとれる
「エルに似合うと思って。ダイアモンドの石言葉は、正直君に似合うか微妙な所だけどね」
ダイアモンドの言葉は純真無垢
私にも彼にも似合わない四字熟語だ
違反申告
梅
2017/10/22 12:11
Erbaccia
「 …お、おう、俺のか、そうか。
なら、有り難く貰っとくぜ。 」
今日は何のサービス日なのだろうか。
お互い、立ち位置が軽い存在でないことは確かだが、彼女から『大切な人』などと暗に称され、その上に珍しくも表情の強い変化に流石の自分も戸惑わずにはいられない。
一瞬目を泳がせたり動揺していたものの、急ぎ平静を装えば手にした包装箱を態々「開けるから」と声を掛けて、それから丁寧に開いていく。
「 お嬢、これ…ダイヤモンドか? 」
サングラス越しに見ているのにも関わらず彩度の無い、透明感のあるその鉱物。
触れるだけで分かってしまったのは…まぁ職業柄という事にしておこう。
チェーン部を持って眺めては宝石という事もあり、彼女の能力と関係するものだろうと察して。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/22 01:21
リシア(鳴神琥珀)
「違う。これは大切な人にあげる贈り物だ」
敵から和平で何か送られたのなら、渡される前に鉛玉をぶちこむのが常識だ(鳴神家特有の考え方です。良い子も悪い子も真似をしてはいけません)。
そう考えつつ、エルへとその手に持っている物を差し出した
「エルにあげる」
どんな表情をしてくれるのか、と思うと年甲斐もなく楽しみだ
無意識にいつも以上に微笑んでいることに、琥珀は気づかない
違反申告
梅
2017/10/22 01:09
Erbaccia
別日、前のことがあって気乗りはしないが役目ゆえに彼女の屋敷へと向かう事にした。
許しもあって堂々と表から入れば良いものを、敢えて子供の時のように忍んで入り込むのは癖か、もしくは襲撃に備えてか。
縁側に佇む彼女に近付きながら手に持つ物へと意識を向けた。
「 よォ、そりゃ何だ?
敵さん方から和平の印でも貰ったのかい。 」
彼女がそんな怪しげなものを貰い受けるとは思わないし、もちろん冗談だ。
縁側に腰掛けてはチラリと彼女の表情を伺っては、前回の傷が然程酷いものではないことを察して。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/21 01:13
リシア(鳴神琥珀)
肩の処置はその日の内に終わり、傷は既に回復の兆しを見せていた。
宝石の力による恩恵なのだろうか、と思いつつ琥珀はいつもの縁側でエルを待っていた
「流石に昨日の今日で、修練はさせてくれないだろうな」
そうぼやきながら、手元にあるものを弄る
それは綺麗な包みとリボンで包装された箱だった
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梅
2017/10/21 00:52
Erbaccia
宝石の声は自分を驚かせ、彼女の成長をはっきりと示すのには十分過ぎるものであった。
が、彼女を苦しめていた声が、自分の色を奪った音が、こんな形に調教されてしまったのは何故か腑に落ちない。
聞くだけ聞いて、何を考えているのか分かりかねない彼女の思惑に首を捻りつつポケットに預かり物をしまえば出口の方向へと向かう。
「 お嬢には帰ったって伝えてくれ。 」
組員の1人にそれだけ言うと帰路に着いて。
元より顔を見るだけ、と決めていたのだ。
彼女の肩に後遺症が残らない事だけをひそかに祈りつつ、あの場では喫わないが此処何年かで始めた煙草を咥える。
キツイほどのシトロンの匂いに混ざった煙草臭に酔いつつ、日も暮れた街並みをぼんやりと眺めた。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/20 00:30
リシア(鳴神琥珀)
「・・・・エル、これを持っていてくれ。これが私の考えだ」
組員に本格的な処置へ連れていかれる前にエルへ常に身に付けているルビーのネックレスを放る
そこで彼女は部屋から出ていった
そして彼女が部屋を出た瞬間、エルの頭の中へ声が響く
『数年ぶりで御座います。あの時は大変失礼を致しました事を御許しください』
男とも女とも区別がつかない宝石の声だった
琥珀がエルでも聞こえるよう、力を巧みに使った事で意思の伝達を可能にした
『この度は我が主の言伝てを僭越ながら私が伝えさせていた抱きます』
内容は遠回しな表現が多くかなり長くなったが大雑把に訳すとこういうことである
・エルの申し出は大変嬉しい
・しかし、自分には鳴神の名を懸けてやることがある
・それが終わった後、エルが心変わりしていなければ自分を此処から連れ出して欲しい
とのことだった
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梅
2017/10/20 00:15
Erbaccia
「 ………お嬢がそう望むなら、
俺は仰せのままに動いてやるよ。 」
彼女の父親が我が子をどんな目で見ているのか…そんな事は聞かずもがな、理解出来ることだ。
それに口出しする事は叶わない。
ただ彼女の意思で自分を動かしてくれるのであれば、それは条件に触れる事はない。
彼女の目が迷っているかどうかは定かではないが、目線を静かに肩へ移せば応急処置を済ませ、彼女の答えも聞かぬまま他の組員へ連絡、本格的な処置へと移らせることにした。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/19 23:59
リシア(鳴神琥珀)
「~~~っ!」
エルに返事をしようとしたが、傷がかなり痛み声にならない
流石旧友というべきか遠慮がないと涙目ながらに思った
思わず目の前にいるエルの服をギュッと握り締めて耐える
「・・・・化け物が一人で行くのに、アレが心配なんてする訳がないだろう。アレにとって所詮私は駒か武器に過ぎない」
エルのしてくれた提案はとても魅力的だった
此処から出れば、縛られた人生から逃れられる
「何だ、駆け落ちでもしてくれるのか?」
涙目ではあるが、クスリと微笑んで聞いてみた
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梅
2017/10/19 23:43
Erbaccia
「 一般人(ノーマル)だからって武器向けてくる相手に能力を使わなかったのか…?
そりゃ油断が過ぎるってモンだぜ、お嬢。 」
恐らく服は返り血、そして肩のものは貫通銃創。
しかし昏倒してない事を見ると致命的な血管は奇跡的に避けたのだと速やかに判断し、相手の合意無しにその傷を押さえ付けて止血を開始する。
恐らくかなり痛む筈だが、彼女の事だ。
此処まで澄ました顔をしてきたのだから耐えられるであろうと遠慮なく押さえて。
「 大事な跡取りが一人で行く事を許可した親も親だ。
本気で此処を出たいなら、俺が連れ去ってやらんでもねェが…。」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/19 01:08
リシア
音を立てて縁側を走り、彼の姿を見て安心する
きっといつもみたいに揶揄や皮肉で迎えてくれるだろう
しかし、彼は振り返って予想通り揶揄を言ってきたのだが・・・・自分を見て目を見開いていた
「どうかしたのか」と言う前に、怒気を含んだ口調で問われ横抱きにされた
「能力は使わなかった。相手は手練れじゃないけど、死に際に鉛を一発打ち込まれた・・・・・【無の境地】は使っていたが、少し動揺してしまっていたのが相まって避けきれなかった」
冷静に対処していれば避けられた傷、動揺した理由は分かっている
それは、化け物と言われた事だった
表情には出さなかったが、自分でも知らぬ間に予想外のショックを受けていたのだろう
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梅
2017/10/19 00:46
Erbaccia
「 遅かったじゃねェかァ…何だ何だァ?
雑魚相手に手こずってたんじゃ___ 」
縁側に座りやはり居なかった彼女の、せめて顔だけでも見て帰ろうかと陽が落ちるのを眺めながら待っていては、少しもしない内にドタドタと足音が聞こえてきた。
足音からして彼女だろう。
『そんなに急くと転けてしまうぞ』と小言を言う前に軽く揶揄ってやろうと上記を口にしながら振り返り、捉えた彼女の姿にサングラスの奥にある双眸を見開き口や震える喉が止まる。
「 ……おい、先ずは傷の手当てだろ。
能力はどうした、相手は手練れだったのか? 」
間を置いて、口から飛び出したのは怒りを含んだ低音の声。
肩に触れないように細心の注意を払いつつ彼女を横抱きに持ち上げては空いた部屋へと目も合わせぬまま向かっていき
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/19 00:23
リシア
予想よりもかなり時間がかかってしまった
エルはまだいるだろうか
琥珀は出迎えた組員が怪我の手当てをしようとするのを振り切り、庭を駆け抜けた
超特急で目指すのはいつもの縁側
「・・・・まだいてくれるといいが」
自分の左肩から流れ出ている血でかなり重症に見える事に、琥珀は気づいていない
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梅
2017/10/19 00:16
Erbaccia
「 あの時の条件、改めて問いますが違えてはいませんね?
……ええ、疑ってなど。
それでは、失礼致します。 」
『そういえば』などと本人に言ったら叩き切られそうではあるが、父親の方へ琥珀の能力の近状を報告しに足を向けて、最後にほぼ毎回に近い言葉を投げ掛けてはその場を退出する。
琥珀の警戒時を超える父親の威圧感にはいつも感服しているが、琥珀の母親に比べたら此方の方が随分と話は運びやすい。
お互い良い関係だありたいと思っているのだから当然ではあるが、反対に関係が悪化しては面倒だというのも然り。
廊下を進んでいつもの縁側へ向かいながら、随分と時間が経過したがこれで彼女が戻っていなければ自分も退散しようと考えていて。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/18 15:54
リシア(鳴神琥珀)
瑠璃とエルが話をしているとき、琥珀は荒波組の事務所を潰して、本家に居た
足元には血の海が広がり、椿の着物は返り血で紅く染まっていた
組長「ひっ・・・・ば、化け物っ!!」
「何とでも言え、恨むなら私と我が友人に手を出す事を命じた己を恨むんだな」
そう言うと銃を発狂したのか乱射してくる
琥珀は【無の境地】へ片足を踏み入れた・・・・最も、まだ片足ほどしか踏み込めないのだがと心の中で苦笑する
弾丸の軌道を経験と肌で感じ、紙一重で避けて組長へと肉薄し、袈裟懸けに切り裂いた
しかし、死の間際に放たれた一発が琥珀の肩を撃ち抜く
「・・・・見事。死に際に牙を突き立てるとは極道の鏡だ」
琥珀は撃ち抜かれた肩の痛みに顔をしかめながら、そこを後にして家へと向かった
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梅
2017/10/18 13:30
Erbaccia
「 ………俺ではなくても、きっと彼女は幸せだと思うでしょう。
お邪魔しました。 」
そう、要するに此処から離れられるのであれば彼女の悩みは万事解決、誰とでも幸せになれるのだから。
空いた皿と茶器を盆の上へ、口角を緩りと上げては一礼して早々に部屋を後にする。
母親というものはこうも我が子の幸せが何なのか把握出来るのだろうか。
『羨ましくはない』と言えば嘘になるが、手に入らない物を強請るほど餓鬼ではなかった。
彼女が戻るまで待つか、それとも今日は退散するか、扱った皿を洗いながらぼんやりと考えていて。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/18 11:32
琥珀の母(瑠璃)
「全く、エル君も頑固ね・・・・うちの旦那みたいだわ」
瑠璃はエルを信頼していた
自分を除くこの場所で唯一、常に命を狙われて不穏な日々を送る琥珀の味方であり支えとなってくれている
素性こそ知らないが自分の大切な愛娘を嫁にやるに理由には充分だった
「気が変わったらいつでも言ってちょうだい・・・・君は約束を守ってくれる良い子だもの。エル君に嫁ぐならあの子も幸せよ」
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梅
2017/10/18 09:19
Erbaccia
「 ………まァ、否定はしませんけど。 」
『時代錯誤』なんて言葉が目の前の人物の口から出てくるとは思っておらず、不意を突かれたように口ごもる。
言い分に間違いはない、が此処でそれが通るような甘い世界でもないだろう。
それに…幾ら仲が良かろうと素性も知らない男の家に娘をやるというのも如何なものか。
とにかくこういった自分に関係してくる話はどうも苦手だ。
「 お気持ちは大変嬉しいのですが、返事はもう少し待って頂きたいのです。
自分は此処で、彼女の世話役として『友』として居るわけですから。 」
茶器を一点に見つめ、ぐるぐると頭の中で思考を巡らせては機械的に口を開いて。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/18 01:34
琥珀の母(瑠璃)
「あの人の考えなんてどうでも良いわ。私はただ琥珀に自分が好きな人と一緒になって欲しいだけ・・・・お見合いなんて時代錯誤よ」
瑠璃は優しげな印象だが、言うことはハッキリという。
更に一度決めたらそのまま突っ走るタイプなので少々面倒だ
「それとも、まさか琥珀に不満が・・・・っ?!確かに最近は冷たくなって暴力的になりつつあるし、笑顔も激減しちゃったけど嫁としては申し分無いわよ~」
何気に貶しているのは気のせいではない
しかし、本人は思った事をいっているだけなので本当に悪気はない
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梅
2017/10/18 01:26
Erbaccia
「 ぶッッ、ン"ん"ッ、…は、いや、その件はですねェ…。 」
何度も聞かれた事なのだろうが、慣れなければならないと分かっていても今回はタイミングが悪い。
彼女と同じくダイナマイト級の発言は啜っていた茶を見事に気管へと流し入れ、噎せてしまう形となった。
咳払いをして口ごもっていても仕方がない。
はっきりと下記を述べては多少なりとも申し訳なさそうな顔をして。
「 琥珀さんには自分ではなくお似合いな方が他に沢山いらっしゃいますから…それにお父様の方も考えがあるでしょうに。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/18 01:14
琥珀の母(瑠璃)
「あらあら、いらっしゃい。来てくれて嬉しいわ」
琥珀によく似た瑠璃は笑顔でエルを迎え入れた
彼女は元最凶のレディースで、琥虎と殴り合ったことがあるなど言ってはいたが、普通の優しい母親だった
「エル君がここに来るのも久々ね。ああ、そういえば」
お茶を飲んでいるエルへお菓子を食べながら
「琥珀の事はいつお嫁にもらってくれるのかしら?」
と、親が親なら子も子と言われかねないような発言をした
違反申告
梅
2017/10/18 00:58
Erbaccia
「 ok、お嬢に限っちゃありえねェが油断はするなよ。 」
意見する道理もなく、すんなり返答を口にしては一応見送り迄は付いて行き。
所詮は自分も彼女に対してだけは心配性なのだろうが、そこは『友』として当然だと言わせてもらいたい。
その後、彼女に言われた通り母親の元へと柄にもなく茶菓子と茶を盆上に乗せて向かえば声をひとつ掛けて襖を引き。
「 失礼します…
いや、特に用事はないですけど…茶を飲んで待てと言われましてね。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/18 00:42
リシア(鳴神琥珀)
「・・・・荒波組の奴か。前々から何度もやってきて気に入らなかったが、こんなに露骨な手を使ってくるとはな」
エルに続いて骸を確認した琥珀は思案する様に顎へ手を当てる
そして、突然立ち上がって踵を返すと若い組員を一人呼びつけて何とでもない日常茶飯事の如く言う
「今から荒波組の事務所と本家を潰して来る。私以外に人手は不要、あの骸は始末しておけ」
慌てて男が走っていった後、エルの方へ向き直って
「すまないが用事が出来た。母と茶でも飲んで待っていてくれ・・・・なるべく早く片付けて帰るよ」
違反申告
梅
2017/10/18 00:27
Erbaccia
彼女の言い分は理解出来るが、少々冗談がキツ過ぎやしないだろうか。
本当にただの反抗期なのであれば過ぎ去った際にこの棘のある彼女も少しは穏やかさを取り戻すのかもしれない。
それよか見合い云々は置いておいて、出来ようもない表情について弄るのは勘弁してほしい。
「 ほっとけ、どォせ俺は厳つい顔で__ 」
文句を垂れる間も無く、始末されるまでの一連が流れ骸が庭に落下しては横目に見て「お見事」と一声上げる。
「 別にィ…損得だけで関わる仲でも無いだろうよ。
それに今更離れようが敵さん方には関係無いだろうしなァ。 」
肩を軽く叩いて彼女から離れると呑気に欠伸をしながら骸に近付き、どこの組の野郎かを自分なりに把握して。
彼女が若頭になってからもう日常茶飯事の光景だ。
今更臆する必要性も感じず、ただ適当な警戒心は日々抱き、自分にとっての障害だと思えば消す…それだけの事だった。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 23:59
リシア(鳴神琥珀)
「じゃあ、結婚できなかったら貰ってくれ。エルの所へ嫁に行けばこの家とも離れられる」
両腕を上に挙げるのを見て、別に腕を回してくれても構わないのにと思う
アレ(父親)に見られたとしても別に構わない・・・・何があっても絶対にエルへは手出しさせるつもりはないのだから
悪人面で笑ってきた彼に小さく笑みを返す
昔の様な笑顔が返せたら、とよく思う
「悪人面だな。・・・・私の味方をしたって、何のメリットも無いぞ。寧ろデメリットでしかない」
そう返した瞬間、僅かな殺気を感じ取った
素早く着物の袖口に隠し持ったナイフをそこへ投擲すると、塀の上から狙い撃ちしようとしていた男の額へと突き刺さった
男は庭の中へと崩れ落ちて息絶える
琥珀は鳴神琥虎の一人娘、この組の正式な次期組長であり常に他の組からの刺客に命を狙われているのだった
「そのうち、君も命を狙われかねないぞ」
違反申告
梅
2017/10/17 23:29
Erbaccia
「 おっと…はははッ、ンな事言ってたら一生結婚出来ねェぞ? 」
彼女は変わらない…少なくとも自分はそう思っている。
子供の時と同じようにこうして戯れてくる場面に遭遇する時は特にそうだ。
ただ正直なところ、そろそろ親、違う…友離れ(?)をしなければならないのではないかと危惧もしている。
見合いの可能性も勿論、1人の女として、こう軽々しく寄り添ってくるのは自分はあったとしても彼女にはどうしても似合わないというか、親御さんに見られたら半殺しにされてしまうのではないかというか…。
行き場を無くした両手をその場で挙げたが、服が強く引っ張られている感触に片手を彼女の頭の上に動かさず軽く置いて。
「 ま、年相応に反抗期って所か。
事情は親父さんとの条件で聞けねェけど…俺は一応お嬢の味方役やってやるからさ。
ンな怖い顔してンなよ。 」
硬くなってしまった彼女の表情を、代わりに僅かな変化にも気付けるよう心掛けてきた。
彼女の拠り所でなければならない事はあの時、出会って軽率に『友』を約束してしまった瞬間から決定付けられてしまった事なのだろう。
強張っている様な表情の頬にもう片方の手でツンと小突けばにやにやと、コレでも和ませるように精一杯の笑顔(悪人面)を見せて。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 22:47
リシア(鳴神琥珀)
「別に見合い話で揉めたわけじゃない・・・・例えそうだとしても、エルより弱い男に嫁ぐ気なんて起きない」
昔に比べてだいぶ口調も変わったな、と自分でも思う
かつて無邪気な笑顔を浮かべていた少女は何処にもいない
目の前にいる男は姿形こそ変わったが、自分からすれば彼の中身は昔のままだ
彼といると落ち着く、と思いながら椿柄の着物を翻してエルの元へ行くと抱き着いた
「少々、アレと今後の方針で互いの方向性がずれただけだ。ムカついたから机蹴飛ばして大破させてきた」
体術に剣術もエルのお陰で向上した
今の自分を作ってくれたエルの顔を抱き着きながら見上げる
そこにあるのは、色覚補正のサングラス
彼が色盲だと知ったとき、能力で治そうとしたが叶わなかった
原因こそ話してはくれないが、心当たりはある
・・・・もしそうだとしたら、彼の色盲は自分のせいだ
無意識に彼の服を握り締めていた
違反申告
梅
2017/10/17 22:33
Erbaccia
いつもの時間、いつものこの場所で彼女を待つ。
7年も経てば彼女の能力は莫大な進化を遂げ、自分の手癖と性根の悪さも磨きが掛かった。
裸眼で見える色といえば無彩色を除いて片手で数えられる程の種類までになってしまった上に原因こそは話していないが彼女に色盲が知れてしまった。
今は色覚補正のサングラスで何とか日々をやり過ごせているが、色の有無は自分にとっては殆どどうでもいい事である。
それ以外の此方の変化といえば、数年前から格好を付けて黒かった髪を染めて弄ったくらいか…コレを自分はかなり気に入っている。
琥珀の父親、もとい琥虎との条約は守っているつもりだが、ここに長くいれば否が応でも入ってくる彼等の情報。
深層までは流石に知らないし、関わる気もないが彼女の能力について話してしまったのは失策だったのではないか、と思う日もしばしばだ。
「 よォ、今日は親父さんと見合いの話でもしてたのか? 」
いつもより断然機嫌の悪そうな足音に先ずは機嫌直しからか、と肩を竦めて。
冗談交じりの巫山戯た口調で彼女に話しかけてはサングラス越しに彼女の機嫌を伺う。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 21:58
リシア(鳴神琥珀)
琥珀が能力を開花して暴走させて、かれこれ七年の時が経った
エルとの修練を詰んで自身の能力について学んだ
二人は成長し、エルは凛々しく逞しくなり琥珀は女らしく強かに育ち、若頭となった。
平穏な日々を送っていたある日、父親の一言でそれは崩れ去った
「今、何と言いましたか」
琥珀は我が耳を疑って聞き返した
父親「お前達と同じ様な力を持つ少年少女が組織している紫陽花というのがある。それを我が組が裏社会でのしあがるための踏み台にしようと言ったのだ。お前やエルの力だけでも事足りるが、戦力は多いに越したことはない」
「・・・・エルも、利用するつもりだと?」
父親「当然だ、あの力は使える。そこでだ・・・・お前から是非説得をして欲しい」
「ふざけるのも大概にしろや、この屑男!餓鬼の命使い捨てにする挙げ句、エルまで巻き込むつもりか?!貴様は七年前にエルが体を張って私とこの家を守ってくれたのを忘れたのか、この恩知らず!!」
机を勢いよく叩いて立ち上がる
彼女の怒りに答えるように、一瞬だけ胸元のルビーが瞬く
そんな琥珀を父・・・・琥虎は彼女と同じ金の瞳で見据える
父親「俺に逆らう気か?そんな事をすれば、お前が気に入っているあの小僧がただではすまんぞ」
「エルに手を出してみろ、後悔するのは貴様だ」
父親「まあ、好きに吼えるが良い・・・・この組でお前の味方は誰一人としておらん。お前はかつてのように俺の傀儡となっていれば良いのだ」
好き勝手な理論を講じる父親と話す価値を見いだせなくなった琥珀は派手に机を蹴飛ばしてから部屋を後にした
違反申告
梅
2017/10/17 20:17
Erbaccia
「 こんにちは、琥珀のお母さん。
どうぞ落ち着いて聞いて下さい。
実はちょっとした火遊びをしてしまいまして… 」
突然現れた彼女に似た女性。
おおよそ予想はつくが、彼女の呼び掛けで確信する。
バツ悪そうな顔をしながら琥珀の母親の方へと歩み寄り少々賢い子供だと思われそうだが上記を述べる。
その途中で言い訳も浮かばない程に焦っている彼女へ耳打ちして。
「 いいか、"火遊び"で通す。
能力の事は話に出すが、
俺を襲ってきた彼奴らの事は絶対に口にするな。 」
これを彼女がどう捉えるかは自由だが、自分と彼女を守る為の一番いい方法だと判断した策だ。
***
その後、母親を無駄に達者な口で何とか言い包める事によってその場は何とか凌ぎ、間も無く会うことになる父親の方には彼女の能力諸々を話した。
彼女の能力を制御させる為に父親直々に能力面の世話役を頼まれるのだが、俺は快く引き受けた。
琥珀の父親と、まだ幼いくそ餓鬼の俺との間で結ばれた条件はひとつ、お互いの素性、事情云々は明らかにしない、それらに関わらないという事。
…そして心優しい母親と結んだ秘密の約束もひとつ。
後者の約束は、まだ彼女に話していないし、今後も話す予定も無い。
俺はひとつ、またひとつと着実に色を失う視界の中で『彼女の瞳の色だけは消さないでくれ』と、誰かに願った。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 17:42
リシア(鳴神琥珀)
そう言われて、琥珀は辺りを見回して呆然とした
家の壁が焼失して3分の1ほど家が焼け落ちていた
「・・・・どうしよう」
その時、ドタドタと誰かが曲がり角を走ってきた
姿を表したのは琥珀と同じ銀髪の女性
唯一違うのは、目が瑠璃色であるということぐらいで琥珀とほぼ同じだった
?「琥珀っ!今こっちの方で凄い火事が・・・・あら、そこの男の子はどちら様?」
「お、お母さん・・・・これは、その~えーっと」
琥珀は完全にテンパっていた
違反申告
梅
2017/10/17 17:08
Erbaccia
「 綺麗な赤色…か。 」
思わず自分の目を疑った。
チラリと見回した相手の唇、切った自分の口からの出血を拭った手の甲、確認できるものは其れくらいだが、それらの赤みという色が全て抜け落ちている。
然し何故だろうか、冷静に分析できる程に自分は混乱してはいない。
そんな頭を回転させて思い当たったのは…先程の赤い点滅。発端は其処であるが恐らく原因は__。
それを目の前の彼女に伝えるべきか、という考えが浮かぶがそれを実行するに至る事はなかった。
理由は単純かつ明快。
彼女の能力と自分への影響に興味を持ったからだ。
「 悪くねぇ色だな…それよりお嬢。
上機嫌なトコ悪いが…この状況はどうするつもりだ? 」
顔を顰めて辺りを見渡せば元は人の形をしていた黒炭と焼け焦げた縁側の一端。
彼女には残酷な事かもしれないが、この事実を先ずは受け止めてもらわなければならない。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 14:01
リシア(鳴神琥珀)
エルに褒められて照れた琥珀は思わず下を向く
胸元のネックレスを弄りながら、髪の毛を直す
「ありがとう・・・・ルビーのネックレスがお気に入りなの。綺麗な赤色でしょ?」
そして、エルの言っていることが分からず首をかしげた
違反申告
梅
2017/10/17 07:47
Erbaccia
「 よく似合ってる…伊達に組みの女じゃねぇのな、なぁんて。」
押さえつけられていたのもあって多少の着崩れや髪の乱れはあるが、それを差し引いても馬子にも衣装と言ったところか。
それに胸から下げた__灰色の宝石なんて特に珍しい、何の石だろうか。
「 声、ねぇ…俺には喧しい石か金属の音にしか聞こえなかったが。
って事は能力に何かしら媒体があるか、本人の精神が解離したかの可能性があるな…。」
年の割には難しい言葉を使う。
彼女には何を言っているか分からないかもしれないが、ほぼ独り言に近いので構わない。
やっとで立ち上がれば身体についた砂を叩いて落として。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 01:57
リシア
「・・・・うん、いつも袴ばっかりだったから、たまには見てもらいたいなって」
泣き止んだ琥珀はエルから離れ、少し笑った
光に反射して、胸元のルビーをあしらったペンダントが煌めく
「エル、さっきはありがとう・・・・・あのね、エルが止めてくれる前に叫んでいた声が違う事を言い始めたの」
ずっと引っかかっていた言葉を、エルにそのまま伝えた
違反申告
梅
2017/10/17 01:45
Erbaccia
「 うおッ、い、痛ぇって、取り敢えず離れ_」
殴る蹴るど突くの応酬の後だ。
心身ともにぼろぼろな自分に飛び込んできた彼女に呻き声を上げながら顰めた目を見開く。
すると眩暈を起こしたかの様に目の前にチカチカと赤い色の光が点滅したと思えば直ぐに消失。
何だったんだ、と唖然としている間も無く先程から泣き喚く彼女を慰める工程に移って。
「 ほら、俺は大丈夫だから泣くなって…
あぁあ、今日はおめかししたのか?
勿体ねぇなぁ…せっかく可愛いのにそんな顔じゃ台無しだぜ? 」
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/17 01:21
リシア(鳴神琥珀)
「あああああああっ!!」
頭に響く声のせいで琥珀は最早自我を失いかけていた
我が家が燃えていくのを目の端で捉えるも、為す術もない
そんな時、視界にエルの腕が映った
彼を拒絶するかのように炎がさらに勢いを増し、同じことを繰り返していた声の言葉が変わった
『お前には、指一本触れさせない!我が主は私が守る・・・・・!!』
言葉を変えて叫ぶその声による頭痛が不意に和らいだ
思わず顔を上げると、必死に自分を抱きしめてくれているエルの姿
彼が叫んだ瞬間、頭痛が消えた
大暴れしていた力はエルへと移り、徐々に小さくなり彼によって握りつぶされる
放心状態となっていたとき、エルが崩れ落ちて笑いかけてきた
そこでようやく自分がした事をきちんと理解した
「うううっ、エルの馬鹿ぁ~・・・・・・エルに何かあったら私っ、一人ぼっちになっちゃうよぉ・・・・!」
随分と無茶をしてくれた彼を思うと、先程とは違う涙があふれてくる
堪らなくなって、尻餅をついている彼に飛びついて抱き着いた
違反申告
梅
2017/10/17 00:26
Erbaccia
「 おいおい…まさか今その能力が開花したのかッ?!」
好ましいとは言い難い考えが脳裏を過る。
彼女の様子は能力を使用している時点で随分と異常なのだが、その表情は怒りかと思いきや大外れ、驚愕したものであった。
嫌な予感というものほどよく的中するもので、彼女が泣き叫び始めるといよいよ先程の男達の暴行よりも焦りを感じて。
彼女が止まるのを自然と待つ様ではこの敷地の全焼は勿論、止まる可能性すらあるのかその他諸々リスクが高すぎる。
「 仕方ねぇ、いいかッそこ動くんじゃねぇぞッ 」
そう、仮にも彼女は自分を守ろうと身体を張ってくれたのだからハナから逃げるという選択肢は無い。
だが齢10程度の経験の浅い自分にとっては最早度胸試しにも近い。
だがどれだけ自分の【拒絶】が一瞬で人を殺めた能力に太刀打ち出来るか…此処は賭けに出る事にした。
腕を捲り上げ、前に突き出してなるべく火の粉を服に散らさない様に心掛ける。
腕を舐め上げる熱の塊のコントロール権はいま彼女が握っている。
自分はそれを…横から掻っ攫うのだ。
「 い"ッつ……、な、んだこれッ、うる、せぇッ… 」
その瞬間、耳元で大音量を流したかの様に鉱物なのか金属なのかがぶつかり合う様な、不快な引っ掻き音を打ち鳴らす様なものが恐らく自分だけに響く。
彼女は『声』が響いていると言っていたが自分は全く違ったのだ。
正に能力自体に意思があるように、【拒絶】と能力の拒絶がせめぎ合ってコントロールの定義がまるでめちゃくちゃだ。
一歩、また一歩と彼女へ近付けばしっかりと両腕で彼女を抱いて根本から奪う寸法に出る。
「 いいから…寄越せってンだッ!!! 」
叫ぶと同時に音が消失、彼女にあった熱が此方に移ったのを感じた。
即座に離れて巻き起こる炎を小さく、小さく、最後にはマッチ程度火のの大きさに。
そしてそれを握り消すと漸く辺りは閑静なものとなる。
突如として顔を上げた倦怠感に脱力しては膝から崩れ落ち、そのまま尻餅をついては息も絶え絶えに彼女の顔を見て苦笑する。
「 おい…大丈夫か…?
へへ…ひっでぇ顔してやんの…。」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 23:08
リシア(鳴神琥珀)
琥珀は酷く驚き混乱していた
突如、自分を中心に炎が巻き上がったかと思えば周りの男達を焼き付くした
それだけではなく、頭にずっと誰かの声が響いているのだ
『邪魔なモノは焼き付くせばいい。望め、お前の欲が赴くままに・・・・殺せ!』
無遠慮に響く声のせいで意識が朦朧としてくる
エルが何かを言っているのが目に入った瞬間、声を絞り出した
「エル、助けて・・・・!声が、声が響いて頭が痛い!!」
黒焦げになった男達はとうに消し炭となった
それでも炎は止まらず、寧ろ勢いを増していく
「止まらないのっ・・・・!!」
涙を流しながら、叫んだ
エルにとっては初めて見る涙だったかもしれない
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梅
2017/10/16 22:56
Erbaccia
このままでは流石にまずいと判断しては刃物を持ち此方ににじり寄ってくる相手に能力を解放しようと気を張って。
驚かせてしまうかもしれないが致し方ない。
そう覚悟を決めたその時であった。
眩い閃光と此方まで届く肌を撫でる様な熱気。
自分の目の前に繰り広げられているこの光景の原因をすぐさま突き止める気も起こらぬ程に呆気にとられていたが、その巻き起こる炎の中心に誰がいるかに気付くと一つの単語が浮かぶ。
「 ……紫陽花。 」
いや…違う。『紫陽花』の定義とはまるで異なっているその能力は、恐らく自分と同じもの。
ゆらりと重い身体に鞭打って立ち上がれば焼き尽くされていく野郎供を見て漸く口を開いた。
「 まさか、お嬢が能力持ちなんてな…
おいその辺にしとけよ。
もう其奴ら、死んでるぜ? 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 17:45
リシア(鳴神琥珀)
目の前でエルが暴行を加えられている
声が掠れそうなぐらい叫んでも、止める気配は見られない
そのうちエルが自分の木刀を掴み、見たこともない表情で幹部を睨んだ
幹部「なら、お望み通り・・・・儂自らの手で殺したるわ!」
木刀を放り投げた幹部が、近くの男から日本刀を受け取る
その光景をみた瞬間・・・・琥珀の中で何かが切れた
「私の大切な人に、エルに・・・・何してんだよおおおお!」
胸元を飾っているルビーからカッ!と強い光が迸る
それは灼熱の炎となって、取り押さえていた周りの男を黒焦げにし、幹部の持っている日本刀を溶かした
違反申告
梅
2017/10/16 16:13
Erbaccia
「 い"ッ……、げほッ、ぉ、え…
…ぃ、おい、それ、お嬢のだろ…」
止まることを知らない大人達の暴行。
後頭部に衝撃を感じて何度目か、地面に倒れこんでは何かで殴られた事を悟る。
ぼたぼたと口から液体が溢れ、白黒する視界で其れを見ると口の中も切ったらしく血が混じっていた。
構わない、こんな世の中には慣れている。
ただ、何となく許せない__と手を伸ばせば先程自分の後頭部を殴ってきたそのブツ、"木刀"を掴んで先程の餓鬼の表情はやめて鋭く睨みつける。
「 人のモン使わずテメェの手ェ汚せや。 」
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 14:41
リシア
怒号が聞こえた場所へ行った瞬間、組員に蹴りを入れられたエルの姿を見つけた
「・・・・テメェら、何してやがる!!」
その姿を認めた瞬間、もう一度蹴ろうとする組員を木刀で一閃
頸椎へ見事ヒットした事により、男は倒れた
男「次期組長・・・・!これは、その」
「言い訳はエエ。テメェらのやったことがそれで消える訳やないやろうが!」
烈火のごとく怒り出す琥珀。エルの元へ駆け寄ろうとする彼女の前に一人の幹部が立ち塞がった
幹部「おまちくだせぇ、次期組長。あんな餓鬼相手に情けかける必要はありぁせん・・・・おい、誰か押さえてろ」
周りの男達が琥珀を一斉に取り押さえて木刀を奪ってしまった
抜け出そうともがくが、大の男達の力には敵わない
「やめろ!離せっ!!」
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梅
2017/10/16 13:21
Erbaccia
完全に油断した…まさか縁側に辿り着く曲がり角で男2人とばったり出くわしてしまうとは。
普段ならきちんと警戒していた筈が、やはり数を重ねると隙が生まれてしまう。
いや、そんな事はどうでもいい。今はこの状況をなんとかせねば自分の明日が無くなってしまう。
「 ま、間違えて入っちゃったんだよぅ〜。 」
こんな時だけ餓鬼ぶってなんとか理解してもらおうと試みるが、まぁ流石はヤクザなだけあって聞く耳を持たない。
下手に能力を扱って騒ぎを起こすわけにもいかず、抵抗しないままでいると強烈な蹴りが鳩尾部分に見事にヒットした。
やはり子供であろうが容赦しない様だ。
意識が飛んでしまいそうな程の衝撃、言うことを聞かない呼吸器官に嘔吐感を覚えながらも地面に這い蹲ってしまい。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 10:47
リシア(鳴神琥珀)
「今日は来るかなぁ~・・・・」
リシアはお気に入りの桜が控えめに散った柄の着物を着ながら、今日来たらお洒落な私に驚くかもしれないとご機嫌だ。
普段は無造作に結った髪だからと今日は入念に髪をとかして、お気に入りのルビーがあしらわれたネックレスをつけた
「今日、来てくれたら良いのにな~♪」
そんな風にしていると、怒号が聞こえた
聞いた事のある声だから組員だろう
男「てめぇ、どっから入ってきやがった?!」
男2「此処を何処だかわかってやってんのか?」
まさか!と思った琥珀は木刀を手に取り、いつも彼と話している縁側へ駆けた
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梅
2017/10/16 08:48
***
Erbaccia
「 よ、と…さぁてと、今日は…
いや、どぉせ今日も木の棒振り回してんだろな。 」
これで早何度目か。
少なくとも片手じゃ足りないほどの回数は此処へ足を運んだ様な気がする。
『隠れ友達』というのは嘘だ、などとしていた割には自分は律儀に此処へやって来て、自分以外に友達のいない彼女に適当な世間話をする。
別に毎日通っている訳でもなければ時間も然程長くは拘束されない。
何より、彼女と話す事に悪い気はしないのだ。
とはいえ、まだこの敷地の人間に『隠れ友達』なだけあって見つかってはならない事に変わりなく、相変わらず警戒しながらいつもの縁側へと向かって行き。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 02:48
リシア(鳴神琥珀)
頭を撫でられた、と思ったら彼は既に遠くへと行ってしまった
「誰かに頭なでられたの、久しぶりだなぁ・・・・」
まだ少し熱の残る頭頂部に触れながら頬を緩ませる琥珀
呼ばれた声に答えながら、次に彼が来るのを心待ちにしていた
*因みに、琥珀の普段着は着物です(柄は四季折々)
違反申告
梅
2017/10/16 02:45
Erbaccia
「 仰せのままに…なんてな。
さぁて、取り敢えず今日は一旦ズラからせてもらうぜ。」
チラリと視線を上げてみればキラキラとした目を一身に受けており気恥ずかしさを抱く結果になってしまえば誤魔化す様に相手の頭を軽くわしゃわしゃと撫で回して。
然しそんな呑気な空気も束の間、まだ距離こそ遠いが彼女の名を呼ぶ声が聞こえてきては軽く彼女に手を振って、後は相手の反応も待たぬまま元来た道を早足に戻って消えてしまい。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 02:23
リシア(鳴神琥珀)
「本当に?私、与えられた本しか読めないし学校って所も行ってないからすごく退屈なの。一杯色んな事教えて!」
見たこともないお辞儀をするエルを見て、目を輝かせる琥珀
今の彼女にとって彼は外の知識をくれる唯一の人となった
違反申告
梅
2017/10/16 02:19
Erbaccia
「 あぁ、外からだ。
日中から棒切れ振ってる世間知らずそうなお嬢さん、俺は物知りだから"隠れ友達"に免じて色んなことを教えて差し上げましょう。 」
普通なら戸惑ってしまう様な質問ではあるが、此処で不審な回答はせずあっさりと答える。
そしてその回答を流すかの様に失礼なひと言と小さな身体で紳士ぶった言葉を付け足してはそれに見合った紳士的な礼をその場でしてみせて。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 02:10
リシア(鳴神琥珀)
「分かった、秘密ね」
琥珀も彼と同じように唇の前に手を当てて真似をする
同年代の誰かと話すのは初めてで、とてもワクワクしていた
それと同時にこの人なら、と琥珀は思っていた
「ねえ、エルは此処の外から来たの?」
違反申告
梅
2017/10/16 02:05
Erbaccia
「 カチ、コミ…まぁそうだな。
だから隠れ友達は人に知られちゃいけねぇのさ。
いいか、俺らだけの秘密だぞ? 」
純粋すぎる、そしてこの家庭にいるという事だけあって発言はダイナマイト級だ。
然し子供が何を好み、憧れるかは誰しも共通点がある筈。
それを知っている自分は『秘密』という好奇心を駆り立てられる言葉を使っては悪戯っぽく笑い、乾燥した唇の前に人差し指を立てて「シーッ」と呟いた。
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しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 01:48
リシア(鳴神琥珀)
「隠れ友達・・・・友達?!」
彼の言葉を反芻した琥珀は驚いたように声を上げた
この時琥珀にとって彼は警戒の対象ではなくなった
「友達って、一緒にカチコミしたりするアレの事?!私、友達なんて初めて!!」
名前を綺麗と言われたことも初めてで、琥珀のテンションは上がっていた
違反申告
梅
2017/10/16 01:34
Erbaccia
「 それで…琥珀、実はな………
俺はあんたの"隠れ友達"ってヤツになろうと思って来たんだ。 」
この偽名を綺麗だと言ったのは彼女くらいだ。
その瞬間に本能的であろう、頭の中で『彼女は危険だ』と警報が鳴り始めたが、彼女も名乗ってしまってはもう遅い。
「あんたのが綺麗だ。」と言いながら彼女を自分のいる場所まで引き入れ、上記をしみじみと語り出す。
当然だが『隠れ友達』というのは今の今考え付いた嘘であるが、きっと彼女に対しては非常に都合が良いであろう。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 01:16
リシア(鳴神琥珀)
「エルって綺麗な名前だね、私は鳴神琥珀!」
エルと名乗った少年が手招きをしてきた
琥珀は何の疑いもなく、縁側へ木刀を置いて彼の元へ駆けて行き
「うん、此処には私と君しかいないよ」
違反申告
梅
2017/10/16 01:10
Erbaccia
「 こ、こんにちは。
俺はざっそ……じゃなくて、えっと、
Erbaccia、エルだ。 」
綺麗な笑顔を浮かべる彼女。
きっとまだどんな腐ったものも見た事ないような奴なのだろうとひと目で判断した。
そんな彼女に勿論『忍び込んできた者です』なんて返せず、その上ここがどんな場所であるかということも把握済みな自分は慌てて挨拶と名前を名乗り、不器用で引き攣った笑顔を浮かべた。
そんな間にも辺りに警戒することを怠らず、不審がられるであろうが此方に手招きしては下記を述べて。
「 ちょいコッチ来な。
あんた、いま1人か…?」
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 00:56
リシア(鳴神琥珀)
近くから音が聞こえて、鋭くそちらに目をやる
そこには一人の少年がたっていた
一陣の風が吹いて、琥珀の銀髪と着ている袴を靡かせる
「こんにちは!君はだれ?」
好奇心旺盛な金色の瞳が細められ、少年に笑顔で問う
違反申告
梅
2017/10/16 00:47
Erbaccia
「 ふぅん…中々、いい屋敷じゃねぇか。 」
見事なまでの立派な敷地に誰にも気付かれず忍び込んだ子供。
見た目は10代前後といったところか、歳に似合わず黒のVネックとデニムのスキニを着込み乍も澄んだ灰色の瞳をチラチラと動かしては敷地内を彷徨っている。
どのくらい歩いたか、向こうから聞こえてきた声に思わず身を隠しながら其方を見ると歳は同じくらいにも見えなくはない少女の姿が確認できた。
女が木刀を振り回すのを見る事自体が自分にとって珍しいものであり、そしてあまり上手く扱えていない状況に不本意ながらも見入ってしまえば体勢を整える際に近場の木を踏んで少なからず相手に聞こえるであろう音を立ててしまった。
違反申告
しぉり♥⇔りぃこ
2017/10/16 00:34
リシア
リシアはいつものように、縁側から庭に出て日課である木刀を振るっていた
自分の背丈に少し合わないそれに時折振り回されそうになりながらも、懸命に素振りを繰り返す
「せいっ、やっ、はっ!」
違反申告
梅
2017/10/16 00:31
早速お邪魔させて頂きます~!!!
別板ありがとうございます!
始め方は、ですね…出会い編から始めたいので
まずはリシアちゃん(琥珀ちゃん)にいつも通りの生活の流れで縁側とかに出て頂けると此方も話を持って行きやすいです。
違反申告
リシア
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トパーズの力の主導権をエルに奪われたのを感じた
恐らく襲いかかってくるであろう雷を予測し
「頼んだよ、紅(くれない)」
雷が到達する瞬間、その場所を的確に捉えた炎が雷を炎もろとも消し去った
彼女が名を呼んだのは胸元で一際強く瞬きを繰り返すルビー
それだけで紅は的確な判断をし、主である琥珀を守る
「古より吹き荒ぶお前に命ずる。我が足にその加護を纏わせよ」
ドンッ!と音を立てて足が力強く床を蹴れば、そこの部分にクレーターが出来た
ついでと言わんばかりに纏う風を使って近くの物を巻き上げてエルの視界を妨害する
「 チッ………退け。 」
身体能力的には肉体面も考えて此方のが早く、彼女に追いつけるのだがやはり妨害はしてくる。
走る彼女から声が聞こえては一度足を止め、その瞬間に解き放たれた無数の雷光を身に受けて。
構えた【拒絶】は手慣れた様に雷を身体から遮断し、相変わらず騒がしい石ころのロジックを読み解けば自分への関心がまるでない彼女の背へ静かに指を向ける。
無音になった雷は光速で彼女の背へ向かい、同時に自分もまた追いつく様に走り出した。
「古よりこの世へ吹き荒ぶお前に命ずる。我が耳となり彼の者を見つけよ」
廊下を駆け抜けながら、周囲を浮遊している宝石の一つである翡翠へと‘’願い”ではなく“命令”を下す
何の抵抗も無しに宝石はそれに応え、琥虎の現在地と移動中である事を琥珀へ対話によって伝達する
「・・・・そうか、アレの護衛なら私を止めなければならないものな。追ってくるのも当然か」
ついでに伝えられた自身を追いかけるエルの情報
琥珀は足を止める事無く、再び能力を発動した
「古より天空から来たりし災いであるお前に命ずる。我が目的を妨げようとする者を止めよ」
宙へ浮いていたトパーズがそれに応え、エルに向かって大蛇のような幾つもの雷が喰らいつくように襲いかかっていく
それを確かめる事すらせずにただ標的を殺すことだけが頭のなかにあった
「 …ッ、おいよせ! 」
想定内に無かったシチュエ-ションではないが、心底自分から伝えていて良かったと言えよう。
彼の口から伝えたのであれば間違いなくその場で八つ裂きもあり得たのだから。
「 その傷で何しようってんだッ 」
大概此方も態とらしい、がジッとしている訳にも行かずヒステリックに近しい彼女を追う様に此方も部屋を飛び出して行った。
「・・・・何故、アレはいつもいつも私の大切なモノを奪っていくのか」
ポツリとそんな呟きが漏れた
自由も、学ぶ術も、行きたかった学校も、将来の選択肢も、母から貰える筈の愛も・・・・エルでさえも奪うのかと
彼がそうしてくれと、例え言ったのだとしても憎悪は全て琥虎へ注がれる
「そうであるなら」
手入れをしていた宝石達が、彼女を取り巻く様に浮かび上がり激しい瞬きを繰り返す
「奪われる前に、奪えば良い・・・・アレの命を」
刹那、彼女はフラりと立ち上がったと思えば、エルの横を凄まじい速さで駆け抜けていった
「 俺がそうしてくれとお嬢の親父さんに持ち掛けた。 」
やはり其れなりの感情は吐出してくれた。
彼女が何らかの理由で嫌う父親への嫌悪は恐らく反抗期だけのものではない。
その父親に自分が加担すると言うのだから当然の反応である。
だかその痛々しい状況でも微動だにせず、確りと上記を伝えて。
彼の言葉を聞き、理解した瞬間に信じられない事が起きた
手にした宝石が、前触れもなく木っ端微塵に砕けて琥珀の手を血塗れにした
しかしそんな事はどうでもいいのか、震える声で
「どう・・・・し、て」
もっと言いたい事があるのに、声が出てこない
砕けた宝石は彼女の心を表すように、血濡れた手を更に傷つけるがごとく皮膚へと食い込んだ
実際の所、宝石は彼女の心の有り様を鮮明に感じ反映する
暴走しなかっただけ奇跡と言える
彼女の謝罪を鼻で笑って許し、続く皮肉にはその通りだと言わんばかりに肩を竦めて彼女の頭にそっと手を置いた。
「 いや、何…大した話じゃねェが、
お嬢には伝えておこうと思ってな。 」
ふっとにやけていた顔付きを真面目そうに澄ませると彼女の頭上から手を下ろし、少し間を置いて下記を述べる。
「………親父さんの用心棒として此処で正式に雇われる事になった。
改めて、宜しく頼む。 」
「エルか・・・・先程はすまなかったな」
彼の気配を感じ、手元から顔を上げる事無く開口一番に謝罪の言葉を述べた
「無闇に修練をして傷口が開いては、私の隣にいる師がその悪人面を更に険しくして怒るだろうからな。それで、話とは?」
揶揄を言ってきた彼に相変わらず顔を向けぬまま、次の宝石を手に取りながら皮肉で返す
「 お嬢、帰る前に話があってな…入るぜ。 」
辿り着いた彼女の自室へ慣れた足付きで踏み入れば、ああ見えて特訓中の彼女へ声を掛けた。
きっと前回みたく宝石達は彼女に躾けられ、随分と大人しく会話をしていたに違いない。
「 療養中にゃまァ其れくらいしかできねェよなァ… 」
ぼそりと揶揄を入れると先程の礼儀正しさは何処へやら、彼女の隣にどかりと腰を下ろして。
その頃リシアは、自室で宝石の手入れをしながら本を読んでいた。
読んでいるのは宝石に関する神話で、ブックスタンドに立て掛けて時折ページを捲っていた
宝石もただ磨いているわけではなく、個々と対話をしていた
「ふぅ・・・・やはり精神統一には、これが限るな」
宝石と対話をする事で己の心と向き合い、神経を研ぎ澄ませていくのだった
「 …畏まりました。 」
出て行く男を視界の端に、2つの意味での返事をするなり閑静になった部屋で漸く頭を上げる。
すぐに帰るはずだった予定が面白い様に狂ってしまった。
この後の予定を全てキャンセルする事を想定しながら自分もその部屋を後にし、もう一度彼女へ会う為に屋敷を練り歩き。
琥虎「分かったと言いたいのだが・・・・アレは俺の話を一向に聞こうとはせん。お前さえ良ければ、話しておいてはくれまいか」
そう言いながら席を立ち
琥虎「無欲な男よ、ならばせめて幹部と同等の扱いをしよう。勿論、給料もだ」
言い残すと、エルへまた人の良さそうな笑みを浮かべて去っていった
「 …いえ、権力欲しさに申し立てた訳ではないのでご遠慮させて頂きます。 」
こうべを垂れたまま、この事を知った彼女がどんな顔をするだろうかと頭に思い描いてみた。
何故だろうか、彼女が哀しんでいる姿が一番に浮かんだにも関わらず罪悪感は自分の背を登ってこなかった。
寧ろ、表情を変化させてくれる事自体に期待を寄せている自分が其処に存在するのだ。
「 彼女には………、
俺が自分の意思で貴方の用心棒になったと。
そうお伝え下さい。 」
琥虎「別に捨てるつもりはない。お前さんが此方につくというだけで、アレにとってはかなりの抑止力と衝撃になるだろうからな。・・・・いっそ、アレを組長として表向きは仕立て、お前に権力を渡しても良いかもしれん」
エルの事をすっかり気に入った琥虎は人の良さそうな笑みを浮かべながら上記を述べる
そして、ふと思ったように
琥虎「アレにはどう言えば良いか?」
と、エルに問う
「 …俺が成るのは貴方のご子息の代替品。
それに貴方同様、俺は彼女を"大切"に育てた故…善処は致しますが傷物に出来るかどうか。 」
このアブナイ橋を渡る様な感覚が何より堪らない。
彼の笑い声に鼓膜を震わせながら込み上げる螺子の外れた感情を抑えると表情を元に戻す。
恐らく気に入らないであろう上記にこうべを垂れながら下記を述べた。
「 ご満足出来かった場合は即座に棄てて頂いて構いません。
契約成立以降、俺は一切貴方に手出ししない事を約束致しましょう。 」
琥虎「ハッハッハ!聞こえたいたとは、随分と耳が良い。此処で正式にアレを制御してくれるのはとても有り難いことだが・・・・本当に俺の‘’傀儡”になるつもりか?」
目の前で初めて笑った彼を見て、琥虎は底知れぬ何かを感じたが笑って内心の冷や汗をごまかした
琥虎「俺の傀儡となるからには、最悪の場合・・・・アレ(琥珀)にも牙を向けてもらう事になるやもしれんぞ」
「 ………そう、その通りです。
よかった…貴方が"そういう人"で。 」
サングラス奥の瞳を少しだけ細めて、濁った灰の瞳をゆらり艶やかに揺らせば上記と共にふっと肩の力を抜く。
流石に彼も伊達に現組長をやっているわけではないか、そう愚かな相手でもないらしい。
態と自分に先程の言葉を洩らしたのやも、とも取れるが。
そして己の関心と興味は一時的に彼へと傾き、思考回路はひとつの策を講じる。
「 お陰で俺も腹が決まりました。
…どうでしょう、俺を正式に此処で雇ってくれませんか。
貴方の手足でもご子息の制御でも、彼女に代わるいい"傀儡"に…なって差し上げましょう。 」
首をこてりと傾け、此処で初めて口角を上げ卑しく笑って見せた。
琥虎「強いて言うならば、琥珀の命だ。老いぼれるしかない俺と違い、アレには瑠璃から継いだ武才と計り知れぬ力・・・・あの能力がある。鳴神組の存続を考えれば当然の答えと言えよう」
然程悩む様子もなく、彼はキッパリと言い切った
血の繋がった彼女を、次代を繋ぐ責務を負った彼女を『傀儡』と例えた気がした。
いや、間違いなく目の前の彼はその言葉を発したのだ。
その瞬間、思考が完全停止する。
…否、完全ではなく無意識の内に脳裏では対策を巡らせていたのかもしれない。
「 成る程、確かにその様な事をされては組の面汚しも良いところです。
……ところで、琥虎様。
貴方は、1人の父親として…琥珀さんの命とご自分の命、何方が大事だと考えておられますか? 」
部屋へ入室した時から一辺たりとも外れる事なく変わらぬ声色。
そして別段彼の最後の一言に反応した言葉ではなく、会話の流れで彼に怪しまれない程度のちょっとした問い。
然し此方にとっては彼の器を測る為の真剣な問いであった。
琥虎「使う能力は主にあの我が家を焼いた炎、当然相手には別の場所で待機させてから発動させておる。燃え盛る炎の中心で、アレ(琥珀)はこう言うのだ・・・・「我が婿になりたければ、この燃え盛る火炎に飛び込み私を救って見せろ」とな」
考えるだけで頭が痛いのだろう
顔に手を当てて重い溜め息をついた
琥虎「勿論、飛び込む男なんぞおらんかった。それでも言い寄る者には何やら別の能力を使って廃人に追い込む始末・・・・あんなに己を主張するとは、かつては完全な傀儡だったというのに」
最後の方はエルに聞こえぬよう、思わず口の中で発した一人言だった
それが彼に聞こえているとは知らずに
「 …試す、ですか。 」
可哀想に、と情を掛けざるおえない母方の暴走具合に心中で目の前の彼の無事を祈っておく。
母親には聞かせられない内容なのだろう、と彼との距離を若干縮める様に近付けば耳に入った情報に疑問が浮かんだ。
「 俺は一応、能力を使用する際は相手を選べと指導しておりますが…
何を目的に相手を試す様な事をなされているのでしょうか…? 」
思考を巡らせ、彼女の意図を探ろうとするがどれも確信がいかない。
そう、最近の彼女は少し妙なところが多い様な気がする。
能力に関連しているのであれば少なからず此方にも責任がある、と続きを促して
瑠璃「・・・・エル君に免じて、許して差し上げましょう。命拾いしたわね、琥虎さん」
チッ、と舌打ちをしてから薙刀を構える手を下ろした
明らかに安堵して、姿勢を整えると漸く本題へはいった
琥虎「一番の問題は相手を軒並み倒している事ではない・・・・瑠璃、頼むから席を外して欲しい」
瑠璃「嫌です。それなら後程、私が持つ全ての武術を琥虎さんに叩き込みます」
琥虎「・・・・分かった、後でいくらでも受ける。せめて仕事に支障がない程度にしてくれ」
瑠璃「その言葉、しかと受け取りましたからね?」
琥虎の覚悟が届いたのか、薙刀を持って瑠璃は退出していく
そして、憂鬱そうな溜め息をつきながら本題を切り出した
琥虎「一番の問題は、相手を軒並み倒している事ではない。
・・・・能力を使用して相手を試す時があるんだ」
「 …まァまァ、一度落ち着かれて下さい。
琥虎様も家を残す為という大切な考えあっての事なのでしょう。 」
『弱者』の捉え方は人によって違うらしい。
彼の言う全てを含んだ意味で問うたつもりだったが、上手く伝わらなかった様だ。
目の前で繰り広げられる痴話喧嘩に一体自分は何に付き合わされているのだろうかとげんなりしつつ、尻に敷かれる父親の方へ助け舟を出してやり、中々進まない話に折り合いをつけようと下記を述べて。
「 俺の意見は多少の融通は利けど客観的で一般的な社会のルールに則ったものですので、参考にはなりません。
何か俺なりの指導で助力出来るのでしたら、善処しますのでお教え下さい。 」
琥虎「いいや、そう言っておるのは琥珀だけなのだ。俺は家柄、器量申し分無い男に婿へ来てもらいたいのだが」
瑠璃「琥珀ってば、琥虎が選んだ男と対面すれば相手の机に頭を殴り付け、何食わぬ顔でナイフを高速で投擲し、最終的には首根っこを掴んで池に叩きつける始末なのよ~・・・・流石、私の血を引く娘だわ♪」
苦虫を噛み潰したような琥虎と対照的に笑顔を崩さない瑠璃。
そして、琥虎の意見を聞いた瑠璃は足元に隠し持っていたのか薙刀を手にして座ったまま鋭く切り込み、琥虎の首筋寸前でピタリと止めると
瑠璃「何度言ったら分かるの?お見合いなんて時代錯誤、あの子の意思を少しは汲んであげなさいと再三申し上げた筈ですよ!」
琥虎の顔はひきつり、心なしか青い
「 はァ…そうですか。 」
正直な意見は『自分には関係無い』で一蹴なのだが、彼の謎の痛ましい姿にほんの僅かな情が湧いた。
猫背をこの場だけはいつもスッと伸ばし、聞き取りやすい淡々とした声で返して。
「 ご子息へ言って聞かないのであれば仕方ないかと……元より貴方達が弱者には興味も、嫁がせる気も無いのは明白。
今迄の方針で何か問題でも御座いますでしょうか? 」
『問題』というのは彼の言うところの彼女の『問題のある行動』を暗に指している。
あくまで仮定だが、彼女が見合い先の男を片っ端から潰して周っている事が頭に浮かんだ。
琥虎「今日はお前さんに話があってな・・・・本当は男二人で話したかったが、こいつが同席すると聞かんくてな」
瑠璃「わざわざ言わなくても宜しい。それとも、また滅多打ちにされたいのかしら?琥虎さん??」
ニッコリ微笑んだ瑠璃の背後には確かに般若が見えていた
よく見れば琥虎は全身包帯だらけで、気まずそうに顔を背ける
琥虎「コホン、本題に移ろう。実は先月より琥珀に漸く嫁ぎたいと申し出る数多の男達と面会をしているのだが・・・・あまりに琥珀が問題のある行動をしておってな。我らよりも共に過ごす君の意見を聞きたいのだ」
「 ………今日はお揃いでしたか。 」
さっさと済ませてさっさと帰ろう。
そんな甘い考えが通じそうにないこの状況、どうしてくれようか。
別段やましい事など何も無いが、母親の方がこの場にいるとやはりやり辛い。
通されたいつもの室内で2人の姿を確認しては真顔で上記。
取り込み中では無いことを察すると用件は自分にあるのだと察していて。
「 …それで、何か問題でもあったでしょうか。 」
「あ、エル・・・・」
まただ、また彼を困らせてしまった
昔からいつもそう・・・・優しくて世話焼きな彼につい甘えてしまう
「・・・・何で本当の用件言えないかな」
それをもうすぐ、彼は知ることとなる
エルが向かったいつもの場所には琥珀の父、琥虎
そして何故か琥珀の母、瑠璃の姿もあった
二人は心底真面目そうな顔で、エルの前に座していた
琥虎はいつも通りだが、いつも笑顔の瑠璃が真顔なのだ
「 ……お嬢、偶には俺の気持ちも汲んでくれや。 」
小さく、下を向いてそう呟くなりパッと両腕を離し縁側へと上り込む。
上から見下ろす様に彼女を見て、困った様に苦笑しては下記だけ言うと目的の場所へと行ってしまい。
「 贈り物、ありがとな。
今日は親父さんトコに顔出して帰っから…それじゃ。 」
「熟考した結果だ。私はもう、好奇心のままに動いていたあの頃とは違う」
一歩迫ってきたのは予想外で、思わず此方が退きかけた
両腕を掴みながら、諭すように言う彼へ上記を述べて首を横に振る
「 ………駄目だ。 」
彼女が掴む裾をいつもの様にすり替えるのではなく、やや強引に引き抜くと眉を顰めて一度首を横に振った。
「 今のお嬢には分からねェかもしれねェが、いいか…相手はよく考えて選べ。 」
今度は此方が一歩迫ると肩を掴もうとして…彼女の負傷を思い出すと両腕を掴んで上記を諭すかの様にゆっくりと述べて。
「何だ、口が良かったのか?」
口にするのは流石に不味いだろうかと考え、これでも口は遠慮をしたというのに・・・・
不服な表情をしながら更に距離を詰めて
「ふぁーすときすはエルが良い」
彼の服を掴んで引っ張りながら、大真面目に言った
彼女が何を意図してこの行為に至ったのか、残念ながら自分には理解する事は出来なさそうだ。
「 く、口じゃねェからセーフだ…良かったな。 」
呻くように上記。
このような状況でなければ彼女の記憶違いを大いに揶揄してやった所だが、今は彼女が悔しがって続行しそうな動きに注意して。
「挨拶は誰にでもするものだろう?今の行動はエルにしかしないし、したくない」
信じられない様な目で見て一歩下がるエル
此方もその分距離を詰めながら
「一応、ふぁーすときす。というモノなんだけが?」
母から聞いた、不慣れな横文字を頑張って言う
相手はどう反応するものなのだろうか
「 ………ッ、 」
たった数秒、彼女が近付いて…そして頰を通り過ぎる柔らかさに完全に思考が停止した。
何があったかなんて考えなくともわかるが、誰がこんな展開を予想しただろうか。
パッと頰を押さえて彼女から一歩後退れば信じられないものを見たかの様な目をしてしまう。
「 あー、何だ…外国の挨拶にハマってンのか、えェ? 」
態と戯けてみせるが妙に決まりが悪く、闇雲に頭を掻いて。
「文句を言いつつ屈んでくれる辺り、優しいな」
エルの首元へ手を回し、ネックレスを着ける
そして、屈んでいるエルの顔へ手を添えると
徐に頬へキスをした
それは一分にも満たない短き時間で離れた
「 おいこら、誰が悪人面だ? 」
頑張ったんだぞ、とばかりに口を尖らせていると彼女から妙な言葉が出て首を傾げる。
此方は猫背で少しは縮んでいるつもりだが、そうでなくても良くて手を伸ばせば、最悪背伸びをすると届くであろうにと若干不審がる。
ただタイミングの掴めぬ彼女の我儘なのだろうと小さく下記を零しながらすぐに膝を曲げて屈んでやり。
「 別にそんな高かねェだろうに… 」
「喜んでもらえてよかった・・・・・仕方がないだろう、万が一組員に聞かれてみろ。私は良くて軟禁だし君は軽くても出入り禁止になってしまう」
話しながら思う
この男は気づいているのだろうか、自分がダイアモンドを贈ったという意味を
ダイヤモンドは結婚式にもよく使われ、色合い的にも透明だが白に近い
読んだ本に、新婦が白いウェディングドレスを着るのは貴男の色に染めてほしい意味合いがあると書いてあった
他の男の色ではなく、エルの色で染まりたいと思ったから、この宝石を贈ったのだ
「あ、珍しい・・・・笑顔が悪人面じゃない」
首にネックレスをかけてくれる彼へ少しジョークを飛ばして。
暗に付けてくれと言われたのでネックレスを手に取った
そこで、妙案を思いついた。表情にはそれを出さず
「付けたいのは山々なのだが、エルの身長が高すぎて届かない」
「 はははッそりゃそうだッ、
それでもまァ………嬉しいよ。 」
彼女の言う宝石の石言葉。
律儀に1つ1つ調べておいた事は秘密だとして、その鉱物の石言葉が頭に浮かぶと吹き出すように笑い出す。
然しまぁ彼女が懸命に選んでくれたのだから、と一度深呼吸をして表情を正すと真っ直ぐに彼女をサングラス越しに見つめて。
両の口角を少し上げ、目尻は細めてぎこちないながらに『微笑』を浮かべては、これで精一杯の普通の笑みを表現して心から彼女へ感謝の意を伝える。
「 それから…コレ、預かってたやつ。
返事くらい自分の口で言えよな。」
贈り物を持った手とは逆の手でポケットへ無造作に手を突っ込み、前回預かった装飾品を取り出して彼女の首に腕を回せばそれを下げてやりながら上記を。
そしてvネックの襟より少し上、鎖骨部位を軽く叩くと贈り物を彼女に差し出し『自分にも付けてくれ』と暗に指示して。
「そう、ダイアモンド。呼びつけた馴染みの宝石商と宝石本人にきちんと本物か確認したから間違いなく本物」
珍しくエルから動揺が見てとれた
やはり驚いたようで、贈り物をした此方としては嬉しい
無表情ながら機嫌が良いのが見てとれる
「エルに似合うと思って。ダイアモンドの石言葉は、正直君に似合うか微妙な所だけどね」
ダイアモンドの言葉は純真無垢
私にも彼にも似合わない四字熟語だ
「 …お、おう、俺のか、そうか。
なら、有り難く貰っとくぜ。 」
今日は何のサービス日なのだろうか。
お互い、立ち位置が軽い存在でないことは確かだが、彼女から『大切な人』などと暗に称され、その上に珍しくも表情の強い変化に流石の自分も戸惑わずにはいられない。
一瞬目を泳がせたり動揺していたものの、急ぎ平静を装えば手にした包装箱を態々「開けるから」と声を掛けて、それから丁寧に開いていく。
「 お嬢、これ…ダイヤモンドか? 」
サングラス越しに見ているのにも関わらず彩度の無い、透明感のあるその鉱物。
触れるだけで分かってしまったのは…まぁ職業柄という事にしておこう。
チェーン部を持って眺めては宝石という事もあり、彼女の能力と関係するものだろうと察して。
「違う。これは大切な人にあげる贈り物だ」
敵から和平で何か送られたのなら、渡される前に鉛玉をぶちこむのが常識だ(鳴神家特有の考え方です。良い子も悪い子も真似をしてはいけません)。
そう考えつつ、エルへとその手に持っている物を差し出した
「エルにあげる」
どんな表情をしてくれるのか、と思うと年甲斐もなく楽しみだ
無意識にいつも以上に微笑んでいることに、琥珀は気づかない
別日、前のことがあって気乗りはしないが役目ゆえに彼女の屋敷へと向かう事にした。
許しもあって堂々と表から入れば良いものを、敢えて子供の時のように忍んで入り込むのは癖か、もしくは襲撃に備えてか。
縁側に佇む彼女に近付きながら手に持つ物へと意識を向けた。
「 よォ、そりゃ何だ?
敵さん方から和平の印でも貰ったのかい。 」
彼女がそんな怪しげなものを貰い受けるとは思わないし、もちろん冗談だ。
縁側に腰掛けてはチラリと彼女の表情を伺っては、前回の傷が然程酷いものではないことを察して。
肩の処置はその日の内に終わり、傷は既に回復の兆しを見せていた。
宝石の力による恩恵なのだろうか、と思いつつ琥珀はいつもの縁側でエルを待っていた
「流石に昨日の今日で、修練はさせてくれないだろうな」
そうぼやきながら、手元にあるものを弄る
それは綺麗な包みとリボンで包装された箱だった
宝石の声は自分を驚かせ、彼女の成長をはっきりと示すのには十分過ぎるものであった。
が、彼女を苦しめていた声が、自分の色を奪った音が、こんな形に調教されてしまったのは何故か腑に落ちない。
聞くだけ聞いて、何を考えているのか分かりかねない彼女の思惑に首を捻りつつポケットに預かり物をしまえば出口の方向へと向かう。
「 お嬢には帰ったって伝えてくれ。 」
組員の1人にそれだけ言うと帰路に着いて。
元より顔を見るだけ、と決めていたのだ。
彼女の肩に後遺症が残らない事だけをひそかに祈りつつ、あの場では喫わないが此処何年かで始めた煙草を咥える。
キツイほどのシトロンの匂いに混ざった煙草臭に酔いつつ、日も暮れた街並みをぼんやりと眺めた。
「・・・・エル、これを持っていてくれ。これが私の考えだ」
組員に本格的な処置へ連れていかれる前にエルへ常に身に付けているルビーのネックレスを放る
そこで彼女は部屋から出ていった
そして彼女が部屋を出た瞬間、エルの頭の中へ声が響く
『数年ぶりで御座います。あの時は大変失礼を致しました事を御許しください』
男とも女とも区別がつかない宝石の声だった
琥珀がエルでも聞こえるよう、力を巧みに使った事で意思の伝達を可能にした
『この度は我が主の言伝てを僭越ながら私が伝えさせていた抱きます』
内容は遠回しな表現が多くかなり長くなったが大雑把に訳すとこういうことである
・エルの申し出は大変嬉しい
・しかし、自分には鳴神の名を懸けてやることがある
・それが終わった後、エルが心変わりしていなければ自分を此処から連れ出して欲しい
とのことだった
「 ………お嬢がそう望むなら、
俺は仰せのままに動いてやるよ。 」
彼女の父親が我が子をどんな目で見ているのか…そんな事は聞かずもがな、理解出来ることだ。
それに口出しする事は叶わない。
ただ彼女の意思で自分を動かしてくれるのであれば、それは条件に触れる事はない。
彼女の目が迷っているかどうかは定かではないが、目線を静かに肩へ移せば応急処置を済ませ、彼女の答えも聞かぬまま他の組員へ連絡、本格的な処置へと移らせることにした。
「~~~っ!」
エルに返事をしようとしたが、傷がかなり痛み声にならない
流石旧友というべきか遠慮がないと涙目ながらに思った
思わず目の前にいるエルの服をギュッと握り締めて耐える
「・・・・化け物が一人で行くのに、アレが心配なんてする訳がないだろう。アレにとって所詮私は駒か武器に過ぎない」
エルのしてくれた提案はとても魅力的だった
此処から出れば、縛られた人生から逃れられる
「何だ、駆け落ちでもしてくれるのか?」
涙目ではあるが、クスリと微笑んで聞いてみた
「 一般人(ノーマル)だからって武器向けてくる相手に能力を使わなかったのか…?
そりゃ油断が過ぎるってモンだぜ、お嬢。 」
恐らく服は返り血、そして肩のものは貫通銃創。
しかし昏倒してない事を見ると致命的な血管は奇跡的に避けたのだと速やかに判断し、相手の合意無しにその傷を押さえ付けて止血を開始する。
恐らくかなり痛む筈だが、彼女の事だ。
此処まで澄ました顔をしてきたのだから耐えられるであろうと遠慮なく押さえて。
「 大事な跡取りが一人で行く事を許可した親も親だ。
本気で此処を出たいなら、俺が連れ去ってやらんでもねェが…。」
音を立てて縁側を走り、彼の姿を見て安心する
きっといつもみたいに揶揄や皮肉で迎えてくれるだろう
しかし、彼は振り返って予想通り揶揄を言ってきたのだが・・・・自分を見て目を見開いていた
「どうかしたのか」と言う前に、怒気を含んだ口調で問われ横抱きにされた
「能力は使わなかった。相手は手練れじゃないけど、死に際に鉛を一発打ち込まれた・・・・・【無の境地】は使っていたが、少し動揺してしまっていたのが相まって避けきれなかった」
冷静に対処していれば避けられた傷、動揺した理由は分かっている
それは、化け物と言われた事だった
表情には出さなかったが、自分でも知らぬ間に予想外のショックを受けていたのだろう
「 遅かったじゃねェかァ…何だ何だァ?
雑魚相手に手こずってたんじゃ___ 」
縁側に座りやはり居なかった彼女の、せめて顔だけでも見て帰ろうかと陽が落ちるのを眺めながら待っていては、少しもしない内にドタドタと足音が聞こえてきた。
足音からして彼女だろう。
『そんなに急くと転けてしまうぞ』と小言を言う前に軽く揶揄ってやろうと上記を口にしながら振り返り、捉えた彼女の姿にサングラスの奥にある双眸を見開き口や震える喉が止まる。
「 ……おい、先ずは傷の手当てだろ。
能力はどうした、相手は手練れだったのか? 」
間を置いて、口から飛び出したのは怒りを含んだ低音の声。
肩に触れないように細心の注意を払いつつ彼女を横抱きに持ち上げては空いた部屋へと目も合わせぬまま向かっていき
予想よりもかなり時間がかかってしまった
エルはまだいるだろうか
琥珀は出迎えた組員が怪我の手当てをしようとするのを振り切り、庭を駆け抜けた
超特急で目指すのはいつもの縁側
「・・・・まだいてくれるといいが」
自分の左肩から流れ出ている血でかなり重症に見える事に、琥珀は気づいていない
「 あの時の条件、改めて問いますが違えてはいませんね?
……ええ、疑ってなど。
それでは、失礼致します。 」
『そういえば』などと本人に言ったら叩き切られそうではあるが、父親の方へ琥珀の能力の近状を報告しに足を向けて、最後にほぼ毎回に近い言葉を投げ掛けてはその場を退出する。
琥珀の警戒時を超える父親の威圧感にはいつも感服しているが、琥珀の母親に比べたら此方の方が随分と話は運びやすい。
お互い良い関係だありたいと思っているのだから当然ではあるが、反対に関係が悪化しては面倒だというのも然り。
廊下を進んでいつもの縁側へ向かいながら、随分と時間が経過したがこれで彼女が戻っていなければ自分も退散しようと考えていて。
瑠璃とエルが話をしているとき、琥珀は荒波組の事務所を潰して、本家に居た
足元には血の海が広がり、椿の着物は返り血で紅く染まっていた
組長「ひっ・・・・ば、化け物っ!!」
「何とでも言え、恨むなら私と我が友人に手を出す事を命じた己を恨むんだな」
そう言うと銃を発狂したのか乱射してくる
琥珀は【無の境地】へ片足を踏み入れた・・・・最も、まだ片足ほどしか踏み込めないのだがと心の中で苦笑する
弾丸の軌道を経験と肌で感じ、紙一重で避けて組長へと肉薄し、袈裟懸けに切り裂いた
しかし、死の間際に放たれた一発が琥珀の肩を撃ち抜く
「・・・・見事。死に際に牙を突き立てるとは極道の鏡だ」
琥珀は撃ち抜かれた肩の痛みに顔をしかめながら、そこを後にして家へと向かった
「 ………俺ではなくても、きっと彼女は幸せだと思うでしょう。
お邪魔しました。 」
そう、要するに此処から離れられるのであれば彼女の悩みは万事解決、誰とでも幸せになれるのだから。
空いた皿と茶器を盆の上へ、口角を緩りと上げては一礼して早々に部屋を後にする。
母親というものはこうも我が子の幸せが何なのか把握出来るのだろうか。
『羨ましくはない』と言えば嘘になるが、手に入らない物を強請るほど餓鬼ではなかった。
彼女が戻るまで待つか、それとも今日は退散するか、扱った皿を洗いながらぼんやりと考えていて。
「全く、エル君も頑固ね・・・・うちの旦那みたいだわ」
瑠璃はエルを信頼していた
自分を除くこの場所で唯一、常に命を狙われて不穏な日々を送る琥珀の味方であり支えとなってくれている
素性こそ知らないが自分の大切な愛娘を嫁にやるに理由には充分だった
「気が変わったらいつでも言ってちょうだい・・・・君は約束を守ってくれる良い子だもの。エル君に嫁ぐならあの子も幸せよ」
「 ………まァ、否定はしませんけど。 」
『時代錯誤』なんて言葉が目の前の人物の口から出てくるとは思っておらず、不意を突かれたように口ごもる。
言い分に間違いはない、が此処でそれが通るような甘い世界でもないだろう。
それに…幾ら仲が良かろうと素性も知らない男の家に娘をやるというのも如何なものか。
とにかくこういった自分に関係してくる話はどうも苦手だ。
「 お気持ちは大変嬉しいのですが、返事はもう少し待って頂きたいのです。
自分は此処で、彼女の世話役として『友』として居るわけですから。 」
茶器を一点に見つめ、ぐるぐると頭の中で思考を巡らせては機械的に口を開いて。
「あの人の考えなんてどうでも良いわ。私はただ琥珀に自分が好きな人と一緒になって欲しいだけ・・・・お見合いなんて時代錯誤よ」
瑠璃は優しげな印象だが、言うことはハッキリという。
更に一度決めたらそのまま突っ走るタイプなので少々面倒だ
「それとも、まさか琥珀に不満が・・・・っ?!確かに最近は冷たくなって暴力的になりつつあるし、笑顔も激減しちゃったけど嫁としては申し分無いわよ~」
何気に貶しているのは気のせいではない
しかし、本人は思った事をいっているだけなので本当に悪気はない
「 ぶッッ、ン"ん"ッ、…は、いや、その件はですねェ…。 」
何度も聞かれた事なのだろうが、慣れなければならないと分かっていても今回はタイミングが悪い。
彼女と同じくダイナマイト級の発言は啜っていた茶を見事に気管へと流し入れ、噎せてしまう形となった。
咳払いをして口ごもっていても仕方がない。
はっきりと下記を述べては多少なりとも申し訳なさそうな顔をして。
「 琥珀さんには自分ではなくお似合いな方が他に沢山いらっしゃいますから…それにお父様の方も考えがあるでしょうに。 」
「あらあら、いらっしゃい。来てくれて嬉しいわ」
琥珀によく似た瑠璃は笑顔でエルを迎え入れた
彼女は元最凶のレディースで、琥虎と殴り合ったことがあるなど言ってはいたが、普通の優しい母親だった
「エル君がここに来るのも久々ね。ああ、そういえば」
お茶を飲んでいるエルへお菓子を食べながら
「琥珀の事はいつお嫁にもらってくれるのかしら?」
と、親が親なら子も子と言われかねないような発言をした
「 ok、お嬢に限っちゃありえねェが油断はするなよ。 」
意見する道理もなく、すんなり返答を口にしては一応見送り迄は付いて行き。
所詮は自分も彼女に対してだけは心配性なのだろうが、そこは『友』として当然だと言わせてもらいたい。
その後、彼女に言われた通り母親の元へと柄にもなく茶菓子と茶を盆上に乗せて向かえば声をひとつ掛けて襖を引き。
「 失礼します…
いや、特に用事はないですけど…茶を飲んで待てと言われましてね。 」
「・・・・荒波組の奴か。前々から何度もやってきて気に入らなかったが、こんなに露骨な手を使ってくるとはな」
エルに続いて骸を確認した琥珀は思案する様に顎へ手を当てる
そして、突然立ち上がって踵を返すと若い組員を一人呼びつけて何とでもない日常茶飯事の如く言う
「今から荒波組の事務所と本家を潰して来る。私以外に人手は不要、あの骸は始末しておけ」
慌てて男が走っていった後、エルの方へ向き直って
「すまないが用事が出来た。母と茶でも飲んで待っていてくれ・・・・なるべく早く片付けて帰るよ」
彼女の言い分は理解出来るが、少々冗談がキツ過ぎやしないだろうか。
本当にただの反抗期なのであれば過ぎ去った際にこの棘のある彼女も少しは穏やかさを取り戻すのかもしれない。
それよか見合い云々は置いておいて、出来ようもない表情について弄るのは勘弁してほしい。
「 ほっとけ、どォせ俺は厳つい顔で__ 」
文句を垂れる間も無く、始末されるまでの一連が流れ骸が庭に落下しては横目に見て「お見事」と一声上げる。
「 別にィ…損得だけで関わる仲でも無いだろうよ。
それに今更離れようが敵さん方には関係無いだろうしなァ。 」
肩を軽く叩いて彼女から離れると呑気に欠伸をしながら骸に近付き、どこの組の野郎かを自分なりに把握して。
彼女が若頭になってからもう日常茶飯事の光景だ。
今更臆する必要性も感じず、ただ適当な警戒心は日々抱き、自分にとっての障害だと思えば消す…それだけの事だった。
「じゃあ、結婚できなかったら貰ってくれ。エルの所へ嫁に行けばこの家とも離れられる」
両腕を上に挙げるのを見て、別に腕を回してくれても構わないのにと思う
アレ(父親)に見られたとしても別に構わない・・・・何があっても絶対にエルへは手出しさせるつもりはないのだから
悪人面で笑ってきた彼に小さく笑みを返す
昔の様な笑顔が返せたら、とよく思う
「悪人面だな。・・・・私の味方をしたって、何のメリットも無いぞ。寧ろデメリットでしかない」
そう返した瞬間、僅かな殺気を感じ取った
素早く着物の袖口に隠し持ったナイフをそこへ投擲すると、塀の上から狙い撃ちしようとしていた男の額へと突き刺さった
男は庭の中へと崩れ落ちて息絶える
琥珀は鳴神琥虎の一人娘、この組の正式な次期組長であり常に他の組からの刺客に命を狙われているのだった
「そのうち、君も命を狙われかねないぞ」
「 おっと…はははッ、ンな事言ってたら一生結婚出来ねェぞ? 」
彼女は変わらない…少なくとも自分はそう思っている。
子供の時と同じようにこうして戯れてくる場面に遭遇する時は特にそうだ。
ただ正直なところ、そろそろ親、違う…友離れ(?)をしなければならないのではないかと危惧もしている。
見合いの可能性も勿論、1人の女として、こう軽々しく寄り添ってくるのは自分はあったとしても彼女にはどうしても似合わないというか、親御さんに見られたら半殺しにされてしまうのではないかというか…。
行き場を無くした両手をその場で挙げたが、服が強く引っ張られている感触に片手を彼女の頭の上に動かさず軽く置いて。
「 ま、年相応に反抗期って所か。
事情は親父さんとの条件で聞けねェけど…俺は一応お嬢の味方役やってやるからさ。
ンな怖い顔してンなよ。 」
硬くなってしまった彼女の表情を、代わりに僅かな変化にも気付けるよう心掛けてきた。
彼女の拠り所でなければならない事はあの時、出会って軽率に『友』を約束してしまった瞬間から決定付けられてしまった事なのだろう。
強張っている様な表情の頬にもう片方の手でツンと小突けばにやにやと、コレでも和ませるように精一杯の笑顔(悪人面)を見せて。
「別に見合い話で揉めたわけじゃない・・・・例えそうだとしても、エルより弱い男に嫁ぐ気なんて起きない」
昔に比べてだいぶ口調も変わったな、と自分でも思う
かつて無邪気な笑顔を浮かべていた少女は何処にもいない
目の前にいる男は姿形こそ変わったが、自分からすれば彼の中身は昔のままだ
彼といると落ち着く、と思いながら椿柄の着物を翻してエルの元へ行くと抱き着いた
「少々、アレと今後の方針で互いの方向性がずれただけだ。ムカついたから机蹴飛ばして大破させてきた」
体術に剣術もエルのお陰で向上した
今の自分を作ってくれたエルの顔を抱き着きながら見上げる
そこにあるのは、色覚補正のサングラス
彼が色盲だと知ったとき、能力で治そうとしたが叶わなかった
原因こそ話してはくれないが、心当たりはある
・・・・もしそうだとしたら、彼の色盲は自分のせいだ
無意識に彼の服を握り締めていた
いつもの時間、いつものこの場所で彼女を待つ。
7年も経てば彼女の能力は莫大な進化を遂げ、自分の手癖と性根の悪さも磨きが掛かった。
裸眼で見える色といえば無彩色を除いて片手で数えられる程の種類までになってしまった上に原因こそは話していないが彼女に色盲が知れてしまった。
今は色覚補正のサングラスで何とか日々をやり過ごせているが、色の有無は自分にとっては殆どどうでもいい事である。
それ以外の此方の変化といえば、数年前から格好を付けて黒かった髪を染めて弄ったくらいか…コレを自分はかなり気に入っている。
琥珀の父親、もとい琥虎との条約は守っているつもりだが、ここに長くいれば否が応でも入ってくる彼等の情報。
深層までは流石に知らないし、関わる気もないが彼女の能力について話してしまったのは失策だったのではないか、と思う日もしばしばだ。
「 よォ、今日は親父さんと見合いの話でもしてたのか? 」
いつもより断然機嫌の悪そうな足音に先ずは機嫌直しからか、と肩を竦めて。
冗談交じりの巫山戯た口調で彼女に話しかけてはサングラス越しに彼女の機嫌を伺う。
琥珀が能力を開花して暴走させて、かれこれ七年の時が経った
エルとの修練を詰んで自身の能力について学んだ
二人は成長し、エルは凛々しく逞しくなり琥珀は女らしく強かに育ち、若頭となった。
平穏な日々を送っていたある日、父親の一言でそれは崩れ去った
「今、何と言いましたか」
琥珀は我が耳を疑って聞き返した
父親「お前達と同じ様な力を持つ少年少女が組織している紫陽花というのがある。それを我が組が裏社会でのしあがるための踏み台にしようと言ったのだ。お前やエルの力だけでも事足りるが、戦力は多いに越したことはない」
「・・・・エルも、利用するつもりだと?」
父親「当然だ、あの力は使える。そこでだ・・・・お前から是非説得をして欲しい」
「ふざけるのも大概にしろや、この屑男!餓鬼の命使い捨てにする挙げ句、エルまで巻き込むつもりか?!貴様は七年前にエルが体を張って私とこの家を守ってくれたのを忘れたのか、この恩知らず!!」
机を勢いよく叩いて立ち上がる
彼女の怒りに答えるように、一瞬だけ胸元のルビーが瞬く
そんな琥珀を父・・・・琥虎は彼女と同じ金の瞳で見据える
父親「俺に逆らう気か?そんな事をすれば、お前が気に入っているあの小僧がただではすまんぞ」
「エルに手を出してみろ、後悔するのは貴様だ」
父親「まあ、好きに吼えるが良い・・・・この組でお前の味方は誰一人としておらん。お前はかつてのように俺の傀儡となっていれば良いのだ」
好き勝手な理論を講じる父親と話す価値を見いだせなくなった琥珀は派手に机を蹴飛ばしてから部屋を後にした
「 こんにちは、琥珀のお母さん。
どうぞ落ち着いて聞いて下さい。
実はちょっとした火遊びをしてしまいまして… 」
突然現れた彼女に似た女性。
おおよそ予想はつくが、彼女の呼び掛けで確信する。
バツ悪そうな顔をしながら琥珀の母親の方へと歩み寄り少々賢い子供だと思われそうだが上記を述べる。
その途中で言い訳も浮かばない程に焦っている彼女へ耳打ちして。
「 いいか、"火遊び"で通す。
能力の事は話に出すが、
俺を襲ってきた彼奴らの事は絶対に口にするな。 」
これを彼女がどう捉えるかは自由だが、自分と彼女を守る為の一番いい方法だと判断した策だ。
***
その後、母親を無駄に達者な口で何とか言い包める事によってその場は何とか凌ぎ、間も無く会うことになる父親の方には彼女の能力諸々を話した。
彼女の能力を制御させる為に父親直々に能力面の世話役を頼まれるのだが、俺は快く引き受けた。
琥珀の父親と、まだ幼いくそ餓鬼の俺との間で結ばれた条件はひとつ、お互いの素性、事情云々は明らかにしない、それらに関わらないという事。
…そして心優しい母親と結んだ秘密の約束もひとつ。
後者の約束は、まだ彼女に話していないし、今後も話す予定も無い。
俺はひとつ、またひとつと着実に色を失う視界の中で『彼女の瞳の色だけは消さないでくれ』と、誰かに願った。
そう言われて、琥珀は辺りを見回して呆然とした
家の壁が焼失して3分の1ほど家が焼け落ちていた
「・・・・どうしよう」
その時、ドタドタと誰かが曲がり角を走ってきた
姿を表したのは琥珀と同じ銀髪の女性
唯一違うのは、目が瑠璃色であるということぐらいで琥珀とほぼ同じだった
?「琥珀っ!今こっちの方で凄い火事が・・・・あら、そこの男の子はどちら様?」
「お、お母さん・・・・これは、その~えーっと」
琥珀は完全にテンパっていた
「 綺麗な赤色…か。 」
思わず自分の目を疑った。
チラリと見回した相手の唇、切った自分の口からの出血を拭った手の甲、確認できるものは其れくらいだが、それらの赤みという色が全て抜け落ちている。
然し何故だろうか、冷静に分析できる程に自分は混乱してはいない。
そんな頭を回転させて思い当たったのは…先程の赤い点滅。発端は其処であるが恐らく原因は__。
それを目の前の彼女に伝えるべきか、という考えが浮かぶがそれを実行するに至る事はなかった。
理由は単純かつ明快。
彼女の能力と自分への影響に興味を持ったからだ。
「 悪くねぇ色だな…それよりお嬢。
上機嫌なトコ悪いが…この状況はどうするつもりだ? 」
顔を顰めて辺りを見渡せば元は人の形をしていた黒炭と焼け焦げた縁側の一端。
彼女には残酷な事かもしれないが、この事実を先ずは受け止めてもらわなければならない。
エルに褒められて照れた琥珀は思わず下を向く
胸元のネックレスを弄りながら、髪の毛を直す
「ありがとう・・・・ルビーのネックレスがお気に入りなの。綺麗な赤色でしょ?」
そして、エルの言っていることが分からず首をかしげた
「 よく似合ってる…伊達に組みの女じゃねぇのな、なぁんて。」
押さえつけられていたのもあって多少の着崩れや髪の乱れはあるが、それを差し引いても馬子にも衣装と言ったところか。
それに胸から下げた__灰色の宝石なんて特に珍しい、何の石だろうか。
「 声、ねぇ…俺には喧しい石か金属の音にしか聞こえなかったが。
って事は能力に何かしら媒体があるか、本人の精神が解離したかの可能性があるな…。」
年の割には難しい言葉を使う。
彼女には何を言っているか分からないかもしれないが、ほぼ独り言に近いので構わない。
やっとで立ち上がれば身体についた砂を叩いて落として。
「・・・・うん、いつも袴ばっかりだったから、たまには見てもらいたいなって」
泣き止んだ琥珀はエルから離れ、少し笑った
光に反射して、胸元のルビーをあしらったペンダントが煌めく
「エル、さっきはありがとう・・・・・あのね、エルが止めてくれる前に叫んでいた声が違う事を言い始めたの」
ずっと引っかかっていた言葉を、エルにそのまま伝えた
「 うおッ、い、痛ぇって、取り敢えず離れ_」
殴る蹴るど突くの応酬の後だ。
心身ともにぼろぼろな自分に飛び込んできた彼女に呻き声を上げながら顰めた目を見開く。
すると眩暈を起こしたかの様に目の前にチカチカと赤い色の光が点滅したと思えば直ぐに消失。
何だったんだ、と唖然としている間も無く先程から泣き喚く彼女を慰める工程に移って。
「 ほら、俺は大丈夫だから泣くなって…
あぁあ、今日はおめかししたのか?
勿体ねぇなぁ…せっかく可愛いのにそんな顔じゃ台無しだぜ? 」
「あああああああっ!!」
頭に響く声のせいで琥珀は最早自我を失いかけていた
我が家が燃えていくのを目の端で捉えるも、為す術もない
そんな時、視界にエルの腕が映った
彼を拒絶するかのように炎がさらに勢いを増し、同じことを繰り返していた声の言葉が変わった
『お前には、指一本触れさせない!我が主は私が守る・・・・・!!』
言葉を変えて叫ぶその声による頭痛が不意に和らいだ
思わず顔を上げると、必死に自分を抱きしめてくれているエルの姿
彼が叫んだ瞬間、頭痛が消えた
大暴れしていた力はエルへと移り、徐々に小さくなり彼によって握りつぶされる
放心状態となっていたとき、エルが崩れ落ちて笑いかけてきた
そこでようやく自分がした事をきちんと理解した
「うううっ、エルの馬鹿ぁ~・・・・・・エルに何かあったら私っ、一人ぼっちになっちゃうよぉ・・・・!」
随分と無茶をしてくれた彼を思うと、先程とは違う涙があふれてくる
堪らなくなって、尻餅をついている彼に飛びついて抱き着いた
「 おいおい…まさか今その能力が開花したのかッ?!」
好ましいとは言い難い考えが脳裏を過る。
彼女の様子は能力を使用している時点で随分と異常なのだが、その表情は怒りかと思いきや大外れ、驚愕したものであった。
嫌な予感というものほどよく的中するもので、彼女が泣き叫び始めるといよいよ先程の男達の暴行よりも焦りを感じて。
彼女が止まるのを自然と待つ様ではこの敷地の全焼は勿論、止まる可能性すらあるのかその他諸々リスクが高すぎる。
「 仕方ねぇ、いいかッそこ動くんじゃねぇぞッ 」
そう、仮にも彼女は自分を守ろうと身体を張ってくれたのだからハナから逃げるという選択肢は無い。
だが齢10程度の経験の浅い自分にとっては最早度胸試しにも近い。
だがどれだけ自分の【拒絶】が一瞬で人を殺めた能力に太刀打ち出来るか…此処は賭けに出る事にした。
腕を捲り上げ、前に突き出してなるべく火の粉を服に散らさない様に心掛ける。
腕を舐め上げる熱の塊のコントロール権はいま彼女が握っている。
自分はそれを…横から掻っ攫うのだ。
「 い"ッつ……、な、んだこれッ、うる、せぇッ… 」
その瞬間、耳元で大音量を流したかの様に鉱物なのか金属なのかがぶつかり合う様な、不快な引っ掻き音を打ち鳴らす様なものが恐らく自分だけに響く。
彼女は『声』が響いていると言っていたが自分は全く違ったのだ。
正に能力自体に意思があるように、【拒絶】と能力の拒絶がせめぎ合ってコントロールの定義がまるでめちゃくちゃだ。
一歩、また一歩と彼女へ近付けばしっかりと両腕で彼女を抱いて根本から奪う寸法に出る。
「 いいから…寄越せってンだッ!!! 」
叫ぶと同時に音が消失、彼女にあった熱が此方に移ったのを感じた。
即座に離れて巻き起こる炎を小さく、小さく、最後にはマッチ程度火のの大きさに。
そしてそれを握り消すと漸く辺りは閑静なものとなる。
突如として顔を上げた倦怠感に脱力しては膝から崩れ落ち、そのまま尻餅をついては息も絶え絶えに彼女の顔を見て苦笑する。
「 おい…大丈夫か…?
へへ…ひっでぇ顔してやんの…。」
琥珀は酷く驚き混乱していた
突如、自分を中心に炎が巻き上がったかと思えば周りの男達を焼き付くした
それだけではなく、頭にずっと誰かの声が響いているのだ
『邪魔なモノは焼き付くせばいい。望め、お前の欲が赴くままに・・・・殺せ!』
無遠慮に響く声のせいで意識が朦朧としてくる
エルが何かを言っているのが目に入った瞬間、声を絞り出した
「エル、助けて・・・・!声が、声が響いて頭が痛い!!」
黒焦げになった男達はとうに消し炭となった
それでも炎は止まらず、寧ろ勢いを増していく
「止まらないのっ・・・・!!」
涙を流しながら、叫んだ
エルにとっては初めて見る涙だったかもしれない
このままでは流石にまずいと判断しては刃物を持ち此方ににじり寄ってくる相手に能力を解放しようと気を張って。
驚かせてしまうかもしれないが致し方ない。
そう覚悟を決めたその時であった。
眩い閃光と此方まで届く肌を撫でる様な熱気。
自分の目の前に繰り広げられているこの光景の原因をすぐさま突き止める気も起こらぬ程に呆気にとられていたが、その巻き起こる炎の中心に誰がいるかに気付くと一つの単語が浮かぶ。
「 ……紫陽花。 」
いや…違う。『紫陽花』の定義とはまるで異なっているその能力は、恐らく自分と同じもの。
ゆらりと重い身体に鞭打って立ち上がれば焼き尽くされていく野郎供を見て漸く口を開いた。
「 まさか、お嬢が能力持ちなんてな…
おいその辺にしとけよ。
もう其奴ら、死んでるぜ? 」
目の前でエルが暴行を加えられている
声が掠れそうなぐらい叫んでも、止める気配は見られない
そのうちエルが自分の木刀を掴み、見たこともない表情で幹部を睨んだ
幹部「なら、お望み通り・・・・儂自らの手で殺したるわ!」
木刀を放り投げた幹部が、近くの男から日本刀を受け取る
その光景をみた瞬間・・・・琥珀の中で何かが切れた
「私の大切な人に、エルに・・・・何してんだよおおおお!」
胸元を飾っているルビーからカッ!と強い光が迸る
それは灼熱の炎となって、取り押さえていた周りの男を黒焦げにし、幹部の持っている日本刀を溶かした
「 い"ッ……、げほッ、ぉ、え…
…ぃ、おい、それ、お嬢のだろ…」
止まることを知らない大人達の暴行。
後頭部に衝撃を感じて何度目か、地面に倒れこんでは何かで殴られた事を悟る。
ぼたぼたと口から液体が溢れ、白黒する視界で其れを見ると口の中も切ったらしく血が混じっていた。
構わない、こんな世の中には慣れている。
ただ、何となく許せない__と手を伸ばせば先程自分の後頭部を殴ってきたそのブツ、"木刀"を掴んで先程の餓鬼の表情はやめて鋭く睨みつける。
「 人のモン使わずテメェの手ェ汚せや。 」
怒号が聞こえた場所へ行った瞬間、組員に蹴りを入れられたエルの姿を見つけた
「・・・・テメェら、何してやがる!!」
その姿を認めた瞬間、もう一度蹴ろうとする組員を木刀で一閃
頸椎へ見事ヒットした事により、男は倒れた
男「次期組長・・・・!これは、その」
「言い訳はエエ。テメェらのやったことがそれで消える訳やないやろうが!」
烈火のごとく怒り出す琥珀。エルの元へ駆け寄ろうとする彼女の前に一人の幹部が立ち塞がった
幹部「おまちくだせぇ、次期組長。あんな餓鬼相手に情けかける必要はありぁせん・・・・おい、誰か押さえてろ」
周りの男達が琥珀を一斉に取り押さえて木刀を奪ってしまった
抜け出そうともがくが、大の男達の力には敵わない
「やめろ!離せっ!!」
完全に油断した…まさか縁側に辿り着く曲がり角で男2人とばったり出くわしてしまうとは。
普段ならきちんと警戒していた筈が、やはり数を重ねると隙が生まれてしまう。
いや、そんな事はどうでもいい。今はこの状況をなんとかせねば自分の明日が無くなってしまう。
「 ま、間違えて入っちゃったんだよぅ〜。 」
こんな時だけ餓鬼ぶってなんとか理解してもらおうと試みるが、まぁ流石はヤクザなだけあって聞く耳を持たない。
下手に能力を扱って騒ぎを起こすわけにもいかず、抵抗しないままでいると強烈な蹴りが鳩尾部分に見事にヒットした。
やはり子供であろうが容赦しない様だ。
意識が飛んでしまいそうな程の衝撃、言うことを聞かない呼吸器官に嘔吐感を覚えながらも地面に這い蹲ってしまい。
「今日は来るかなぁ~・・・・」
リシアはお気に入りの桜が控えめに散った柄の着物を着ながら、今日来たらお洒落な私に驚くかもしれないとご機嫌だ。
普段は無造作に結った髪だからと今日は入念に髪をとかして、お気に入りのルビーがあしらわれたネックレスをつけた
「今日、来てくれたら良いのにな~♪」
そんな風にしていると、怒号が聞こえた
聞いた事のある声だから組員だろう
男「てめぇ、どっから入ってきやがった?!」
男2「此処を何処だかわかってやってんのか?」
まさか!と思った琥珀は木刀を手に取り、いつも彼と話している縁側へ駆けた
***
Erbaccia
「 よ、と…さぁてと、今日は…
いや、どぉせ今日も木の棒振り回してんだろな。 」
これで早何度目か。
少なくとも片手じゃ足りないほどの回数は此処へ足を運んだ様な気がする。
『隠れ友達』というのは嘘だ、などとしていた割には自分は律儀に此処へやって来て、自分以外に友達のいない彼女に適当な世間話をする。
別に毎日通っている訳でもなければ時間も然程長くは拘束されない。
何より、彼女と話す事に悪い気はしないのだ。
とはいえ、まだこの敷地の人間に『隠れ友達』なだけあって見つかってはならない事に変わりなく、相変わらず警戒しながらいつもの縁側へと向かって行き。
頭を撫でられた、と思ったら彼は既に遠くへと行ってしまった
「誰かに頭なでられたの、久しぶりだなぁ・・・・」
まだ少し熱の残る頭頂部に触れながら頬を緩ませる琥珀
呼ばれた声に答えながら、次に彼が来るのを心待ちにしていた
*因みに、琥珀の普段着は着物です(柄は四季折々)
「 仰せのままに…なんてな。
さぁて、取り敢えず今日は一旦ズラからせてもらうぜ。」
チラリと視線を上げてみればキラキラとした目を一身に受けており気恥ずかしさを抱く結果になってしまえば誤魔化す様に相手の頭を軽くわしゃわしゃと撫で回して。
然しそんな呑気な空気も束の間、まだ距離こそ遠いが彼女の名を呼ぶ声が聞こえてきては軽く彼女に手を振って、後は相手の反応も待たぬまま元来た道を早足に戻って消えてしまい。
「本当に?私、与えられた本しか読めないし学校って所も行ってないからすごく退屈なの。一杯色んな事教えて!」
見たこともないお辞儀をするエルを見て、目を輝かせる琥珀
今の彼女にとって彼は外の知識をくれる唯一の人となった
「 あぁ、外からだ。
日中から棒切れ振ってる世間知らずそうなお嬢さん、俺は物知りだから"隠れ友達"に免じて色んなことを教えて差し上げましょう。 」
普通なら戸惑ってしまう様な質問ではあるが、此処で不審な回答はせずあっさりと答える。
そしてその回答を流すかの様に失礼なひと言と小さな身体で紳士ぶった言葉を付け足してはそれに見合った紳士的な礼をその場でしてみせて。
「分かった、秘密ね」
琥珀も彼と同じように唇の前に手を当てて真似をする
同年代の誰かと話すのは初めてで、とてもワクワクしていた
それと同時にこの人なら、と琥珀は思っていた
「ねえ、エルは此処の外から来たの?」
「 カチ、コミ…まぁそうだな。
だから隠れ友達は人に知られちゃいけねぇのさ。
いいか、俺らだけの秘密だぞ? 」
純粋すぎる、そしてこの家庭にいるという事だけあって発言はダイナマイト級だ。
然し子供が何を好み、憧れるかは誰しも共通点がある筈。
それを知っている自分は『秘密』という好奇心を駆り立てられる言葉を使っては悪戯っぽく笑い、乾燥した唇の前に人差し指を立てて「シーッ」と呟いた。
「隠れ友達・・・・友達?!」
彼の言葉を反芻した琥珀は驚いたように声を上げた
この時琥珀にとって彼は警戒の対象ではなくなった
「友達って、一緒にカチコミしたりするアレの事?!私、友達なんて初めて!!」
名前を綺麗と言われたことも初めてで、琥珀のテンションは上がっていた
「 それで…琥珀、実はな………
俺はあんたの"隠れ友達"ってヤツになろうと思って来たんだ。 」
この偽名を綺麗だと言ったのは彼女くらいだ。
その瞬間に本能的であろう、頭の中で『彼女は危険だ』と警報が鳴り始めたが、彼女も名乗ってしまってはもう遅い。
「あんたのが綺麗だ。」と言いながら彼女を自分のいる場所まで引き入れ、上記をしみじみと語り出す。
当然だが『隠れ友達』というのは今の今考え付いた嘘であるが、きっと彼女に対しては非常に都合が良いであろう。
「エルって綺麗な名前だね、私は鳴神琥珀!」
エルと名乗った少年が手招きをしてきた
琥珀は何の疑いもなく、縁側へ木刀を置いて彼の元へ駆けて行き
「うん、此処には私と君しかいないよ」
「 こ、こんにちは。
俺はざっそ……じゃなくて、えっと、
Erbaccia、エルだ。 」
綺麗な笑顔を浮かべる彼女。
きっとまだどんな腐ったものも見た事ないような奴なのだろうとひと目で判断した。
そんな彼女に勿論『忍び込んできた者です』なんて返せず、その上ここがどんな場所であるかということも把握済みな自分は慌てて挨拶と名前を名乗り、不器用で引き攣った笑顔を浮かべた。
そんな間にも辺りに警戒することを怠らず、不審がられるであろうが此方に手招きしては下記を述べて。
「 ちょいコッチ来な。
あんた、いま1人か…?」
近くから音が聞こえて、鋭くそちらに目をやる
そこには一人の少年がたっていた
一陣の風が吹いて、琥珀の銀髪と着ている袴を靡かせる
「こんにちは!君はだれ?」
好奇心旺盛な金色の瞳が細められ、少年に笑顔で問う
「 ふぅん…中々、いい屋敷じゃねぇか。 」
見事なまでの立派な敷地に誰にも気付かれず忍び込んだ子供。
見た目は10代前後といったところか、歳に似合わず黒のVネックとデニムのスキニを着込み乍も澄んだ灰色の瞳をチラチラと動かしては敷地内を彷徨っている。
どのくらい歩いたか、向こうから聞こえてきた声に思わず身を隠しながら其方を見ると歳は同じくらいにも見えなくはない少女の姿が確認できた。
女が木刀を振り回すのを見る事自体が自分にとって珍しいものであり、そしてあまり上手く扱えていない状況に不本意ながらも見入ってしまえば体勢を整える際に近場の木を踏んで少なからず相手に聞こえるであろう音を立ててしまった。
リシアはいつものように、縁側から庭に出て日課である木刀を振るっていた
自分の背丈に少し合わないそれに時折振り回されそうになりながらも、懸命に素振りを繰り返す
「せいっ、やっ、はっ!」
別板ありがとうございます!
始め方は、ですね…出会い編から始めたいので
まずはリシアちゃん(琥珀ちゃん)にいつも通りの生活の流れで縁側とかに出て頂けると此方も話を持って行きやすいです。