いまさら横浜市長選の話 後半
- カテゴリ:日記
- 2017/10/12 20:09:13
え?それって何が違うの?
違うのです。
営業マンと、販売員やセールスマンは、実は似て非なる存在です。最初に断っておきますが、どっちがエライとか難しいという事ではありません。基本的に別のものなのです。営業とは、扱う商材をベースに、言ってしまえば顧客の事業コンサルティングをすることが本当の使命。つまり、ひとつひとつの商品の販売そのものよりも、もっと大きなフレームで自社商材を生かした業務提案をすることが本来のです。その行き着く先は、なぜその展開が顧客企業にとって必要なのか、あるいはその企業の存在は、消費者にとってなんの意味があるのか、といった、顧客企業の大きなポリシーを理解し、それに基づいて「なぜその展開があなたにとって有意なものなのか」というかなり上位の企業の存在のそもそも論を展開する必要に行きつくのです。
一方でセールスとは、個別の商品をいかに売るかそのものが全て。もちろんそこにも商品ありきではない、例えば消費財なのであれば、顧客の家庭環境や生活状況を考えながら、これ良いから使ってくださいと売り込む展開力は当然必要です。ですが、営業がフレームのサイズ感として戦略レベルの展開を求められることが往々にしてあることに対し、セールスに求められのは、その下の作戦レベルよりもさらに下の戦術レベルの巧みさになります。
繰り返しますが、どっちがエライとか難しいではありません。別のものなのです。名選手が名監督になるとは限らないし、名監督が名選手であったとも限らないのと同じことです。そして林市長は、完全にセールスの人なのです。求められるのは、戦術から大きくても作戦レベルまで。確かに大手企業の社長を務めたのであって、それなら戦略レベルでの思考を持っているだろうと言えそうですが、実は違います。ダイエーもBMW東京も、その基本的な性格は、徹底した販売戦術の巧みさが命の「販社」なのです。ダイエーも、いわゆる現代のGMSのような、そもそも論的な大きなフレームでの大きなビジネス戦略ではなく、徹底した現場力で伸びた会社です。だからこそ、逆に現代では生き残れなかったとも言えるかもしれません。
少ない知見でこう語るのも無責任かもしれませんが、たぶん林市長は市長をやるような人ではないのです。無能だと言っているのではありません。そういう種類のスキルの人ではない、と思っている(思い込んでいる)という事です。
政治家というのは、ある意味で役者です。細かいロジックや個別具体的な施策の計画や遂行はもちろん必要ですが、それよりも根幹として重要なことがあるのです。
「その政治の先に、どんな風景を、世界の広がりを描くことが出来るのか」
それを見せることが、政治家の最大の役目なのだと、私は考えています。政治家というものが示す風景に論理的な破たんがないことは必要条件であって、より大切なことは、その風景の持つ情緒性の豊かさなのです。「ああそうか、私の住む町は、国はこのようなものなのか」という情緒的な腑に落ち感、これが醸し出されないようでは、政治家の在り様として意味がない。
私は安倍首相が大嫌いです。最悪だと思っています。
しかし、彼が果たした物凄く大きな成果が一つあるとも思っています。
それは、1980年代以降、次々と政権が変わり、長期的な視点やプロセスをないがしろにされ、近視眼的なパッチワークのような政治に終始しこの国の国政に、「ビジョンで進める政治」というものがあるということを明示し、それを怒涛の様に推し進めたことです。
「この国のかたち」
「美しい国、日本」
その実態は、安倍首相のピーターパンのような「お伽の国」だったかもしれません。しかし、近年においてここまで明確に「風景」としての政治の方向性を明示した首相は、誰一人としていませんでした。私は、これは本当に重要なことだと思います。
もちろんそういうものは、雰囲気としての政治を作り出してしまうという大きな弊害を抱えるわけですが、それはまた別の話です。
私は横浜という町がとても好きなのです。自分が育った町ですから。
だから、大切にしたいのです。
私は、私の心が喜ぶような、横浜の姿が見てみたいだけなのです。
オシャレな街を想像してます。