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速水猛のブログ アルカディア「Ἀρκαδία 」


糒(ほしいい


糒とは、ご飯を乾燥させて、作るアルファ化米(アルファかまい)とは、炊飯または蒸煮(じょうしゃ)などの加水加熱によって米の澱粉をアルファ化(糊化)させたのち、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた乾燥米飯のことである。加水加熱により糊化した米澱粉は、放熱とともに徐々に再ベータ化(老化)し食味が劣化するが、アルファ化米はこの老化が起こる前に何らかの方法で乾燥処理を施した米飯である。アルファ化米は熱湯や冷水を注入することでへ復元し可食の状態となり、アルファ米とも呼ばれる。

形質的に近似なものとして、古くは(ほしい・ほしいい:乾飯(ほしい・ほしいい・かれい・かれいい)とも)と呼ばれる保存食・非常食も存在するが、こちらは現代のアルファ化米に比べて天日干しなどの方法により緩やかに乾燥されているので、乾燥後の糊化度については現代のそれとの差がある可能性はある、

糒(ほしい)[編集]

炊いた飯を水で軽くさらし天日で乾燥させた食品で、古くは炊き過ぎた米を保存するためにも利用された。また、米以外にも粟や黍の糒も存在していた。

例えば伊勢物語の「東下り」の段で在原業平が枯飯(かれいひ)の上に涙をこぼしてふやけてしまうという場面は良く知られている。鎌倉時代よりは「糒」の漢字が使われるようになったが、それ以前には「干し飯」(ほしめし・ほしいい)とも呼ばれていた。

そのまま水といっしょに食べたり、あるいは水を加えて炒めたり、茹でて戻したり、粉末にしてあられや落雁などの菓子の材料にも用いられた。和菓子材料の道明寺粉も餅米の糒である。また仙台糒のように地域の特産品として作られたりもしていた。

軍事活動など大人数の食糧をまかなう上では、保存性に優れた食品が選択される傾向があるが、糒はその意味で保存性がよく軽量で運びやすいこともあって、広く利用された。軍坊令においては、兵士に対して1人あたり糒6斗と塩2升の携帯を義務付けている。保存性においては、倉庫令には稲・穀・粟の保存期間を9年、その他雑穀を2年と規定しているのに対して糒は20年の保存期間が設定されている。この20年間という保存期間が伊勢神宮の式年遷宮の根拠になったという説もある。

現存する『正税帳』には糒の項目が記載されている。更に蝦夷征討に関連して780年に坂東諸国と能登・越中・越後の各国に対して糒3万斛の調達を命じている。この他にも『延喜式』には、新嘗祭の供御料や最勝王経斎会の供養料として大膳職で作られた糯糒・粟糒が支出される規定がある





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