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伝七捕物帳2 感想文

伝七捕物帳2 第5回「鬼か仏か、屋台騒がす手拭い侍」
NHK-BSプレミアム 金曜夜8時~
▼手拭い侍
今回は、何故か屋台ばかり狙う辻斬りのお話でした。
屋台が居並ぶ庶民の町角で、ある夜屋台の煮売屋が斬り殺されました。
見事な袈裟懸けの太刀筋で、下手人は侍と思われました。
駆けつけた伝七は、ごま油の香りが漂っていることに気づきます。
当初伝七は元侍の油屋ではないかと目星をつけるのですが、
菊乃屋で朝顔の手拭いを頭にかぶった侍が、よく屋台を食べ歩いていると小耳に挟みます。
しかも彼が行く屋台はどこもその後繁盛するので、「手拭い侍」と呼ばれ、
まだ彼が来たことない屋台からは、来店を切望されるような話題の人物だったのです。
伝七が下っ引きを使って調べたところ、その侍は旗本の澤口家の付近で消えたということで、
澤口家と関係する人物だろうと思われました。
澤口家の当主・兵右衛門は幕府の勘定方の組頭で、息子の兵庫も勘定方に勤めているのですが、
この息子がお役目はろくろく果たさず、町の道場に通って鍛錬ばかりしているという噂でした。
兵右衛門本人も、勘定方でそろばんの才能を発揮する前は、お役目につかず自分で料理屋をやりたいと言い、
町中を食べ歩きしていたという、変わり者だったそうです。

▼すれ違う父子
再び屋台の店主を狙った辻斬りが起き、死体に朝顔の手拭いがかけられていました。
辛抱堪らなくなった伝七は、屋台に出入りする手拭い侍に、直に接触します。
尋ねてみたところ、彼はなんと澤口兵右衛門当人でした。
しかし意外と気のいい旗本で、伝七がわけを話すと応じてくれました。
彼が言うには、息子とはここ数年会話すら交わしていない、飯も別々だとこぼしていました。
息子の兵庫に興味を持った伝七は、今度は兵庫が通う道場に彼を訪ねます。
そして帰り道、兵右衛門が通う屋台町に連れて行き、兵右衛門お墨付きの天ぷらを食べさせたところ、
とても美味しいと感動していたので、お父上と仲良くしてはと軽く説得します。
兵庫が言うには、自分が勘定方に入れたのは兵右衛門が推挙したからであり、
同時に候補に挙がっていた、兵右衛門の同僚の組頭・堀江市蔵の息子が勘定方に入ることができず、
彼自身そろばん勘定が苦手なこともあって、親子ともども職場で浮いてしまっているらしいのです。
また昔はいざ知らず、最近の兵右衛門は老中・水野忠邦へのごますりが酷く、見ていられないとか。
それでも伝七から兵右衛門の思いを聞いて、少し歩み寄ろうと考えたのでした。
伝七は、こんな親子が辻斬りに関わるはずがないと、ごま油の香りと朝顔の手拭いは、
兵右衛門に辻斬りの濡れ衣を着せようと、何者かが企んだのではないかと推理しました。
兵庫は小さな決心をして、兵右衛門と夕餉を共にしたのですが、息子が態度を急に変えたことに不審を覚えた
兵右衛門は余計なことばかり言って、結局口げんかになってしまいます。

▼火除地
以前伝七が兵庫から聞いた話では、勘定方の寄り合いで、兵右衛門が通う屋台町を
新たな火除地にしようという議題が堀江から提案されたことがあったそうです。
火除地とは火事が起きた時に延焼を防ぐための空き地で、すでに江戸に何箇所か設置されていました。
しかしそこには屋台の他にも長屋などがあり、兵右衛門は反対したのですが、老中の意向だと、
ねじふせられていた案件だったのです。
それを聞いた伝七は、下っ引きたちに堀江の屋敷を見張らせていたところ、
澤口家の中元がこっそり出入りしていることが分かりました。
その中元の後を尾けてみると、矢場で金を見せびらかせながら、浪人者の男と親しげにしていました。
それを聞いた伝七は、今回の事件の全容をつかみます。
そして再び勘定方にて火除地について寄り合いが行われたのですが、伝七から辻斬りの一件を聞いて
知っていた兵右衛門は、今度は食い下がり、議場で辻斬りをさせることで
屋台の数を減らそうとしている者がいるなどと言い放ち、同僚を牽制するとともに煽情したのです。

▼手拭い侍Jr.
その後、いつものように屋台に出ようとした兵右衛門は、2人組に襲われます。
1人は凄腕の浪人者、もう1人は澤口家の中元でした。
この中元、以前は兵右衛門の同僚の中元で、スパイとして澤口家に送り込まれていたのです。
彼により兵右衛門の屋台に通う習慣や、朝顔の手拭いを使っていることが、同僚に知らされていたのですね。
危ないところで伝七が助けに入りますが、相手は2人で兵右衛門を守りながら戦わなければならないため、
さすがの伝七も手に余っていたところ、手拭いをかぶった侍が現れ、あっという間に浪人と中元を倒してしまいました。
その手拭いは、以前屋台に行った時、侍の身で…と躊躇していた兵庫に、伝七が貸したものでした。
さすが毎日道場で鍛錬していただけあって、こういう時は役に立ちますねw
このこともあって、澤口父子は仲直りしたのです。
結局兵右衛門の同僚までは手が回らず、中元と浪人者にすべての罪をかぶせ、一件は落着しました。
ただ、同僚は何も言わず腹を切って果て、病死扱いとなったそうです。
真相が露見すれば、同僚の家は断絶でしょうし、何の関係もない上役も責任を取らなければならなくなるし、
下手すれば老中の座も危うくなるでしょうから、事を荒立てずにすませたのでしょうけれど、
何かこう、歯切れの悪い終わり方ですよね。




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