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シン・ドラマ汁


伝七捕物帳2 感想文

伝七捕物帳2 第3回「謎の仇討ち、瓦版騒動始末」
NHK-BSプレミアム 金曜夜8時~
▼売れない瓦版屋と放蕩若旦那
今回は瓦版屋の2人と仇討ちの騒動の話でした。
朝吉が営む九つ屋という瓦版屋は、ネタは面白くないし絵も下手で、全然売れませんでした。
ある日朝吉は、往来で見目のいい町人風の青年・直太郎を、瓦版を買ってくれと呼び止めるのですが、
こんなものに金は払えないなどと揉めている時、近くで妊婦が産気づいてしまいます。
ちょうど居合わせた伝七が、てきぱきと皆に指示を出して、産婆であるお俊の元に運び、
無事出産にこぎつけるのですが、スポポポンと生まれてきたのはなんと三つ子の女の子。
この時代三つ子は珍しく、伝七を手伝って家まできていた朝吉は、早速紙と筆を取り出し赤ん坊の絵を描き始めました。
しかしこれが下手もいいとこ。見るに見かねた直太郎が、さらさらさらっと可愛い赤ん坊の絵を描いて見せます。
それを見た朝吉は感心し、瓦版の絵を描いてくれないかと、直太郎をスカウト。
直太郎も実は、放蕩が原因で大店の主の父親から勘当を言い渡されたばかりで、泊まるところも金もなく、
渡りに船とばかりにその話に食いついたのです。
2人が作った三つ子の瓦版は飛ぶように売れ、調子に乗った朝吉と直太郎は、
何かネタにすることはないかと、ご町内を見回る伝七たちの後をついて回るようになったのです。

▼仇討ち騒動
そんな時、伝七たちと朝吉たちは、武家の姉弟が仇討ちと称して浪人の男と戦っているところに遭遇。
意外と姉弟が強く、浪人は斬られて死んでしまいました。
その時伝七の背後から「見事」という独り言が聞こえてきて、振り向くと頭巾をかぶった侍が去っていくのが見えました。
駆けつけた南町の同心に、姉弟はちゃんと幕府に届け出た仇討ちだと釈明、
その後更に詳しく調べるため、南町奉行所に連れて行かれました。
朝吉たちは早速その仇討ちを、現場を見ていた直太郎によるリアルな絵が入った瓦版にしたのですが、
後日南町奉行所から九つ屋に手入れがあり、刷った瓦版から版木からすべて持っていかれ、
朝吉は人心を惑わせた罪で手鎖をかけられるという刑を受けることになってしまったのです。
一方伝七は、「見事」と口にした侍と、浪人が斬られる前に「話がしたい」と言っていたのが気になり、
仇討ちの真相について調べ始めました。
姉弟は3年ほど父の仇を探して放浪し、江戸に着いてすぐ仇を見つけたと証言していましたが、
直太郎は姉が着ていた着物は、先日うちの店で売れた古着だったと言うのです。
その着物を売った店の使用人に、直太郎が描いた瓦版を見せながら尋ねたところ、
買ったのはその女で間違いないと言います。
つい最近江戸に入り、仇を見つけたのに、何故古着を買ったりしたのか、伝七は彼女の行動を訝ります。
また、太鼓持ちの正助によると、討たれた浪人者は以前吉原によく来て散財しており、
その時名乗っていたのは、姉弟が言っていた人物とは違う名前だったそうです。
伝七はさらに、北町の同心・早瀬に尋ねたところ、仇討ちのお調べをした与力は、
斬られた浪人を密偵として使っていたフシがあり、賄賂を貰って目こぼしをするなど、
あまり評判がいい人物ではないことを、口ごもりながらも教えてくれました。
伝七はそれらの情報を総合して考え、あの仇討ちは討つ方も討たれる方も偽物だったのではないかという
結論に至ったのですが、証拠はない上、姉弟もどこにいるのかすら分かりません。
そこで伝七は一計を案じたのです。

▼1枚だけの瓦版
早瀬が「あの仇討ちは偽物だった」という内容の九つ屋の瓦版を持って、
姉弟を奉行所に連れて行った南町の同心に、この瓦版が出回るとまずいのではないかと忠告しました。
その夜、2人の賊が九つ屋を襲いましたが、これは伝七が考えた罠で、
早瀬が持っていた瓦版は九つ屋が1枚だけ刷った偽物だったのです。
布団の中から現れた伝七は、下っ引きたちとともにその賊を捕らえました。
黒い頭巾をはがしてみると、中はあの姉弟。
武家の仇討ちというのは真っ赤な嘘で、彼らは南町の与力の密偵だったのです。
同じく密偵だった浪人者が、与力が賄賂を受け取っていることを知り、金をせびり続けたため、
与力が他の密偵を使い、適当な仇討ちを選んでそのふりをさせ、浪人者を殺したというのが、事の顛末でした。
九つ屋だけ手入れを受けたのは、絵があまりに似すぎていたため、真相がバレることを恐れた与力の差し金だったのです。
事件は表沙汰になりませんでしたが、北町奉行の遠山は、南町奉行の鳥居にこのことを明かし、
自分に恥をかかせたと怒り心頭の鳥居は、事件に関わった与力と同心に永蟄居を言い渡したのです。

▼相棒
事件解決と朝吉の刑が終わった祝いに、一同は菊乃屋で祝杯を挙げようとするのですが、
直太郎が、勘当が解けたと言い出しました。
最高の相棒を得たつもりでいた朝吉は、がっかりしますが、なんと直太郎はその話を断ったと言うのです。
お店に戻れば一生贅沢な暮らしができるのにと言う朝吉に、直太郎は貧乏なままでいるつもりはない、
瓦版の他にも絵草紙や画集を出して、九つ屋を大きな版元にしようと言い出しました。
ひょっとしたら直太郎には、商人としての才覚があるのかもしれないですね。
ちなみに当時の瓦版は正規の出版物ではなく、今で言うと二次創作の出版物のような、
おとがめがあってしかるべき存在でしたが、庶民に浸透している上、
取り締まってもお上にあまりメリットがないからか、ほぼ放置の状態だったようです。
なので実は朝吉が手鎖の刑を受けても仕方がなかったんですなw
今回は一風変わったプロットで、なかなか楽しめた名作でした。




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