清水俊彦と直立猿人
- カテゴリ:音楽
- 2017/04/08 11:13:31
『清水俊彦』で検索してみた。偏頭痛の専門医と男性声優がヒットする。
偏頭痛には時々襲われるし声優にも興味はあるが、今は用はない。
私が検索した清水俊彦は、詩人・ジャズ評論家である物故者です。
60年代のジャズ評論というのは、大御所陣の権威に対する反発というのか、
学生運動、赤色革命、第三世界、各種思想を持ちこむ過激派が多かった。
相倉久人、平岡正明、間章、副島輝人……でも、みな詩情に溢れていた。
当時の評論のイカガワしさをコキおろすのが主流になってますが、
私は前衛ジャズに仮託して彼らが語ったものに物凄い共感を覚えるのです。
楽器ができたら物書きにならなかった、という相倉の言葉は真実だと思う。
清水俊彦の透徹した論理展開と思想/美学のコーテーションは独特でして、
アジテーション皆無、スラップスティックや軽みとも無縁、非常に知的です。
彼は北園克衛の主宰する前衛詩サロン『VOU』の同人だったという。
詩集を出しているそうだが出会ったことがない。『直立猿人』というヤツ。
ある古本屋のサイトで一部が掲載されていた。おお。凄く好み。
シュールレアリズムを明確に定義できる人が書いた作品という印象です。
久々に本道のシュールレアリズムを読みたくなり、探すことに決定。
シュールレアリズムとマジックリアリズムとスーパーリアリズム、
ナンセンス、果てはスラップスティックまで混用されてる風潮に叛逆しよう。
高度な知的生産物としてナンセンスもスラップスティックも大好きなんです。
でも現代、知性水準低下の弊害として、理解できないものを何でもカンでも
『シュール』の一言で片づける風潮があり、これには腹が立ってます。
なお蛇足。ミンガスは嫌いではないが、私はミンガスファンと甚だ相性が悪い。
好きなアルバムに『直立猿人』をあげる人には近づかない。何故か分からん。
清水の『直立猿人』評には非常に納得した。こういう些末事って大切です。
今から半世紀経って、今の若者が私と同年配になるころ、私みたいに探して読もうとする本はあるのか。
これに関して否定的なんです。現代は古典化に値する思索、疑似普遍性のある著作が出にくいようで。
ただ、今を『戦前』だと確信している私は、半世紀後に生まれる物が新たな『戦後文学』だと信じてます。
ミンガスを初めて聴いたのは、エリントン御大とローチと演ってる『マネージャングル』だったはず。
アレは好きでした。ロイクども(差別用語)が敬意に溢れた無礼講で暴れ放題という演奏が痛快。
ただミンガスマニアと相性が悪くて自然と敬遠してます。ジャズ喫茶でリクエストしたこともないなー。
北園克衛さんの「VOU」同人はすごい人を輩出されてますよねぇ。
そして……ミンガス……「直立猿人」こそベストとはいいませんが(なんか飽きる>「直立猿人」
「ミンガス・アー・ウム」や「メキシコの思い出」などはけっこう好きです。