Nicotto Town



音楽と電子機器の関係は複雑すぎる


演奏者としては『今』鳴っている音、それが全てだと考えてるのですが、
機材→演奏→録音→加工→製品化→再生……という音楽流通の過程には、
数え上げるのも嫌になるくらい『電子機器』が介在しております。

再生中心の音楽鑑賞、いわゆるオーディオ界にはウルサ方が大勢いらっしゃる。
私の場合、音楽制作・機材作成・鑑賞全てを自分なりにやってきた結果、
「自分が好きならドーデモいいや」という状況になっております。

電子部品による音の違いは大昔から知られており常識化しておりますね。
全ての部品を高級・高品質な希少品で揃える方もいらっしゃいますし、
「そんなのは業界のワナ、大して違わん」という豪快な偏屈者もいる。

私はかなり後者寄りです。但し、部品一つ、ハンダ一か所で音が違うのも事実。
音楽再生を、頂きの見えぬ最高峰に登りつづける理想への努力と考える方には
不愉快な話もありそうなので、予めお詫びしておきましょう。

クラシック・ジャズはアコースティック・生演奏中心であり、
ロックとポップは電子バリバリ、加工し放題と考える方もいらっしゃるようだが、
事はそう単純ではありません。知見を色々書いてみましょう。

まずマイク。これが既に『フィルター』として働いてしまいます。
銘柄や品質はもちろん、設置法、距離、入力音量にも影響されます。
理想の音を持つエンジニア達が努力してセッティングするわけですが……。

Aという有名プレーヤーが日本のライブハウスに出た時の話です。
拘りを持つ彼は、マイクセッティングを前日全て自分でやった。
そのハコのエンジニアが翌日全て変更してしまい、彼は大激怒。

ライブ盤として出たのはエンジニアのセッティングで録ったヤツです。
Aは皮肉で『一晩中間違えっぱなし』という洒落たタイトルを付けました。
どっちが正しいのか。正直どうでもいい。録音が残ったのが有難い。

次にケーブル。導体に拘らない音楽マニアはいません。1mに数万かける。
ところでマイクに繋がるケーブルや卓まで引っ張るケーブルはというと、
それらは殆ど業界標準の既製品、数十mあるのが何十本もウネウネです。

音声信号って長いケーブルで引っ張ると高域がトロくなりモヤります。
ケーブルを追放したらどうか?とみな考える。やってみる。
ギラギラツヤツヤしちゃって大変なことになり、結局加工する羽目になる。

卓とはミキサーと呼ばれる数百~数千万円の音声信号混合/加工機です。
この中はICと抵抗とコンデンサと可変抵抗器の迷宮と化しています。
良い部品を選別して使ってますが、決して超高級品ではないといえます。

バーブラウンやMUSE、ルビコンやデールを使ってる卓があるのかは知らない。
入れ替えるウルサ方のエンジニアもいる。でもビッグネームではない。
むしろ昔の古い卓を使ってる人のほうが名手との評判を確立してたりする。

ICの違いを知ろうと、簡単な回路を使い10種ほど聴き比べたことがあります。
オーディオ用の標準品種ばかり。安いのは10円~高くても300円ほど。
高速でリニアと言われるICが珍重される現状ですが……別の感想を抱いた。

高いのはキラキラツヤツヤ系に聴こえるが……音楽が『データ』っぽくなる。
1970年代から普及した廉価品の音は、レンジが狭いがまとまっている。
アナログ世代のためでしょう。私には1個20円の4558系で充分に思えた。

コンデンサの音質はICよりも顕著、これを回路から追放するマニアもいる。
これもやってみた。ビンテージ系・ハイファイ系・汎用品などを試した。
これにも好みがモロに出た。銘柄よりも種類による影響が顕著です。

ドラム缶型の電解コンデンサは耐圧と容量の影響が大きい。
16V耐圧を35V耐圧に変更しただけで余裕のある音に聴こえたりする。
電源系で大きなものに変更すると、交流ノイズ減少が音の分離を高める。

オイル/フィルム系は……経年変化の影響が顕著。音がこなれてくる。
ただトロさ加減を許容できるかが好みになるかもしれない。
私には高級ビンテージよりも新品のマイラで十分だという場合も多い。

配線用ケーブル、換えてますか? 私は国産品で十分です。
一度ジャンク屋で、PC用のハーネス付極細ケーブルを買って使ってみた。
結果、私の用途には問題なし。そんなモンです私の耳なんて。

ある回路を作るとき、1本1円の抵抗をやめてブランド物で揃えた。
ワクワクして音を出した。……ノイズだらけ。実装技術がモロに影響する。
私の技量では不適当と判明しオサラバ。難しいものです。

電子部品は基板にのせてハンダ付けします。多層エポキシが主流かな。
現代の市販品はまるでPC基盤の如く、信号ラインが極細になっていて、
ノイズ対策のためにアース部分が全面覆っていますね。これには違和感が。

プリント基板の信号ライン、これを全てハンダメッキするだけで音が違う。
私の好みはなぜか信号ラインが太目でハンダ大盛りのものです。
ベークライト基板全盛期の音に耳が慣れているためだと思います。

……書き飽きました。この話題には中庸が存在しないのです。
あらゆる部分に拘りまくった究極の超高品位システムを構築するか、
まあ音なんて鳴ってりゃいいんだよというダラシナイ路線かの二択。

再生システムは『真実・実相』に迫る崇高な努力だと考えるのではなく、
「好きなアーティストの音が自分好みに鳴る」ことを目標にするほうが、
お財布にも精神衛生にもよかろうと愚考するのです。長文陳謝。




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2017/04/07 20:15
>バディネリさん

お察しの通り、ホーズズワースのライブ盤『All night wrong』の逸話です。
電池はアナログ系の歪みペダルで試すと、おそらくすぐ分かると思います。お試しあれ。
ジョンソン愛用のプロセル、私には少々ハイがキツく出る感じでして敬遠しています。
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2017/04/07 19:39
Aさん?誰でしょう?気になるw
ひょっとして指が12本ぐらいありそうなビール好きなあの人でしょうか。
乾電池までこだわるというと、エリック・ジョンソンも有名だけど、俺にはそこまで違いはわかりません。
けど、いったん拘ると何処までも追求してしまうのが、マニアの性なんでしょうねえ。
エレキだってもとは音を加工して出力しているわけだから、電子の世界てのは不思議ですわ。
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2017/04/06 12:46
>ヘルミーナさん

FLACのお話を拝見し、そこに書き込むより記事にしたほうがいいと思い、書いたものです。
殆どの方が本流のピュアオーディオ志向だと思うのです。ですから私のは独学の邪道です。
気に入るか否かで全て決めちゃうので、世評や常識を完全に敢然と無視しております。

バーブラウンの石を使った秋月のキットの回路図を眺めてみました。うーむ、現代的ですね。
入力から石までに通る部品が可変抵抗と抵抗1つずつだけ、いわゆる直結ピュア系回路。
こういうICってほとんどデジタルなので私には使いこなせない。いじれる場所も少なそうです。

デジタル音源の時代なので、フルフラットな特性を持つ高速のICを使い、コンデンサを極力排除して、
音源を100%再生することを目標としているシステムが主流になってますね。これも時世でしょう。
近年のエレキ弾きには、空気を介在させない録音を基本とした演奏家も増えてます。面白いものです。
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2017/04/06 09:14
面白いですね。
わたしの敬愛する元編集者、安原顯氏が晩年の著書のなかで、
機材の音チェックをするとき、寺島靖国氏に借りた100万超えのケーブルやらあれこれ取りそろえて、
意外とバカにできないのが安物の細い赤白のケーブルだったって書かれているのに通じるのかも。

そうかはんだかぁ……。
わたしのヘッドフォンアンプは秋葉原の秋月電子で売られているキット品で、
はんだはとくに考えていませんでした。
(オペアンプ取り替えなどはよくブログ記事で拝見しますが)。

パソコンとミニコンポをつなげたり、
パソコン>ヘッドフォンアンプ>ヘッドフォンを、.flac音源で聴くのがあっているのかもしれません。



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