サイミン商法の今
- カテゴリ:日記
- 2017/03/21 08:32:15
ポストに一見スーパー開店と見まごうチラシが。家人に渡す。
なんだコリャと投げ捨てたので拾って眺めた。ふむふむふむ。
100円の入場料でコメや卵や菓子が貰える……おお、サイミンじゃないか。
より直截的な振込詐欺に主流の座を明け渡しているが、伝統ある商法。
ひと昔前の駅前で、関西訛の大柄な明るいニーチャンネーチャンたちが、
「はーいコッチですよー」と年寄り引き連れていた図を思い出す。少なくなった。
健康器具や自然食品の体験・即売会系も一時盛んであったが減少傾向です。
この商法、ターゲットの多い地域というのは斜陽の地方都市になりがちです。
売上落ちてきた現場の近くに、よくサイミンのアジトができてたもんです。
若い頃にバイトで足を突っ込みかけた。彼らは非常に勤勉でありました。
完全歩合制だけど、30万の契約1本取れば3万5千円の取り分。
月に3本とると1本4万、5本とったら1本5万……働く者が報われる。
商品売りっぱなしでバイバイという手法に疑問があったんすよ。
そのあとのフォロー、引っかかったヤツに次に何を売るのかといった、
顧客管理の観点が充実していたら、今でもその業界にいたかもしれません。
そんなわけでサイミンの連中の仕事ぶりは嫌いではない。
研修で笑顔、大声、元気、若々しさとスピードを叩きこまれているから、
ショボイ中年男もオバちゃんも狂信的な陽気さと機敏さを発揮する。
客寄せイベントの終わったあと、スタッフの虚脱感溢れた表情も佳い。
現場責任者らしいやつが携帯で長話したあとノボリを仕舞ったりしてる。
この時の彼らの顔だけを写真に撮って展覧会をやりたいものである。
サイミンの取り扱い商品ってのも昔から変わりませんねー。
健康と美容、磁気、イオン、ケミカル、宇宙線エネルギー……。
数千円から30万まで価格帯をバラけさせてるのが近年の主流です。
ごく稀にバカな知人が引っかかり、電話をかけてくることもあった。
マルチ系の手子として会員集めるノルマが課せられ、なりふり構わず電話。
こういう時の彼らのテンパった声質のも、格別の味わいがあるんですよ。
未だにこの業界が頑張ってることには一種の感慨を覚えるのです。
疑似宗教的高揚感の演出と、自己啓発やポピュリズムは遠くないと思う。
人はどこかで何かを信じていきたいと願っているのでしょう。
自分すら信じない懐疑猜疑の塊である私は、ある意味羨望の眼差しを向ける。
信頼することも信頼されることも、社会が機能するための約束事です。
ニーズがあるから無くならない仕事なのかもしれない。シミジミします。
『見せ方』は重要ですね、どこの現場でも。「ちょっと弱いな……」という役員の一言で全部オジャン。
ほとんどの場合先行他社および成功事例を資料として添付し、そのイディオムに色付けしたものを、
リサーチ数字と展開と目標値をくっつけてカマしてやるという逃げ方が、身に沁みついてます。
消費財やサービスを導入した後の近未来を潜在的自己実現目標として熱く語る、というのは
どの業界でも変わらないですよね。CI戦略が始まったころの各企業の外向き広告に顕著でした。
イチバン嫌なのは中身の無い会社のHP作成するときの原案ですね。未だに時々やりますが。
かつて着物メーカーで、企画書を書いていた時、
上司から、昔からある染色技法を表すための新しい言葉を考えてくれ、
と言われました。
つまり、手間のかからない、安くできる染色方法だけど、
そのままの名前だと、いかにも安っぽいから、
おしゃれで、新鮮な名前を考えて欲しいとの指示でした。
法には触れないけれど、似たようなこと、
やっていたかも…(^^;
20年ほど前、ネットワークビジネスに誘われましたがお断りしました。
システムがいかに素晴らしいかは熱心に語るんですが、
商品については何も語らないんだもんなぁ・・・
ここがサイミン商法とは違うかな。
コメント有難うございます。ただしこの内容は社会通念を大きく逸脱しておりますので、
そこに関しては割り引いてお受け取り下さい。彼らの勤勉を称えるというより、
社会悪すれすれの地帯で必死に食いつなぐ方々を、私は批判的に語れないだけなのです。
こうした商法で扱うものは多岐に渡ります。実際にメーカーが生産した真っ当な商品もあり、
一方では外装箱やラベルを貼り替えたり、中身を小工場で高級瓶に詰め替えているものも。
これらの商品にストーリーやセールスポイントを創り、演出することが仕事の要諦です。
販売することに貪欲な姿勢は、見習うべきところがあるかもしれません。
ちょっと疑問なのですが、
こういう売り方の商品は、それ用に作られた商品なのでしょうか?
普通には、売ってないもの?
または、普通の売り方では、売れないようなものなのでしょうか?