バイノーラルを 知ってるかい?
- カテゴリ:音楽
- 2017/03/15 09:07:39
音楽鑑賞法の歴史を振り返る。バイノーラルって知ってますか?
1970年代には4チャンネル再生がブームになりかけたのですが、
それと並んで一時期火がつきかけ、すぐにポシャったテクノロジー。
原理は簡単。まず、どこのご家庭にもあるマネキンの頭部を準備いたします。
耳の部分に、これもどこのお宅にもある小型コンデンサーマイクをセット。
もちろんどこの物置にもあるステレオ録音機に接続して準備完了。
これで2チャンネル録音するわけです。山歩きや自然音を録ってもよろしい。
ヘッドフォンで聴くことを前提にした録音法なのです。この臨場感はナカナカ。
特に背後の音、思わず振り返りたくなるくらいリアルなのです。
廃れた理由ですか? やってみると分かるんですが、正面の定位に問題あり。
この録音法で録ったものはスピーカー再生には全く向かない上に、
目の前、正面や左右の定位がぼやける感じがあるのです。不思議なモンです。
レンタルレコード屋とウォークマンの流行、デジタル化とCD普及に伴い、
この録音法は終焉を迎えたようです。でも、現代の聴取には向いてるかも。
MP3等のデジタル音源をバイノーラル用に変換するソフトとかどうかな?
山にマイクと録音機を持ちこみ15分放置、夜に自宅で聴いたことがある。
こういうアンビエンス系の再生には非常に向いている録音法です。
好事家は一度試してみる価値があるかもしれません。最後に技術ノートを。
現行の各種録音機材、内蔵/外付けマイクの位置が近すぎて不適です。
タスカム、ソニー、ズーム、ボス、いずれもスピーカー再生向きです。
小型マイクを二本手に入れる必要があります。数千円ので十二分。
シュア等のダイナミックマイクは向きません。コンデンサータイプを推奨。
自分の耳の間隔を正確に測り、その距離に配置。仕切り板を入れると宜しい。
接続が少々面倒かな……LRのアースは一緒に繋いで構いません。
準備できたら、室内でも外でも数分録音して、ヘッドフォンで再生。
いかがでしょう? 驚くと思いますよ、生活音や自然音がリアルで。
ピアノやギターなど、楽器やる方はそれを録音してみると面白いですよ。
やや、近年でもバイノーラル録音を使って発表してるんですね、知らなかった。
サイキックTVのヤツに似たことを70年代にやりました。2本のマイクの間や周囲で音を出す。
その録音を聴き返すと、本当に凄い臨場感でした。現代のVRと親和性の高い技術かもしれませぬ。
あとは未だ技術をオープンにしていないそうなんですが、ホロフォニクスという立体音響システムもありますね。
ピンク・フロイドの「ファイナル・カット」、サイキックTVの「レス・ザン・スウィート」など。
サイキックTVのほうは、「頭のなかに木箱があってそこに小石をじゃらじゃら入れられる」というのがリアルで鳥肌ものでした。
MP3をバイノーラル化のソフト、あると面白いですね。