「線路は続くよ」
- カテゴリ:30代以上
- 2017/01/10 12:34:12
# 虹のありか
「おや?珍しく先客がいるな」
高台の公園に作られた駅
そのホームの隣に作られた展望台の上で、青年はつぶやく
展望台の隅に置かれたベンチ
テーブルの上に一匹の猫
「君はどこから来たんだい?」
早朝のホームには、汽車が止まっている
「もしかして、あの汽車に乗ってきたのかな?」
「にゃあ」
仔猫が青年に振り向き、答える
「そんなわけないか」
手すりにもたれながら、独り言のように青年は言う
手すりの向こうは、朝の風景
一面の花畑が、朝露に輝いている
その向こうには、朝靄に霞む木々と、遠くに見える街が、やっぱり霞んで見える
遙か向こうで青くきらめくのは、海だろうか
「今日は出ていないな」
「にゃ?」
「虹さ。この丘にかかる虹は、それは綺麗なんだぜ」
「にゃ」
「この上からでも届かない、遠い空にかかる虹。、翼を持たないこの身では、見上げることしか出来ないけどね」
「にゃ~」
「遠い遠い街にあるという、空までそびえる塔の上からなら届くかもしれないな。君、見たことがあるかい」
「にゃにゃ」
「あの汽車に乗ったら、いけるだろうか。一緒にこっそり乗ってみないかい」
「にゃあ」
「朝から仔猫を相手になにバカなことを言ってるの」
声に振り返ると、ひとりの少女が青年を睨みつけていた
「良くここにいるとわかったね」
「夜明け前に少しだけ雨が降ったでしょ。だからきっと虹を見に来てると思ったのよ」
「虹は出てなかったよ。代わりに、小さなお仲間に会えたけどね」
「にゃ」
返事をするように仔猫が鳴く
「あら、お利口な猫ちゃんね。朝から変な人につきあってくれてありがとね」
仔猫をなでながら少女が言う
「ほら、もうお仕事に行く時間よ。折角迎えに行ったのにいないんだもの。今日は朝ご飯抜きね」
「それはひどくないかい」
「自業自得よ」
いたずらっぽく笑いながら言う少女を追いかけて、青年が展望台を降りた時、駅のホームから、車内販売員が仔猫に声をかける
「そろそろ発車の時刻ですよ」
「は~い、今行きま~す」
展望台を降りる時、ふと、二人の去った方に目をやる
朝日をうけて何処までも続くお花畑
その間を縫うように作られた散歩道
回転式の水撒き機が作り出した虹の中
笑う少女と、少女が作ったのだろうサンドウィッチを頬張る青年の姿が見えた
汽車は走り続ける
次は、どんな風景が待っているのだろう
つづく
いつもありがとう
海のお話
実は、大まかには出来ているのです
ただ
何かひとつ足りない気がして、形にはしていません
今しばらく、お待ちください
(#^.^#)
面白い~^^
ネコちゃん~子猫ちゃんだったのね…
そして…最後に「しゃべるんか~い~w」と思わず突っ込んでしまいました~w
一面のお花畑のある町~ステキな町ですね^^
住んでみたいです。
そして…海も近づいて来たのでしょうか…。
ヒトデさんが、喜ぶよね^^(ヒトデさんが海に行きたがっていなかったっけ?)