Nicotto Town



ポタフェスとは何か調べた結果


ポタという単語に出会った。ポタフェスというのもある。何だか分からない。
自転車に関係あった気がするんだけどな……調べたらどうやら2種類ある模様。
ポタフェスは自転車と無関係、ポータブルオーディオフェスティバルの略。

ヘッドホンやインナーホンに専用アンプを揃えて良い音で聴くのが目的のようだ。
有力メーカーが様々な新商品を出している。懐かしい名前も散見できる。
巷では、最近アップルが出したワイヤレスのヘッドホンが人気らしい。

ふむふむ、私には縁なき事が分かった。同時に現代の音楽鑑賞の実態も認識する。
電車通勤の知人複数は、社内で不快な会話や雑音を聞きたくないからという理由で、
携帯プレーヤーとインナーホンを愛用している。こういう用途も多いのだろう。

スマホに繋いでおけば電話も使えるのかもしれぬ。ビジネスにも役立つのかも。
車やバイクでも使ってるヤツをよく見る。音楽が騒音よけとして機能している部分は強い。
私はなぜ使わないのか、嫌いなのか。非常にシンプルな理由である。

世界は無邪気な悪意のみで構成されているという私の妄想は動かせない。
周囲で何が起きているのか、視覚嗅覚聴覚第五感総動員、常に観察している。
歩道の信号が青になった瞬間、右と左と背後に素早く目を走らせる私は被害妄想である。

こういうクレージーな人間は生の情報の取り込みに飢えており、一種の楽しみでもある。
電車内、取引先の愚痴をこぼしあう隣の企業人、渋谷の店の品定めをする若い娘たち、
旧交を温めに上京したらしい年配者たちの会話……みな異星の人であり興味深い。

さらに妄想は進む。これらの音声情報が純粋に、私への敵意と害意だとしたらどうだろう。
節操のない騒音に聞こえる会話には隠語が溢れ、私を襲うタイミングを計っているのでは。
彼らと無関係に見える左隣の中年男が刺客ではないか。隠れた左手が怪しい。

運転手と車掌ももはや無関係とは思えない。車掌のダミ声で早口のアナウンスも符牒だ。
急に加速が強まった。立っていたら私はよろけ転び脳天を強打したかも。危なかった。
多摩川の橋の下に集まるホームレスたちも、一瞬私の意識を奪うために配置されている。

……こういう思想の持ち主が、車内で音楽など聴くわけがありません。
インナーホンを使ったのは二十歳ごろ、最新のウォークマンを買って90分使った。
帰りに質屋に入れてオシマイ。私には全く不要の物だと早い時期に気付いたのです。

もう一つの理由、そりゃ簡単、んなもん音楽じゃねーよとコケにする偏狂気質です。
空気を震わせ鼓膜だけでなく全身に波動を伝える。それでなきゃ魂なぞ震わせられん。
知人のエピソードを二つ書いておきましょう。どっちも現在、そこそこ名のあるヤツです。

某ドラマー、家賃2万ほどの超安アパートに暮らしてた。室内にはフルセット。
リハで会ったら激怒してる。昨夜練習中に隣の部屋のヤツが怒鳴り込んできて喧嘩。
「まだ夜の10時だぜ、いったい何考えてんだよあのバカ、常識ねえよな」

アコギのケースが壊れ裸で持ち歩いている、米国名門留学経験のあるジャズ屋。
電車内で弾いていたら苦情を言われ、やはり言い合いをしてきたという。
「電車の中でいい音楽に触れられてんだ、礼の一つも言われて当然だろ?」

根っこの部分は私も同感、社会に寄生し偽装するためにこういう振舞をしないだけ。
山手線にCDラジカセ持込みラップをガンガン鳴らすロクデナシ若者たちに会った。
彼らは正しい音楽の鑑賞を体現していると信じます。支持する私は異常者です。




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