Nicotto Town



「お日様の魔法」

ー ねこにはね、おひさまのまほうがかかっているんだよー



そう言ったのは、誰だったかしら・・・


夏のちょっと前の昼下がり。

買い物帰りの公園の陽だまり。

お昼寝をしている猫を見かけて、サナエは思いました。



朝起きて

家族を送り出して

お洗濯してお掃除してお昼寝してお買い物をして・・・

変わらない、忙しい毎日の中で、子供の頃見た夢と一緒に、心の中に埋もれていた言葉。


大切な人の言葉だったような気がするけれど・・・


「いけない。早く帰らないと。そろそろあの子が帰ってくる頃だわ」

一瞬浮かんだ思い出は、再び。遠い記憶の靄の向こうに、霞んでいきました。



「ただいま~」

元気な声とともに、ドアを勢いよく開ける音がします。

「お帰りなさい。あら、お友達?」

玄関で、娘のユイナを出迎えて、サナエが言います。

「うん。最近仲良くなったの。お友達のネネコちゃん」

「こんにちは~」

ちりんちり~ん

勢いよく頭を下げるネネコの背中で、鈴の音がします。

ランドセルにつけられた鈴が、音を立てたのです。


「あら?それは?」

「大丈夫だよ、ちゃんとネネコちゃんのお母さんには言ってきたから。一緒にお勉強するから、ランドセル持ってきたんだよ」

「そうじゃなくてね。その鈴に見覚えがあったような気がしたから・・・」

「この鈴はね。お母さんの宝物なんだよ。昔、クリスマスの日に、大切なお友達に貰ったんだって。この前のクリスマスにお母さんから貰ったの」

ネネコが言います。

赤と緑のリボンに付けられた白い鈴。

あれは確か・・・



「そう。やっぱりあの鈴よね・・・」

子供達のおやつを作りながら、サナエは考えます。

その鈴は、クリスマスプレゼントにと、子供だったサナエが作ったものでした。

だから、間違えるはずありません。

赤と緑のリボン。

小さな白い鈴。

そして、ちょっぴゆがんだ縫い目。

「はい。あなたにも、クリスマスプレゼントよ」

そう言って、サナエが付けてあげたものです。


「でも、本当なのかしら・・・」


ーねこにはね、おひさまのまほうがかかっているんだよ

ーねこはね、せんとさんびゃくにちおひさまのぽかぽかをためると、ひとになれるの

ーきょうが、そのひだだったんだよ

ーだから、なかないで


それは

遠い、子供だった日

飼い猫のネネが帰ってこなかった日

泣き疲れて眠ってしまったサナエの夢で、ネネが言った言葉でした。




おしまい(#^.^#)


アバター
2016/06/22 00:09
今晩は~♪

こころ温まる…素敵なお話ですね~^^

読ませて頂いて~チビを思い出して…
最後に…涙が目に少しだけ…w 浮かんでしまいました…^^

チビは、何度~クビにリボンを付けてあげても
取ってしまったので、
「野良猫と間違われて、何か危険があるといけないのに」…と
親も私達もいつも困っていました~。

ネネちゃんは、素直に首にリボンをつけてくれる良いネコちゃんですね^^

うちのチビは我が家のコタツの中で眠る様に死んだので…
帰ってこないかもしれませんが…
それでも~いつか帰って来て欲しいなぁ~^^
ここの住所分かるかなぁ~^^
アバター
2016/06/21 18:30
今読み返してみたら
展開がわかりづらかったので・・・まあ、いつものことだけど(笑
少しだけ修正しました。

(#^.^#)



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