薔薇の精の、永遠
- カテゴリ:スポーツ
- 2016/05/24 08:42:21
すきなスポーツ選手…。
いないなあと、即答しそうになる。
スポーツはきらい。
というか、スポーツ観戦が苦手。
なにがいいのか、いまだによくわからない。
みていることで疑似体験するのかしら。
たぶん、そうなんだろうな。
スポーツするのも苦手かな。
けど、運動音痴ではないと思う。
運動音痴なのかなと思ってたけど
足とかは速かったし。
そう、すきなスポーツ選手。
プルシェンコ選手がいた。
特にかれの「ニジンスキーに捧ぐ」。
ロシアの伝説的バレエダンサー、
ヴァーツラフ・ニジンスキー(1890~1950年)のポーズを各所に散りばめている。
プルシェンコ選手が、プログラム内でポーズをとったものが、確認できた限りだと、
「牧神の午後」「ペトルーシュカ」「薔薇の精」。
リアルタイムではなく、ユーチューブでみたのだけれど、
その美しさに圧倒された。涙が出た。
技術的な面では、4T─3T─2Loのコンビネーションジャンプ、
男子では稀少なビールマンポジションとドーナツスピン等を披露。
2004年のロシア選手権で、芸術点で最高点のオール6点を叩き出している
(旧採点方法)。
私は芸術構成点のことはよくわからないが、
写真等で見られるニジンスキーの一瞬のポーズ
(彼の踊る映像は残されていない、メモ的なコレオグラフィーがあるだけだ)は、
採点に殆ど影響がないだろうと思う。
それはポーズであり、ジャンプやステップ、スピンではないからだ。
なのにそれを取り入れる、そんな行為にも、とてつもなく惹かれる。
こうした遊びの要素こそが、真の芸術だと思うから。
それは究極的な美へのまなざしだ。
ほかのエキシヴィジョンのコミカルなものも素敵だ。
肉襦袢を着ておどったり、女装したり。エンターティメントだと思う。
数年前のソチ・オリンピック、団体戦での演技、特に1位となったフリー・プログラム。
私がリアルタイムで初めて観た演目が、このフリー、
これまでの演目の集大成的なメドレーである
「ベスト・オブ・プルシェンコ」だったことが象徴的だった。
「ベスト・オブ・プルシェンコ」の構成は、
「ゴッドファーザー」「ニジンスキーに捧ぐ」「ロクサーヌのタンゴ」
「「トスカ」の「星も光りぬ」」等。
素人目に見ても、動画等で見た、過去の演技の魔術的な切れ、
ジャンプの高さ、スピンやステップの勢い、速さ等がなかったように感じられたが
(もはや満身創痍、身体はかなり厳しい状態だった筈)、
やはり安定した、重厚な演技だった。
ちょっとした動作に気品が溢れ、王者の風格がにじみ出ている。
そして「牧神の午後」の、身体を横向きにした、一瞬(永遠に)静止したようなポーズ。
まさにプルシェンコ選手たちだった。
独特と創造のすべての集大成だった。
今はどうしているのか。
選手としては、身体的になかなか難しい状況なのかもしれない。
ともかく、彼の演技に、しんそこ心動かされた。