Nicotto Town



「線路は続くよ」

# 幻の月




汽車が、夜のホームに停まる。

街灯りが見えるだけの、静かな風景。

聞こえてくるのは、遠い車の音と、カヘルの声だけ。


「あ、お月様だ」

車窓から郷を見ていた仔猫が言います。

空には、まんまる一歩手前のお月様。

「あそこにもいるよ」

木鼠が言います。

水を湛えた田んぼにも、ゆらゆら揺れるお月様。

「どっちが本当のお月様なのかしら」

と、紅葉の葉っぱ。


「ふむ、案外どちらも本当じゃないのかもしれんの」

相変わらず、酔っ払っているフクロウが言います。

「そうね。本当のお月様は、ひとりぼっちで泣いているのかもしれないね。誰かが見つけてくれるのを待ちながら」

ふと、ホームの端にたたずむ少女が見えたような気がして、言ってみた。



発車のベルが鳴る。

「そろそろ発車のお時間ですよ」

車内販売員が少女に声をかける。

淡い、うす黄色のワンピースを着た少女が、うしろの車両に乗り込む。


汽車が動き出す。

「お月見団子が入荷しましたけど、どうなさいますか」

うしろの車両から、車内販売員の声が聞こえる。

「ありがとう。ひとつくださいな。それと・・・お酒も」



幻の月の下、汽車は走り続ける。

次は、どんな景色に出会えるのだろう。



つづく


(#^.^#)

アバター
2016/05/25 19:20
めぷちん♪さん

いつもありがとう♪

この汽車の名前・・・
たぶん、つけてないと思う
つけるとしたらなんだろう・・・
「虹色鉄道」
かな?

(#^.^#)
アバター
2016/05/23 20:58
今晩は~♪

わ~~い~
私の大好きな「線路は続くよ」シリーズだぁ~~\(^^)/

今度の駅は、「夜の里」かな?
遠くに山が、あり、
棚田から~近くまで田んぼが、並んでいて
お月さまが、写っている風景を、
一面の群青色に黄色のお月さまの風景を、想像致しました^^

うす黄色のワンピースの少女は、
お月さまの精かな?
それとも分身かな?
(それともツクヨミかな?w(by クロノクロス)

この列車~(お名前忘れましたごめんなさい~)の
乗客さんも増えてきましたね^^

次の駅が楽しみです~(●^^●)



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