積木を作る
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/05/20 21:20:41
壊れているなぁって奈美(なみ)は思った。(仮名、実在しません)
わたしは壊れている・・・。
3階の窓から見える運動場を見ている。
外は雨だ。傘を忘れた。
窓を開けると強い風と雨が入って来る。
後ろから「おい、閉めろよ」とか。聴こえてくる。
それを無視してわたしは窓から身体を出した。
まだ屋根の上にいる。窓は閉めた。誰かが走ってくる
あれは先生だろう。
わたしは屋根をつたなく歩く。
そして地面が見える場所まで来た。
下には地面がある。
何度も言う。わたしは壊れている。
わたしは飛び降りた。
下にはトランポリンなんて便利なモノは無い。
固い地面があるだけだ。
偶然、誰かが助けてくれる?
おそらくそんな事も無い。
ぐちゃっ。
痛みも無い。
気づくと・・・黒い狼の魔物がいる。
わたし、食べられるのだろうか。
牙を剥きだして怒っている。
「また死んだのね」
そうつぶやかれる。
彼女だ。
600年前からずっとわたしを見守ってくれている彼女。
そして黒い狼はわたしに光を届けに来てくれたもう1人のわたしだった。
黒い狼の名前はフェンリル。
「フェンリルを次の来世では抱きしめてあげて」
そう彼女は言う。
彼女の名前はジャンヌ。
聖女と同じ名前なのはご愛嬌だろう。
生まれ変わって今がある。
わたしはボクになっていた。
ボクはフェンリルを抱きしめて生きているだろうか?
前世から積木を拾い、今世こそ作れているだろうか。
そんな事を考える夜でした。
あい