『優しい嘘』
- カテゴリ:30代以上
- 2016/04/01 11:17:29
「雪だるまさんがいなくなっちゃったよ~」
女の子が泣いていました。
北の街の春は遅い。
それでも、少しずつ春が兆し出す四月の初め。
ここ数日の暖かさで、降り積もった雪も小さな山が残っているだけです。
「雪だるまさん・・・」
小さな雪の塊の上に残された青い帽子。
しゃがみ込んで小さい少女は泣き続けていました。
「泣くな!」
上から、怒ったような声。
見上げると、男の子が立っていました。
「お、俺はその雪だるまだ。お、お前がいつまでも泣いているから、仕方なく戻ってきてやったんだ」
男の子が、怒鳴りつけるようにいいます。
「え?でも・・・」
その子は、どう見ても、同じクラスの男の子でした。
「お、それは俺の帽子だな」
少女に見つめられて恥ずかしかったのか、男の子はそそくさと雪まみれの帽子を拾い上げ、頭にかぶりながらいいます。
「お、俺がまたい、一緒に遊んでやるから、いつまでも泣いてんじゃね~よ」
少女が驚いたようにいいます。
「雪まみれの帽子なんか被ったら、風邪ひいちゃうよ」
「雪だるまは風邪なんかひかんっ」
男の子は、ちょっぴり赤い顔で少女の手を引き、怒ったようにずんずんと歩いて行きました。
女の子が泣いています。
「どうしたの?」
赤ちゃんを抱いた女の人が声をかけます。
「雪だるまさんがいなくなっちゃったの」
うつむく女の子の視線の先には、小さな雪山。
その上にちょこんと乗った赤い帽子。
「あなたは、雪だるまさん、好き?」
こくん、と頷く女の子。
「だったら大丈夫。雪だるまさんはきっとまた、会いに来てくれるよ」
「ホント?いつ?」
訪ねる女の子に、女の人は道の向こうに目をやりながらいいます。
「きっとすぐに、かもね」
女の人の視線の先では、泣いていること同じくらいの女の子が、こちらを見つめていました。
「他所の子に嘘を教えるのは、あまり感心しないね」
女の子と別れたあと、隣を歩いている男の人が、女の人に言います。
「あら、どの口がそんなこと言うのかしら?風邪をひいて一週間も学校休んだ雪だるまさん」
おしまい(#^.^#)
ほぉ~<(●^^)>=З 素敵なウソ~素敵なお話ですね~^^
(⇈ 頬に手をあて、うっとりして溜息を、付いている絵文字のつもりですw)
赤ちゃんを、抱いている女の人の隣に居たのは…
その女性のお子さん(男子)なのかな?
最後に、推理させてくれて、ひらめいた時に
「脳がアハ」
(脳学者の茂木さんが、よく言ってるヤツ)になって~
楽しくなりますね^^
最後まで楽しませてくれて本当に~ゆちゃまのお話は、面白いです。