『雪街幻想』
- カテゴリ:30代以上
- 2016/03/13 08:43:29
「いつまで降れば気が済むのかしらね」
道脇にうずたかく積まれた雪を見て、ヒロコはつぶやきます。
北の街。
春はまだ遠い。
「何かしら?」
ヒロコは、雪山の中に、赤く光るものを見つけ、手に取りました。
それは、雪ウサギでした。
「お目々がひとつしかないわね。それにお耳も」
雪山の中に紛れた時に、なくしてしまったのでしょうか。
「このままじゃ可哀想ね。確かあったはず・・・」
バッグの中を探すと、ありました。
小さな赤いあめ玉。
「ちょっと大きさが違うけれど、勘弁ね。ないよりはいいでしょ」
お耳は、垣根の葉っぱを一枚、貰いました。
「じゃあね。今度は気をつけるのよ」
そう言って、少しいびつな雪ウサギを郵便ポストの上に置き、ヒロコは再び、家路へ急ぎました。
その夜。
ピンポーン
ヒロコの家の呼び鈴が鳴りました。
「こんな時間に誰かしら」
出てみると、そこには、小さな女の子が立っていました。
「こんばんは」
すっぽりと、蓑を被った頭を下げ、女の子は言います。
「雪ウサギを見つけてくれてありがとう」
「一緒に遊んでたら、どこかへ行っちゃうんだもの。明日は晴れて暖かくなるから、早く雪の里に帰らなくちゃダメだったのに」
「ほら、あなたもちゃんとお礼をして。素敵なお目々とお耳を貰ったでしょ」
雪ウサギは、少女の手のひらでぴょんぴょとはねてから、ぴょ~んと大きくはね、まだ雪の残る歩道へと走り出しました。
「あ、こらまて」
少女も慌てて後を追おうとしましたが、もう一度振り返り、言いました。
「あたしはこの街が大好き。雪が降ったらまた来るね」
そう言って、手を振りながら、雪ウサギを追って走り出しました。
「待て~。また迷子にならないでよ~」
ここは北の街。
春はもう少し先。
また、雪の降る日もあるでしょう。
「またどかで会えるかな。会えたら良いね」
小さくなっていく少女と雪ウサギを見送りながら、ヒロコは思うのでした。
おしまい
(#^.^#)
いつもありがとう♪
わたしの住む街には
今年は来てくれませんでした
来年は来てくれるかな~
(#^.^#)
逢えた?
(#^.^#)
ほぉ~Ψ(●^^●)Ψ~可愛くて素敵なお話ですね^^
最初は、『少女が、雪うさぎの化身で、
「恩返し」に来たのかな?』と思ってましたが、
雪うさぎさんは、少女のお友達だったのですね^^
雪が積もれば…どこかで会えるよね^^
私も会いたいな~^^