読書メモ『ファンドーリンの捜査ファイル』
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/01/28 13:49:55
ボリス・アクーニンの人気シリーズ
①「堕天使(アザセル)殺人事件」
白昼の公園、公衆の目前で若い男が拳銃自殺を遂げた。今時の若者の狂気として片付けられかけた事件に特捜部14等官のファンドーリンだけが疑問を抱いた。
②「トルコ捨駒スパイ事件」
恋人に会いに行く途中、ブルガリア辺境で全財産を盗まれた進歩的女性ワーニャは諜報活動中のファンドーリンに救われる。一度は反発するも露土戦争で通信兵をしている恋人に暗号文すり替え容疑がかかったことから、ファンドーリンとともにロシア軍内のスパイ捜査に関わる。
③「リヴァイアサン号殺人事件」去年12月7日ブログで紹介済み。
④「アキレス将軍暗殺事件」
白の将軍、アキレスと呼ばれる露土戦争の英雄が不自然な死を遂げた。事件の捜査をファンドーリン、真相を白い目の暗殺者アキマスの視点から語られる。
○の数字はロシアで出版された順番です。日本では版権の都合で「リヴァイアサン~」が一番先に出版されたようです。
去年12月に③を読んで絶賛、当然ほかのシリーズも読んでみて面白かったのですが、読んでみて順番にブログに書こうとすると ふと困ってしまいました。何故なら、③以外事件につながりがある。
①「アザセル~」国際的な秘密組織存在が明らかになり、組織壊滅→②組織残党が露土戦争で暗躍→④露土戦争英雄が暗殺、暗殺者アキマスは①にも登場。
さすが長編文学の国。。
ちなみにファンドーリンは①で大出世して外交官の身分も手に入れます。
共通して問題になるのは主人公ファンドーリンが正義の側にいるのか?ということです。時代はロシア革命前夜で政治も社会も腐敗しまくっていた時代。②のヒロイン:ワーニャも警察組織を政府の犬、と嫌い。皇帝を見て「ただのおじいちゃんじゃない」と驚きます。
①の秘密組織の目的は社会の穏やかな革命で都合により暗殺行為も肯定(←この辺りは悪)
②露土戦争でロシア帝国は国力を疲弊
④ネタバレになるので書きにくいけどファンドーリン自身が政府に裏切られたとはっきり自覚します。
4作まで出てストーリーがこれってロシア本国じゃ15作出版されてるらしいけどどうなってるんだろう。。
ロシアをめぐる歴史トリビア、キャラクターの魅力とにかく面白いので 本読みの方はぜひ「リヴァイアサン号殺人事件から」読んでみるといいです。
先日の
船のミステリもこの作家さんだったような