Nicotto Town



「線路は続くよ」

# 羽根の折れたトンボ


ずっと、ツバメにあこがれていたんだ。

どこまでも、高く、遠くへ飛べる翼。

その景色を見たいと思ったんだ。


ー君だってきっととべるさー

ツバメはいったんだ。

ーぼくたちだって最初から飛べた訳じゃないからねー

確かに、そういったんだ。

ー頑張れば、きっととべるさー


だけど、ダメだったよ。

遠い空に吹く風はとても強くて

ぼくの羽根ではたどり着けなかったよ。

風にあおられて、落ちてゆくことしか出来なかったよ・・・


大きな生き物が、地面に落ちたぼくをのぞき込んでいる。

一度だけでいい

ツバメのいっていた、青い海を見たかったよ・・・


「だったら、ぼくたちと行こうよ」


大きな生き物は、そういったんだ。



「どうしたんだい?」

地面にとまっているトンボを覗きこむ仔猫に、木鼠が声をかけます。

「トンボさん、海を見たいのだって」

「じゃあ、ぼくたちと一緒だね」

「あら、羽根を怪我しているのね」

木鼠の頭の上から、紅葉の葉っぱがいいます。

「でも、汽車に乗っていけば大丈夫ね。わたしだって行けるのだから」


「みなさん、発車しますよ。急いでくださいな」

ホームで話をしている仔猫たちに、車内販売員が声をかけます。

「あ、急がなくちゃ」

「早く早く」

「トンボさん、ぼくの背中に乗って」


「さあ、行こう!」


トンボの折れた羽根には、いつの間にか、切符が一枚乗っていました。

行き先は

「ツバメの見た海」


汽車は走り出す。

様々な思いをのせて。

次は、どんな景色が待っているのだろう。



つづく


(#^.^#)







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2015/10/28 12:56
今日は~♪

久しぶりに「線路はつづくよ」のお話しを、読んで~
懐かしい想いや、ホッとした想いが、胸にわきました~^^
いつ読んでも~可愛くて~素敵な~お話しで、大好きです~(^^♪

今回の駅は、海まで飛ぶ事を、憧れるトンボさんのお話し…
私も~何年も「海に行きたい」と言いながら~
体調のせいで、行けなかったので、
羽が、折れて飛べなくて~海に行けないトンボさんの気持ちわかるな~^^

そうなんですよね~電車に乗れば、いけるのですよね~w
私は、この電車に乗るのも重度のうつ病のせいで、動かなくなって膝も悪化して、
心も折れてー怖くて乗れなかったのです~。

去年から私も、京都駅まで行ったり、リハビリして、やっと神戸の海も観れる様に…

羽も心も折れてー落ち込んでるトンボさんに…
「でも汽車に乗れば大丈夫だね」と言ってくれた
優しい~仲間たちに、トンボさんの気持ちになって「大感謝~」です~^^



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