Nicotto Town



「線路は続くよ」

#5

桜の旅


「綺麗だね~」
風に舞う桜の中、仔猫が言う。
「ぼく、こんな綺麗なものを見るのは初めてだよ」
木鼠も相づちを打ちます。
「わたしのお友達だって、風に舞うときは綺麗だもん」
と、紅葉の葉っぱ。
「ふぉっふぉっふぉ」
フクロウは、相変わらずお酒を飲んでいます。

桜の舞うホーム。
停車時間に余裕があると言うことで、今日はみんなでお花見です。

「ねえ、あなた達も散りゆく桜が綺麗だと思うの?」
盛んに「綺麗だね」を連発する仔猫たちに、桜の少女が問いかけます。
「うん、すごく綺麗」
「そう・・・」
さみしげに少女がつぶやく。

散らない桜を探し続ける少女。
降りしきる花びらの中にたたずむ少女に、そっと寄り添う。
「桜はさ、散るんじゃ無いんじゃないかな」
「え?」
少女が振り向く

「花びらは、旅立っていくんだよ。次の季節を探しに」
「次の季節?」
「そう、夢の続きを求めてね。だから、風に舞う桜は綺麗なんだよ」
「良くわからない・・・。でも・・・」

「そうか~。桜たちも捜し物があるんだ~」
端で聞いていたのか、仔猫が言う。
「僕たちと一緒だね」
と、木鼠
「頑張ってね~」
紅葉の葉っぱも。
「ふぉっふぉっふぉ」
フクロウは、まだお酒を飲んでいる。

「ありがとう」
笑顔で桜に手を振る仔猫たちを見て、少女が微笑む。
これが、少女の望む答えではないことはわかっているけれど・・・

景色を薄桃色に染めて旅立っていく花びらたち。
まもなく、発車の時刻だ。

汽車の旅はつづく。

次は、どんな景色が待っているのだろう。



つづく

アバター
2015/03/29 22:00
久しぶりの登場ですね、このシリーズ大好きです^^
夢があっていいですよね、桜は次の季節へと旅立ったんですね。

私の桜のイメージはどちらかというと夜桜で、闇の中で桜の木だけが
月灯りに照らされて、ぼ~っと浮かび上がって見える幻想的なシーンです。
怪しい桜の精や鬼とか死体とかの方が似合うか^^
アバター
2015/03/29 07:23
σ(ーー〆) は、 梟  と同じです。  ^0^w
アバター
2015/03/28 14:01
今日は~♪

おぉ~\(^o^)/~♪

久しぶりの「桜列車」(ちがってたらごめんなさい)のお話ですね^^
このお話~大好きです~♪

最初が、桜の少女のお話でしたっけ…
つまり…あれから1年たつのでしょうか~?
今回は、仲間は増えなかったけど…

散る桜」を、せつなく見ていた私からは、
「花びらは、旅立っていくんだよ。次の季節を探しに」と言う
言葉は、目から鱗でした~^^
アバター
2015/03/28 13:20
はじめまして。
次の季節を探して旅立つ。 考えたコトもなかったです!
今年は、桜の見方も変わりました!どうもありがとうございます。
アバター
2015/03/28 11:19
とりとめの無いお話になってしまいました。

「桜は散るからこそ美しい」
わたしの大嫌いな言葉です。

本当は、別のお話として考えていたものですが
ふと、このシリーズの1話目に出てきた「桜の少女」が心に浮かび
「桜は散って終わりじゃない。次の季節を探して旅立つんだ。だから人は美しいと思うんだよ」
そういってあげたくなり、急遽作り直したお話です。

桜の咲く、この季節に書きたかったので、うまく纏まらず無理矢理な感じになってしました。
いつか、きちんと書き直したいと思っています。

(#^.^#)



月別アーカイブ

2025

2024

2023

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.