「線路は続くよ」
- カテゴリ:30代以上
- 2015/03/28 11:04:57
#5
桜の旅
「綺麗だね~」
風に舞う桜の中、仔猫が言う。
「ぼく、こんな綺麗なものを見るのは初めてだよ」
木鼠も相づちを打ちます。
「わたしのお友達だって、風に舞うときは綺麗だもん」
と、紅葉の葉っぱ。
「ふぉっふぉっふぉ」
フクロウは、相変わらずお酒を飲んでいます。
桜の舞うホーム。
停車時間に余裕があると言うことで、今日はみんなでお花見です。
「ねえ、あなた達も散りゆく桜が綺麗だと思うの?」
盛んに「綺麗だね」を連発する仔猫たちに、桜の少女が問いかけます。
「うん、すごく綺麗」
「そう・・・」
さみしげに少女がつぶやく。
散らない桜を探し続ける少女。
降りしきる花びらの中にたたずむ少女に、そっと寄り添う。
「桜はさ、散るんじゃ無いんじゃないかな」
「え?」
少女が振り向く
「花びらは、旅立っていくんだよ。次の季節を探しに」
「次の季節?」
「そう、夢の続きを求めてね。だから、風に舞う桜は綺麗なんだよ」
「良くわからない・・・。でも・・・」
「そうか~。桜たちも捜し物があるんだ~」
端で聞いていたのか、仔猫が言う。
「僕たちと一緒だね」
と、木鼠
「頑張ってね~」
紅葉の葉っぱも。
「ふぉっふぉっふぉ」
フクロウは、まだお酒を飲んでいる。
「ありがとう」
笑顔で桜に手を振る仔猫たちを見て、少女が微笑む。
これが、少女の望む答えではないことはわかっているけれど・・・
景色を薄桃色に染めて旅立っていく花びらたち。
まもなく、発車の時刻だ。
汽車の旅はつづく。
次は、どんな景色が待っているのだろう。
つづく
夢があっていいですよね、桜は次の季節へと旅立ったんですね。
私の桜のイメージはどちらかというと夜桜で、闇の中で桜の木だけが
月灯りに照らされて、ぼ~っと浮かび上がって見える幻想的なシーンです。
怪しい桜の精や鬼とか死体とかの方が似合うか^^
おぉ~\(^o^)/~♪
久しぶりの「桜列車」(ちがってたらごめんなさい)のお話ですね^^
このお話~大好きです~♪
最初が、桜の少女のお話でしたっけ…
つまり…あれから1年たつのでしょうか~?
今回は、仲間は増えなかったけど…
「
散る桜」を、せつなく見ていた私からは、
「花びらは、旅立っていくんだよ。次の季節を探しに」と言う
言葉は、目から鱗でした~^^
次の季節を探して旅立つ。 考えたコトもなかったです!
今年は、桜の見方も変わりました!どうもありがとうございます。
「桜は散るからこそ美しい」
わたしの大嫌いな言葉です。
本当は、別のお話として考えていたものですが
ふと、このシリーズの1話目に出てきた「桜の少女」が心に浮かび
「桜は散って終わりじゃない。次の季節を探して旅立つんだ。だから人は美しいと思うんだよ」
そういってあげたくなり、急遽作り直したお話です。
桜の咲く、この季節に書きたかったので、うまく纏まらず無理矢理な感じになってしました。
いつか、きちんと書き直したいと思っています。
(#^.^#)