潜水
- カテゴリ:30代以上
- 2015/03/14 21:05:55
ぼんやりとバスの窓から外を見ていると、
不思議と別の世界に見える時がある。
私はテレビ塔の展望台の上、
冷たい雨にけむる街を見下ろす。
凍りついたビルディングは水のなかに消えて、
燈のともる数えきれないほどの窓が魚群のようにゆらいだ。
展望室はそのまま深海の涯てへと潜る船。
モノレールは海蛇、アドバルーンはクラゲみたいだ。
あのクレーン車はタカアシ蟹だょ。
私はポケットからオペラグラスをだして覗き込み、
胸に抱いた子犬に話しかけた。
子犬は黒い瞳でふりそそぐ雨水を見ている、
「ついてるな、ナポレオン・フィッシュだ」
私が指差した先にはゆっくりと飛んでいる旅客機。
点滅するパイロットランプに合わせ、
子犬の目が瞬きする。
ひげを動かし、耳を少し動かした。
海底2万哩、「ほら、マリンスノーが降っているょ」。
いつしか雨から雪に変わり、
魚の群れはまばらになった。
バスの扉が開き、私は日常に降り立った。
天空の城ラピュタ。
あの中に水に沈む街が出てきました。
神秘的でとても鮮明に覚えています。
子どもの頃に戻れたらいいのになぁ・・・
そんな風に景色を眺めてみたいです^^
残念ながら、そんな才能がない><