「ハイハ～イ」と陽気に電話に出たら『あのー…奥さん…ワタクシそのー…』と歯切れの悪い調子で、いかにも悪い事を企んでいそうな雰囲気の男が、本題に入らず話を続ける。
大阪で個人でカメラマンをやっていると自己紹介した50がらみの男は『奥さん？奥さんですよねぇ？』としきりに人妻かどうかを確認したがったが、私は肯定も否定もせずに「へぇ～？」や「ほぉ～？」と半疑問の語尾ではぐらかし、早く本題に入っていただくため「それで？」と促した。

『ワタクシそのー…奥さんの写真をねぇー…そのー撮ってしまったんですー…』
と男が標準語で言うので、私は最初のトーンで言った。

「じゃぁですね～その写真を持って警察に行ってくださ～い」
『あー…いいんですか？』
「どうぞどうぞ行ってくださいよ～」

自首しろ、と揶揄しているのが読み取れないでよくも写真をネタに私をゆすろうとしたもんだ。
では警察に行きます、と言って男は電話を切った。
話術が無いのにこの男は電話で何がしたかったのだろうか。
…いや？目的は「ゆすり」か？
男はとにかく私が人妻かどうかの確認をしつこくしつこく繰り返していたな。
目的は「人妻としゃべること」だったりして。
それならそうと目的だけゆぅてくれたらなにも写真で脅さなくても話すのに、10分5000円で。