ラジオネーム友達
- カテゴリ:30代以上
- 2015/02/19 13:35:06
ひとりでに私の脳は、ラジオネームをしつこく追い回してしまう。
ラジオを聴きながら別のことをして過ごしていると、ラジオでしゃべっている内容が頭に入ったり入らなかったりするが、内容はさっぱり入って来ないのにラジオネームだけが入る、ということが起こる。
自分のココロをもっていかれてしまうセンスのラジオネームというのがあって、それはそのグっとくるポイントが個人で違うと思うから、あえてクチに出して誰かに伝えたりなんかはしないし、わざわざ電話をかけて友人に教えたりもしない。
ただただひとりで勝手に私は、ラジオネームと友達になる。
ついこないだも私は出目金太郎の代わりにバイトをすることになった。
ラジオネーム:出目金太郎を耳にした途端、もちろん私は彼をデメキンと呼んだ。
デメキンは朴訥な青年で決して悪い男ではないのだが、目先の楽しさに走ってしまう悪いクセがある。しかしそうゆうトコロが彼の魅力でもあって、周りから愛されるキャラクター。そのデメキンが、明日のバイトを代わってくれと言う。1日だけの飛び込みのバイトがあるのだけど、知り合いに急遽イベントに誘われどうしてもそっちに行きたいと正直者デメキンが言う。それはどんなバイトかと訊くと、デメキンも内容は知らないと言う。
「でも1万円くれる」
実にデメキンらしい。
そもそもそのバイトは、デメキンの先輩の友人Aがその友人Bから代わってくれと頼まれたバイトを先輩に押し付けたもので、それがデメキンにまで辿り着いたという随分とたらい回しされた仕事なんである。
それが我が身に回ってきた、やれやれ。
明日、何をするのかもわからないバイトに早朝から出掛けるんだよ5時半だってーと、ラジオネーム:瀬戸内ジャクソンに愚痴る。
ジャクソンが言う。
「そのバイトで得るものがあるのかもしれないわ」
「うん、それは1万円だけどね。」
人生を深く考えがちな瀬戸内ジャクソンは長いまばたきをして「ポゥ」と言った。