Nicotto Town


シン・ドラマ汁


ドラマ【花燃ゆ】

花燃ゆ
NHK 日曜夜8時~
【あらすじ】寅次郎が黒船に乗り込むという国禁を犯し、江戸の奉行所に捕まったという報せは、を初め杉家の面々を震撼させる。寅次郎の育(はぐくみ)役の父・百合之助と、江戸まで寅次郎の様子を見に行った兄・梅太郎は、切腹をも覚悟した。伊之助は自分に相談もなく行動を起こした寅次郎に怒り、出産を控えた妻・寿を置いて江戸に向かう。寅次郎が死罪になるかもしれないと焦りを感じたは、自分も何かしたいと思うが、何も思い浮かばない。そんな百合之助は、「自分のできることをしなさい」と言う。

【感想】初回から見るに、本当に吉田松陰という人物は、ものすごくよく切れる諸刃の剣で、周囲の人物への迷惑も顧みず、突拍子もない行動を起こす人だったというのが、よくわかりますね。幕末の志士たちからは尊敬され、その思想の根幹をなす人物ではありますが、家族にとってこんな迷惑な人物も他にいなかったでしょうな…。
黒船に乗り込むも、渡米の要求を拒否され、黙っておけばいいものを、こういうことをする日本人がいるということを世間に知らしめたいがため、わざわざ奉行所に自首するとは…。確かに彼の言動は、列強が日本を征服しようとするのに抵抗しなければならないと主張するかたわら、渡米しようとしたわけですから、かなり支離滅裂に見えたでしょう。しかしこの段階ではや彼の心中には、列強に対抗するには列強の文明を学ばなければならないという考えが、構築されていたということなんでしょうね。幕末の志士の思想は攘夷を訴える勤王と結びつき、しばらくは外国人の入国を完全に拒否する方針だったのを見ると、彼の考えは10年くらい先に進んでいたと言えます。
ただ、彼はペリーを暗殺しようとしていたという異説もあります。個人的な推測を述べさせていただきますと、そんなバカなことをしようとするかなと思いますけどね。たった2人で多くの乗員がいる黒船に乗り込み、そこの親分に会って殺すなど、到底できそうにもありません。もし会えたとしても武器は取り上げられるでしょうし、もし運良く殺せたとしても、アメリカに開戦の口実を与えることになるだけです。また、幕府に自首したのは、乗ってきた小舟が流され、帰るに帰れなくなったためだとも言われてますね。どちらが本当なのでしょうか。再び推測を述べさせていただくと、松陰は自分の行動を世間に知らしめるより、その後も自分で行動したいと考える人物だったと思うので、仕方なく自首したと見る方が自然なような気がします。そこまでキ印ではなかったと思いたいという気持ちもありますがw
松陰の思想を受け継いだ志士たちは、その後暗殺や私刑など日常茶飯事の混迷を極める時代に突入していきますが、松陰自身は現行の法律に照らし合わせると、死罪に値するようなことは何もしてないんですよね。自国の政府機関に反対を唱えるだけで死罪になるような国だったわけですよ。いや、この時代だけでなく、戦前まではそうだったんですよね。死罪にならないまでも、拷問で獄死するような時代だったわけです。70年前までは。そう思うと、小さな子供までも戦争反対と大声で叫べるような現代は、やはりいい時代なのだなと思いますね。
今回よかったシーンは、寅次郎が捕まったと知り、文之進に責められた梅太郎が思いつめ、切腹を覚悟するところ。夜中、仏間に座って刀を前に置いたところ、妻の亀が挨拶をしにきます。その言葉一言一言を、噛み締めるように聴く梅太郎の目に、涙が潤みます。恐らく亀も、夫の決心に気づいていたのでしょう。しかしそれを止めるでもなく、日常的な言葉をかけて、彼の決心を氷解させました。セリフだけ聞いていては、まったく心に残らないと思いますが、家族の絆、大切さを感じさせる、とてもよいシーンでした。まったく、原田はドラマとなると日頃バラエティで見せるひょうきんな表情とはまったく違う顔を見せますよね。また、亀役の久保田が全然美人じゃないところもよかったです。亀が美人だったら、単なるきれいなシーンになってしまいますからね。




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