職人の手間賃を値切るべからず。
- カテゴリ:日記
- 2015/01/10 20:31:55
本日、ギターを一本修理に出しました。
内部の配線に関してお願いしたのですが、
「安くやります」というご提案にブンブン首を左右に振った私。
ものづくりの楽しさや素晴らしさも知ってるけど、
本職の技術の裏にある長年の刻苦勉励も知ってるつもり。尊敬してます。
大工さん、ペンキ屋さん、内装屋さん……あらゆる職人さんをさん付けにします。
ネットとかアキバ系(?)の文化でも、優れた技術の方々を
「〇〇職人」と呼ぶって話もありますね、同感しちゃいます。
こういう方々への敬意の表し方の一つって、正当な価格のお支払いだと思うなー。
一円でも安くとか、10個頼むんだから〇パーセント値引きしろとか、
仕事の現場では日常茶飯事ですけど、私はいつも断固異を唱えます。
「立派なお仕事をやっていただきたいから、正当な報酬を支払いましょう」と叫ぶ。
幸い理解のある方々に恵まれてるので、わりと通るんですよ。
こうしたお付き合いが続くと、便宜を図っていただけることも多くなる。
値切ることと、そうした御厚意をいただけることって、似てるようで全く違う。
関西の方が良く使う「負けてーや」というのはコミュニケーションの一種だから分かる。
一方、見事な仕事をなさる立派な職人さんに仕事を依頼するときに、
「これだけ発注するからなんとかこの価格で……」てという交渉は性に合いません。
「申し訳ないがこれしか払えません。
その範囲でお願いできるとすると、どんな感じになりますか?」等々、
職人さんが損をなさらないご提案をしてくださるように心がけています。
こういう発想も爺世代なんでしょうねー。
でも世の全ての職人さんが胸を張って、ビタ一文負けないという気概を貫けたらイイなー。
リペア屋さん、ノイズ対策の件、宜しくお願いシマース。部品は安いの使ってねー。
おおおおお!
それですそれです、大工さんの神業も然り。
こういうエピソードは3万年語っても飽きません。
私の道楽、エレキギター界では「アビゲイル」というパートのおばさんが神格化されてます。
大昔、彼女は毎日作業場で、細いエナメル線を5000回程度、
グルグルぐるぐる巻く仕事をしてました。
このピックアップ(マイクみたいなもの)の音が伝説になっております。
泣く子も黙るアビゲイル・ピックアップ、後世の連中が解析しても再現至難。
世には知られぬ達人も、星の数ほどいらっしゃるんですよねー。
お祖父さんすごい!!
素知らぬふりして二人の仕事内容をきっちり把握されてたんでしょうね。
いや、パッと見ただけで把握できちゃうんですね><
父からもいろいろと職人さんの逸話を聞いてます。
いずれもうろ覚えになっちゃってますが・・・
大工さんが2枚の板を丁寧に丁寧にカンナがけをして、
そっと合わせて空気を抜いただけで2度と離れなかった、なんて話もありました。
ここまで来るのに何十年もの修行が必要なんですよねぇ><
気に入っていただけそうなエピソードを一つご紹介しましょう。
知人は町工場の三代目、メインは親爺さんがやって、祖父さんは隠居。
ある日、作業台が1/1000mmの精度で平面を出さないとできない作業が舞い込んだ。
知人が様々に工夫してもなかなか精度が出ず、
親爺さんと二人で四苦八苦したが1/100mmより少々マシなだけ。
祖父さんに相談すると、工場の隅に転がっていた鉄塊をムンズとつかみ……
ガンガンガン! いきなり作業台の四隅をなぐりつけ、
「ほら、これで測ってみ」といって去った。
二人で測った。…………バッチリ。無事納品に間に合ったそうです。
技術の維持、必要な道具の準備・調整、などへの無理解がはびこっているのも事実です。
ただ、是非とも職人さん・技術者さんに、その技術を手法を、語っていただきたいな、とも思います。
薀蓄の披露ばかりや自慢話だけでは困りますが^^;
部品・材料が変わることでどれほど品質・性能が変わるのか、
接合手段の選択や機材の扱い方、などなど・・・
職人さんの世界は現在、想像を絶する厳しさなんですよね……。
徒弟制度をバックにした旧態然としたシステムは、現代のオシゴト族には受け入れられないみたい。
職人の世界から企業勤めにスライドして、物凄く苦労してる知人や友人もイッパイいるんです。
お金=ありがとう、っていうのは納得できます。
実利をお与えしなければ、相手の方に失礼だという考え……かな。
だからお支払いの時にも支払う側が頭を下げる。こういうお取引ばかりできるといいのですが……。
正当な技術の報酬で食べていけてこそ・・・ですよね。
五味太郎さんが言ってました。
お金を支払う事(値段)は感謝を表してる・・・と
例えば 「ハンバーガー」と「チーズバーガー」で
チーズバーガーの方が値段が高いのは、
その分感謝の度合いが高いから・・・・だそうです。
「お金=ありがとう」
子ども向けの本だったけど、なるほど~と納得しました♪