✪ 迷子の魔法使い (前)
- カテゴリ:30代以上
- 2014/12/07 19:54:47
大きな街は闇に包まれています。
街の灯りも、もう消えてます、
昼間ずっと人々はあっちへいったりこっちへ行ったり。
車や路面電車もガタガタドンドン、急がしく走り回っていました。
でも今は、みんな家に帰りぐっすりお休み。
風と影と小さな猫だけが、静まり返った大通りをうろついています。
子猫が紙くずをネズミに見立てて追いかけてます、
足でパシッとはたくとゴミ箱の後ろに飛んでいきました。
ほんの一瞬でそれにとびかかり、そして、
すぐにどうでもよくなってしまいました。
他のものを見つけたからです。
「これは誰?」子猫は風にたずねました。
「こんなゴミ箱の後ろで眠っている人なんて、見たことないょ」
風は新聞紙を吹き飛ばして遊んでいましたが、
新聞紙をほったらかしてすぐに見に来ました。
大きな影が忍び寄ってきて、どこからともなく見下ろしています。
「ああ」風は言いました。
「魔女だょホウキを持っている、でもまだ子供だね」
風の言うとおりでした、それは小さな魔女、子供の魔女でした。
小さな魔女は風の声を聞いて目を開けました、
とつぜん目が覚めました。
はるか上空では鳥たちが、下の様子をじっと見下ろしています。
小さな魔女はたった一人で、
誰もいない寒い大通りをあてもなく歩きはじめました。
彼女には何倍にも大きすぎるようなホウキを引きずって。
子猫はホウキを見て飛び跳ねました、とっても驚いています。
「風さん」子猫は叫びました。
「あの魔女が歩いたところに、花の道ができているょ」
そうです、その通りなのです。
小さな魔女にはたくさんの魔法の力がそなわっているのです。
でも正しく使う方法、使わない方法をまだ教えてもらっていないのです。
そりよりも何よりも、知っていることと言ったら話すことくらいなのです。
彼女が歩くいたるところに、
金木犀が生えローズマリーやバイオレットにスズランや、
ピンクと白の小さなバラが花咲きます。
小さな通りにも、大きな通りにも。
あちらこちらからチョウが飛んできました、踊って甘い蜜を吸っています。
「あそこにいるのは誰?」と若いチョウはたずねました。
「あれは子供の魔女、こんなすばらしいごちそうでいっぱいの、
色とりどりのテーブルを作り出してくれたのはあの子ょ」
風が追いかけてきて、美しい花やその匂いを空に吹き飛ばして遊んでいます。
「街じゅうにまき散らそう」と言って。
街の人々は眠っている間に花の香りをかぎ、
微笑いっぱい夢を見てます。
エさにも困らない都会の ある一角を思い出しました
人間もきっと同じなのかな?
小さな魔女・・・
幸せの種をバラまき!
さてさて次は何が起こる????
後編が楽しみーーー!!
撒き散らされた花の香りが、こちらにも届いたような~
不安だった心に、小さな花が咲き始めたような気がします^^
ステキなお話~*^^*