✪ じかん (完)
- カテゴリ:30代以上
- 2014/12/01 00:51:36
まわりはそんな感じだった。
「あれは、何なの、光の孔?」
「時間の出口だょ、あんたもお母さんもあのひとつの孔からここへ来たんだ」
「じゃ、ビビや友達みんなの時間もここにあるわけ」
「そうだょみんな別々の時間を持っている、近くに行ってみようか?。
ビビちゃんがあなたの夢を見ているかもしれない、
夢見る時間は早く過ぎるものだ」
「あっちの時間、ひとつ消えた」
「時間が止まったんだ」
「とまってるって?」
「死んだんだょ」
「・・・・・・」
「こっちを見てごらん、ほら、あそこに新しい光がともったろう。
あれは生まれたんだ」
「こんなにたくさんの出口から時間が出ていっても、時間はへらないの?」
「そうだょ、時間の源は言いかえると永遠と言うんだ」
「瑠璃」
「お母さん、そんなとこにいたの?」
「私なんだか怖くなってきた、早く病院に帰りましょ。
ここにいるとやはりいけないと思うの」
お母さんはおじさんを見て、
「ほかにもここへ来る人はいるんですか?」
「いますょ」
「瑠璃の父親がひょっとして来たことがないでしょうか?」
「あるょ、呼んであげよう」
「え」
おじいさんは額に手をあてて、目をつむった。
姿が消えてお父さんが現れた。
「お父さん、お父さんなの?」お母さんは瑠璃の手を放して腕を伸ばした。
瑠璃もそうした、三人は抱きあった。
「久しぶりだからどこかにでもいきましょうか?」
「お母さん、ここには何もないんだょ」お父さんが言った。
「それにしても瑠璃、よく音さんの顔おぼえていたわね」
「時計のおかげょ」
「かたみに残しておいてよかったな。
ほんとうに大きくなった、元気かい、何年生になった?」お父さんが聞いた。
お母さんの顔色が曇った。
お母さんは瑠璃の病気のことを、白血病ということをかくして、話した。
「お母さん、ほんとに心配しぃなんだから」瑠璃は言った。
「お母さんはいつもそうだったね、くしゃみをしたらはぃ薬。
熱が出たらはぃ薬」二人は笑った。
お母さんはにわかに気をとりもどし、
「おじいさーーん」と片手をあてて呼んだ。
目の前のお父さんが額をおさえた、お父さんの姿が消えてった。
「お父さん」
お父さんのいたところに老人が現れた。
「おじいさん、あなたいったい誰?」
「時間の番人だょ」
「おじいさんお願いします、瑠璃と私を病院に反してください」
「よろしい、お母さんの時間に乗ってお帰り、あれがそうだょ。」
そこは瑠璃の時間の出口の隣だった。
「私の時間にのって帰ってもいいんですか?」
「いいとも」
「瑠璃の時間は使えないんですか?」
「そんなことはないょ、お母さんの時間の方が勢いがあるからね」
お母さんは瑠璃を引寄せて、その輪の中に飛び込んだ。
「さよなら、お父さん」瑠璃は言った。
翌朝、瑠璃は目を覚まさなかった。
瑠璃の手にしっかりと握られていた時計は八時で止まっていた、
その時間からその時計の針は動かなくなった。
小学三年生という若さで亡くなった私の姉、
そんな姉を思って書いた物語。
これはかなり前に書いたものですが、
ここに出すのは初めてです。
ブラさんにだけこっそりご報告。
純文学系の短編賞、一次通過できました^^
二次はダメだったけどー(xwx
ブラさんに触発されて書き始めたものだから、
ありがとうの気持ちを込めて^^
すてきなお話でした^^
ありがとうございます。
素敵なお話をありがとう
時間を
生きていることを
大切にします
こもった作品なんだとわかりました。
大切な人をなくすのはとても悲しい。
でも、生きている私達は歩み続けないと。
頑張りましょう^^
時間は残酷なもので人の気持ちなどお構いなしに過ぎて行く。
瑠璃ちゃんの時間は短かったけど精一杯使い切ったんですよね。
喪われた時間もどこかで生きている・・・
瑠璃ちゃん、悲しいけれど、時間の中のどこかにいるのよねぇ~
一気に読ませて頂きました~ありがとうございました(__)
とまっているお父さんの懐中時計は、
いまもどこかで、もう一つの時間を刻んでいるのかも。
読ませていただいて、ありがとうございました♪
うんうん。
そんな気がしてた。
ごめん・・・
涙が止まりません。
時間は永遠ですね。
私の家族もきっと同じ世界にいるのでしょう。