「線路は続くよ」
- カテゴリ:30代以上
- 2014/10/01 11:44:56
#3
「青トンボ物語」
夕日の丘
そう書かれた看板も
駅のホームも
丘を流れる川、草原の花たち
遠くに見える海と空も
赤く染まった夕焼けの国
「え~と、ここでもないみたいだな・・・」
声に振り向くと、一匹のトンボが、うろうろと汽車の中を飛んでいた。
空色を写したように青いトンボ。
ーここのお空は赤いけどねー
「何かお探しですか?」
通りかかった車内販売員が声をかける。
「僕の席を探しているんだ」
「ちょっと切符をみせていただけますか?」
座席?切符?
「トンボさんも汽車に乗るの?」
思わず聞いてしまった。
「そうだよ。おかしいかい?」
「ごめんなさい。そんな事はないけれど・・・どこへ行くの?」
「青い夕日の国。青トンボの場所さ」
「青い・・・夕日の国?どこにあるの?」
そんな夕日があるのだろうか・・・
「わからない。でも、きっとあるはずなんだ」
「あなたはそこで生まれたの?」
「僕が生まれたのはここさ」
「だったら・・・」
「でも違うんだ。ここは夕焼け小焼けの、赤とんぼたちの場所だからね。僕の場所じゃない」
続けてトンボがいう。
「僕は、僕の場所が欲しいんだ」
「わかりましたよ」
販売員さんが言う。
「あなたの座席は、一つ前の車両ですね。桜色の少女が座っている後ろの席ですよ」
「ありがとう、販売員さん。それからあなたも」
青トンボはそういうと、前の車両へと、飛んでいく。
「自分の場所・・・か・・・」
ふと漏らした独り言。
「どうかしましたか?」
「ううん。何でもない・・・あら?」
うしろのドアからまた、トンボが一匹入ってくる。
今度は赤いトンボ。
何だか慌てている様子。
「あの、済みません。ここにトンボが来ませんでしたかっ」
「青いトンボさんの事?」
「青?青って何ですか?」
「え?」
「とにかく、トンボです。トンボっ。わたしと同じトンボですっ」
「その方なら、前の車両に行きましたよ」
前を指さして、販売員さんが言う。
「あっちですね。ありがとうっ」
大急ぎで、飛んでいく赤トンボ。
「彼女には、色なんてどうでも良いみたいですね」
微笑みながら販売員さんが言う。
「そうね」
わたしも笑顔でこたえる。
やがて夕日は海に溶け始め、赤から青へ世界は色を変える。
走り始めた汽車の窓から見える、グラデーションの空。
寄り添って飛ぶ、赤と青のトンボの姿が見えた気がした。
ー青い夕日の国、見つけられて良かったねー
汽車は走り続ける。
次はどんな景色に出会えるのだろう。
つづく
わたしもね、同じ
自分の場所が見つけられない
本当はこのお話は、青トンボさんが旅立つところで終わるはずだったんだよ
出も、それじゃあ寂しすぎるので、後半を付け足したのです。
(#^.^#)
などといっておきながら、すっかり間が空いてしまった第三話、です(笑
まあ、元々決まったストーリーも当てもなくはじめたお話(一応テーマはあるんですけどね)なので、大目に見てやってください。
(#^.^#)
ほぉ~(●^^●)~いつも~可愛くてステキなお話~ですね^^
今回のお話は、夕焼け村のトンボさん達ですね~
「青だから、居場所がない」と言う青とんぼさんに
「何色でも気にしない。そんなトンボさんが好き」な赤トンボさん…^^^
きっと…赤トンボさんは、上手に説得して~青トンボさんを、夕焼け村に戻したのですよね^^
今ここで居場所の無い私にとっては~青トンボさんが、ちょっと羨ましく感じました^^