リバウンドの仕組み
- カテゴリ:30代以上
- 2014/09/02 10:47:03
以前、体重が400kg以上になり、ベッドから動かなくなった人をテレビで視たことが無いだろうか。
彼はその後、脂肪除去手術などで減量したそうだが。
彼は、何故そこまで太ってしまったのだろう?
ケーキなどの甘くて、脂っこいものが好きとか、怠惰な生活をしていたとか言われているが、それも原因かもしれないが、それだけでそこまで太らないだろう。
彼の超肥満の原因は、リバウンドの連続だった。
彼は何度もダイエットに取り組み、一時はエアロビクスのインストラクターもしたことがあるほどだったのだが、その都度リバウンドをして、ついに動けないほど太ってしまったのだ。
リバウンドの原因は、減量と遺伝的要因と言える。
こういう経験は無いだろうか。
「若い頃、いくら食べても太らなかったが、中年になり太りだした。」
人間の体重を総合的観点から見ると、ほとんどの人にセットポイントというのがある。
少々高カロリー食を食べ続けても、そのセットポイントまで太ると、それ以上は太らないというものだ。
中年になると、そのセットポイントが徐々に上がっていくものなのだ。
老年になると、また別のことが起こるらしいが、それについては私はよく知らない。
リバウンドも同様、ダイエットなどの減量により、そのセットポイントが上がってしまうのだ。
つまり、それまでいくら食べても55kgを超えなかった人が、ダイエットで45kgに減量した為に、ダイエットを辞めたら55kgを遙かに超え、60kgとか65kgまで太る様になるということだ。
これは、ダイエットに限ったことでは無い。
過度な労働、過度な運動によって減量した場合にも起こる。
余談ではあるが、過度なストレスによって過食気味になり、若干太ってしまうのには、別の仕組みがある。
この場合のストレスとは精神的なストレスで、脳に負担がかかり、つまり脳神経細胞が著しく興奮状態となり、活発な代謝を行う為、糖分が欠乏状態となり、身体全体としてそれほどエネルギーを必要としていないのに、食欲が増し、同時にストレスを別の形で緩和しようとして、胃に満腹感を与える為に食欲が増すというものだ。
この現象は、眠気を我慢している時にも起こるので、注意する必要がある。
本題に戻るが、減量したからと言って、全ての人がセットポイントが上がるという訳でも無いし、上がったとしてもその上がり方は様々である。
つまり、ダイエットによるリバウンドは全ての人に起こる訳でも無いし、リバウンドの仕方も様々ということである。
それは、遺伝的要因とダイエットの仕方によるのである。
人間には飢餓遺伝子と考えられる遺伝子がある様だ。
この飢餓遺伝子が発動すると、食べたものを脂肪として蓄えやすくなる。 つまり、食い溜めが効く様になるのだ。
視点を変えれば、食べたら食べた分だけ太るという遺伝子である。
飢餓遺伝子が強い人は、飢餓状態に強く、飢饉になった時、蓄えた脂肪を使うことが出来るので、生き残る可能性が高いのだ。
日本人のほとんどは農民出身であり、武家や貴族の末裔であったとしても、結婚などで農民の末裔と遺伝子が混ざっている。
古代から中世の日本では、何度も餓死に到る飢饉があった。
そういう飢饉を生き抜いてきたのが日本人である。
つまり、日本人は飢餓遺伝子が強い人が多く、リバウンドし易い人が多い。
勿論、西洋人にも飢餓遺伝子が強い人もいるが、日本人ほどでは無い様だ。
しかし、飢餓遺伝子を持つ西洋人というのも、なかなか大変である。
日本人もパンを食べるが、基本的に主食はご飯であるのに対し、西洋人はパンが主食である。
パン作りをした人は分かると思うが、パンを作る際には大量のバターを使用する。
クロワッサンやデニッシュなどは更に多い。
バターは飽和脂肪酸が多い為、常温で少し溶けるが、完全には溶けない。
オリーブオイルやサラダ油などが常温で液体であることを考えてみると分かる。
つまり、バターは溶けにくく、体内でも蓄積されやすい。
そして、マーガリンは更に溶けにくい。
マーガリンは植物性の油(サラダ油など)に、化学的に水素を付け加え、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変えて、常温でも溶けづらくしてあるのだ。
つまり、マーガリンを塗った食パンというのは、非常に太りやすい食品なのだ。
以前、初めて米国出張をした際、マクドナルドに入ったのだが、そこにビヤ樽の様な体型をした女性定員が働いていた。 いや、ほんとにビヤ樽ぐらいあったのだ。
上に書いた400kgを超えるほどに太った人も、西洋人である。
さて、何故ダイエットによってセットポイントが上がり、リバウンドし易くなるのか。
日本人の中程度の運動強度をもつ女性の1日に必要な摂取カロリーは1800kcalくらいと言われている。 男性は、それより200kcalくらい高い。
とは言え、中程度の運動強度というのは結構な運動量らしく、一般には女性で1600kcalくらいだろうと思う。
それ以上食べている女性は、1600kcalくらいまで減らしても問題は起きない。
ところが、カロリー制限によるダイエットとなると、1日600~1000kcalくらいまで減らす人が多いのである。
この食生活を続けると、確かにみるみる痩せる。
しかし、この状態は飢饉の時とカロリー量的に酷似しており、体内の糖分が減っているので、身体は飢餓状態と認識してしまうのである。
血中の糖分の極度の減少は、脳を含む身体にとって危機的な状況であり、血中の糖分濃度を上げようとして、脂肪を分解し、減量していく。
しかし、実際には脂肪から糖を作るだけに留まらず、タンパク質も分解して糖分を作るのである。
タンパク質の分解が顕著に進むのは筋肉である。
手足を動かす随意筋は、筋トレによって回復させることも可能だが、同時に減少する不随意筋は、自分の意志で動かすことが出来ないので、回復させることは非常に困難である。
そして、筋肉量が減少すると、基礎代謝量が減少し、同じカロリー量の食事を食べていても太る様になる。
カロリー制限ダイエット中に、毎日体重を測定していると、急に痩せる効果が薄れてくることがあるのも、その為である。
また、基礎代謝の低下によってセットポイントが上がり、リバウンドの一因となる。
同じことが、過度な有酸素運動によるダイエットにも言える。
運動によって過度に体内の糖分が減少して、身体の飢餓状態を作り出す。
400kg以上になった上記の男性が、エアロビクスのインストラクターであったことを考えれば理解し易いと思う。
不随意筋は、身体を支え、内臓を支えている筋肉なので、減少すると体型が維持出来なくなる。
中年になって筋肉量が落ち、多少筋トレをしても、姿勢が悪くなり、中年太りしてしまうのは、この不随意筋の減少が原因である。
心臓および血管も筋肉細胞で出来ているので、その危険性は無視出来ない。
そして、身体の危機的状況が続くと、それを飢餓状態と身体は判断し、いよいよ飢餓遺伝子が動き出す。
これは私の仮説を含むことであるが、飢餓遺伝子の働きは以下の様なものと思われる。
① 筋肉量の増加(基礎代謝の増加)を抑制する
② 糖からの脂肪合成を促進する
③ 消化管からの糖分や脂肪分の吸収を促進する
健康が一番ですので、無理なダイエットは辞めましょう\(^o^)/
ダイエット(減量)が永遠の課題なのは、それが自然の法則、生物の法則に反しているからでしょう。
本来生物は、頑張って栄養というエネルギーを摂取し、それにより自分の生命を維持し、生殖活動によって生命を繋げるようとしています。
極論をすると、それが生物の使命であり、生物の目的なのです。
(その善し悪しは別にして、そういう風に人間の身体も出来ています)
従って、食べたエネルギーを蓄えない様にするというダイエットは、生物の使命や目的に反しているのです。
何故、食べたエネルギーを蓄えることが生物の使命となったのかと言えば、本来生物は弱肉強食の食物連鎖の中で、その生物種の数が増えると、食糧が不足状態、不安定状態となり、自己の生存が危ぶまれることになるからです。
人間は知性によって、総合的強さとして生物の頂点に立ち、食糧において困ることが無くなりました。
しかしそれも、世界人口の増加や、知性による技術向上の副作用として、再び食糧難となりつつあります。
それでも、現時点の先進国においては、食糧過剰状態にあり、その為肥満の問題が生じています。
ある意味、肥満に悩むというのは、贅沢な悩みなのかもしれません。
「分かり易い」と言って頂けるのは、何より嬉しく思います。
本分に書いたそれぞれの知見は、特に目新しいものではありません。
私としては、それらを結びつけ、一つの流れとしてイメージしようとしています。
そして、そのイメージを伝えることが出来れば、誇張されたマスメディアの情報で誤解されていることに対して修正でき、それが結果的に読んで頂いている方々、そして周辺の方々のお役に立てれば幸いだと思っています。
したがって、「分かり易い」と思って頂くのが一番嬉しく思います。
また、私が書き忘れていたり、文字数制限で書けなかったことも有りますので、分からないところがありましたら、どんどん質問して頂ければ幸いです。
ストレスとか抱えると、食べることで解消しようとする人が多いから
太ってしまいますね。飢餓遺伝子が存在するのですね。
人の体って本当にうまくできているようですけれど もともと農耕民族だった日本人ですけれど
今のように生活が欧米化してしまうと 体に負担をかける要素が増えてきますね
日本人は 日本人の良さをもっと見つめなおす必要があると思います。食生活もね。
私は体重は お産の時に増えるくらいで あまり増減はないです
ただ体形がねぇ~どんどん重力に引っ張られて崩れてまぁ~す(>_<)
あたるさんの講義は とても分かりやすく 頭の悪い私でも理解できちゃうのでとても嬉しいです
お礼にいつもの笑顔をおいていきます。おやすみなさい(^^)/
面白い記事ですね。キーワードの多くはこれまであちこちで目にしていますが、
とても分かりやすかったです。
ありがとうございました。
体重の変動が無いというのは素晴らしいことですね。
きっと、健康も維持されていると思います。
もしくは、遺伝的に飢餓遺伝子が弱く、太りにくい体質なのかもしれません。
ダイエットは、出来ればしない方がいいと思います。
和食、特に米中心の食事は、やはり日本人の体質に合っていると思います。
ただ、太りやすい方には、お米は糖分ですので、注意しなければなりませんが。
新米は美味しいですよね。
ご飯が立って、艶々しているのを見ただけで、食欲が湧いてきます(*^。^*)
新米で無くても、精米からの時間が経って無ければ、やはりご飯食は美味しいです(^^)
大変為になりました。(特に女性には)
私は今までダイエットをしたことがなく・・・
常に体重は変わらず、維持ですので。たぶん普段が
野菜メインの田舎料理だから(*^▽^*)?
今年の新米が米農家の親戚から送られてきたので、
その炊き立ての甘味と粘りを堪能。
美味しいお米だけで、もうご馳走って感じ・・・
あ、ダイエットの話でしたね(>_<)
つい話がそれてしまいましたm(__)m