Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


Smile again 【第二話】

第二話 『拒んでも』


拒んでも拒んでも避けられない道というモノはやってくる。
どんだけ首を振ろうともその道を通らなくてはいけなくなる時が来る……。
そう。まさに今がソレだ。

「乾杯~!ささ、皆飲んで飲んでぇ」
「今日は張り切っちゃうぞ~」

避けられない道…、それはあの時の電話で誘われた“合コン”だ。
智里に誘われてあの時“一時的に”は断れたが、あれからの電話が凄かった。
ゴリ押しで私を誘ってきて、最後は泣きながらお願いしてきたくらいだ。
智里はいっぱい友達いるし、私なんかが来なくてもいいはずなのに───。

「じゃあ恒例の自己紹介いっとく!?」
「いいですねぇっ、じゃあ私から!」

そう挙手したのは智里。相変わらず明るい髪色をしてケバい顔をしている……。
そんな彼女は冷たい流し目で見ながらため息を零す。

「名前は武永智里で、趣味はお菓子作りですッ!」

噓つけ!全然できないでしょ!

心の中で叫んでも、口には出せない。
私は眉間にシワを寄せながら彼女から目を逸らした。
彼女の趣味に目を輝かせ、「カワイイ~」と叫ぶ男共……見てられなかった。

「え、じゃあそちらの女性は…?」
「私?」

遠慮気味に聞いてきた少し周りの男とは違う雰囲気の男性。
真面目そうで、短髪の黒髪。目鼻立ちが整っている。
思わずジッと見てしまうほどだった……。オマケに少しあの人に──、似ている。

「あの、お名前は?」
「あ、ごめんなさい。白瀬美加です……」
「美加ちゃんか。綺麗な名前だねっ」
「──…ッ!」

そう笑顔で微笑まれた瞬間、何かが動かされた。心が軽く浮いた感じ。
あの微笑…やっぱり彼に似ている。あの柔らかな笑み、ソックリだ。
落ち着く声のトーン、仕草…全てが似ている。

「よぉ~っし!何か盛り上がってきたし騒ごうか」
「賛成~!」

こうして長い時間盛り上がった。私もあれ以降は楽しめた。
短髪の男性の名前は、長谷川亮太…スポーツマンらしい。
久しぶりに人の話を真面目に聞いた気がする。こんなに目を輝かせれるのは久々だ。

「ね、美加ちゃんってiPhone?」
「え、そうだけど……」
「よかったァ、俺も!LINEとかってやってるのかな?」
「あんまり活用してないですけど、まあ一応。」
「本当?じゃあこれから活用できるね」
「え?」

そう言って私の携帯を取り上げ、彼は携帯を振り始める。
数秒後ぐらいだろうか。彼は満面の笑みで振り終わった携帯を返してくれた。

「…何したの?」
「友達追加!これから連絡取り合えるでしょ?」
「あぁ…ありがとう。」
「こちらこそ!」

……ああ。やっぱり似ている。
私はまた彼色に染まっていっているような気がした。

「な、そろそろ二次会いくかー?」
「あ俺パ~スッ。酔ってきそうだからさ」
「んだよ亮太。今日はトコトン付き合うって約束だろー?」
「わりぃわりぃ。…美加ちゃんは二次会行くの?」

店のライトに照らされた横顔が突然こっちに向く。
私は肩を揺らせながら驚き、顔を背けて答えた。

「ん~…行かない、かな。」
「えええ美加ちゃんもー?じゃあ…」
「ウチは行くからだーいじょうぶぅ~!!」
「んだよ、酔っ払いじゃねぇかよぉ~」
「「ハハハハハッ」」

そんな事いいつつ、二人で二次会行くことになったらしい。
私と亮太君だけ二人と別れた。

「帰り道こっちなの?」
「うん。すぐそこだからね」
「お、じゃあ近いんだね~」
「…どこなの?」
「え?すぐそこ」

そう言って差したのは、まさかの同じマンションだった。

「噓…でしょ…」
「?どうした?」
「い、いや……私も同じ所だから」
「ま、まま、マジ!?だから見覚えあったんだわー」
「アハハッ、偶然だねぇ!」

心底笑えたの…何年ぶりだろう。

「ね、もう少し遊んで帰らない?」
「家一緒だしなー」

こうして家からは真逆の公園に向かう。
私たちは二人顔を合わせながら何度も何度も笑いあった。

神様、もう二度とこのときを奪わないと約束してください。

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2014/08/12 20:47
最後の「神様、もう二度とこのときを奪わないと約束してください。」って言葉が異常に心に残りました笑



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