短期集中連載 僕の激動6
- カテゴリ:自作小説
- 2014/07/14 11:09:08
ほんとの飼い主に抱きしめられてしばらくして、僕はちょっと窮屈になってきた。今思うとーちょっと身をよじったから、僕はほんとの飼い主を怒らせてしまったんだ。ほんとの飼い主は、威嚇し続けるセキセイいる籠の隣に置かれた僕の籠に僕をそっと入れると
「仲良くしてやってね」
とセキセイに話しかけ、そして僕をつらそうに見つめると
「元気でね」
と優しく声をかけてくれた。怒っていたはずなのに、ほんとの飼い主は最後まで僕に優しかった。。。
そしてー僕は見知らぬ部屋で見知らぬ人間と見知らぬセキセイの中で孤独と不安でいっぱいになったのだ。僕が身をよじったのが気に入らなかったんだー謝って、家に帰りたい。
「ねぇ、どこにいるの!?」
「さっきは身をよじってごめんなさい!」
僕は力の限り叫び続け、そしてすっかり疲れてしまった。。。
数日たって、僕はいばりんぼセキセイにいじめられないように日々過ごすことで精いっぱいになっていた。ふと、ほんとの飼い主を思い出して呼び叫ぶと、セキセイが
「やかましい!」
と僕を一喝した。
やがて。この恐ろしいセキセイにも弱点があることを知り、油断している隙にセキセイのしっぽを思いっきり引っ張って、セキセイが悲鳴をあげるので鬱憤をはらしたりもできるようになってきた。
やがてセキセイは老いてお空に行き、新しくオカメの女の子がやってきた。
いつしか、僕はこの生活になじんでいて、悲しかった記憶を心の隅に追いやっていたのだった…
全てを思い出した今、僕がほんとの飼い主と別れなければいけなかった理由は、抱きしめてくれた時身をよじって怒らせてしまったからなのか、そうだったら謝りたい。今まで忘れていたことを謝りたい。
あの時と同じように、僕が過ちを犯して、今の里親飼い主や同居しているオカメの彼女と再びつらい別れを繰り返すのだけは嫌だ、と僕は思った。
そのためには僕はほんとに飼い主に今会いたい。そして、きちんとに教えてもらいたいーそう強く思った。
でもーこの願いを叫んでも、今の里親飼い主に僕の切実な気持ちが届かない、届くような精神状態でないことは僕にも十分にわかって、僕はただ絶望するしかなかったのだ。
(つづく)
書き溜めていたのはここまでです^^;
ここからは、新しく終了までがんばりますw
出来ない事ですけど^^